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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第125話】

未来を引き連れ、砂浜へと戻った俺と未来は早速セシリアと美冬の元へと向かう――だが、着いてみると。


「すぅ……すぅ……」

「ん……みぃちゃん……また育ってる……むにゃ」


――と、こんな感じでセシリアも美冬も寝ていた。

飲み物は溢れないように簡易テーブル的な物に載せて――。

……さっきのではしゃぎすぎて疲れたのか、あまり寝てなかったのかはわからないが――二人とも少し無防備な気がしなくもない。

普通の海なら、ナンパされるだろう――世界が女尊男卑で、男が家畜みたいな扱われ方をされても、女の子との縁を求める男なら放っておかないはず――まあ、セシリアも美冬も相手にしないだろうが。


考えるのを止め、また視線を二人に戻す――水着だけの状態で眠る二人に、胸がドキドキする思いだが何とか心を落ち着かせ――。


「二人が眠っているなら仕方ないな……未来、二人で遊ぶか?」

「え?――ど、どうしよぅ」


そんな風に未来が悩んでいると、向こう側でぐったりとした鈴音が別館の方へと歩いていた。


さっきまでは元気だったのに、今はぐったりしているのが気になり――。


「未来、悪いがちょい鈴音の様子見てくる――何か様子がおかしいから」

「え?――うん、なら私はここに居るね?」


そう告げ、駆け足気味で鈴音の元へと向かう。

駆け足で近付いてきたのに気づいた鈴音も、足を止めて俺の方へと振り向いた。


「鈴音、何かあったのか?さっきまであんなに元気だったのに…」

「ヒルト……。ん……ちょっと海水飲んじゃって溺れかけて…」

「……!?わ、悪い、なら暫く休んでろよ。引き留めて悪かった――先生呼ばなくても大丈夫か?俺に出来る事があるならいつでも呼べよ」

「う、うん……今は大丈夫…。――あ、ありがとう…」


力なく笑顔で応える鈴音は、そのまま別館へと入っていった――。

本当に大丈夫かな……また後で様子を見に行くか…。

鈴音の様子が気になるも、未来をこれ以上待たせるのも悪いので未来の元へと戻る――。


「悪い、少し待たせたな」

「ううん、それよりも鈴の様子はどうだった…?」

「海水飲んで溺れたって言ってたが――多分、少し休めば大丈夫だと思う。――でも、後でまた様子を見に行くよ」


そう言うと、安堵したのかホッと胸を撫で下ろす未来。


「……じゃあ、鈴音が気になるが――遊ぶか、未来」

「そうだね――あ、シャル」

「ヒルト、未来。ここにいたんだね」

「……………」


そう言う未来――後ろを振り向くと、シャルと――バスタオル数枚で全身を覆い隠した――とりあえず【バスタオルお化け】というネーミングセンスも無い名称で呼ぶことにする。


「よう、シャルとバスタオルお化けじゃないか――てか、その身長だとラウラか?」

「…………!?」


びくっと反応するバスタオルお化け――この反応からすると、ラウラの可能性が高くなった。



「ヒルト、よくわかったね?――ほらラウラ、出てきなってば。大丈夫だから」

「だ、だ、大丈夫かどうかは私が決める……」

「わっ、ほんとにラウラだ――ふふっ、ヒルト凄いね?」

「からかうなよ、身長的に何となくラウラかなって思ったんだ。」

「よ、嫁なら私がどんな姿だろうとわかる……はずだろう……」


未来が感心したように俺に言う――俺は否定するが――というか、何となくそんな気がしたという頼りない直感だから褒められたものではない。


――と未来とやり取りしてると、また弱々しい声がバスタオル越しに聞こえる――言った通り、ラウラだった。


「よぅ皆、なにやってるんだ?」

「ん?何だ、一夏か……ラウラが恥ずかしがってるだけだよ――てかお前、鈴音の側に居た方がいいんじゃないか?」

「え?――アイツにもそう言ったけど平気って言ってたからな…」

「……まあ後で様子ぐらい見てやれよ?幼なじみだろ?」

「あ、あぁ。わかってる」



それだけを言うと、俺は一夏から視線を外してシャルとラウラの方へと移す。


「ほら、せっかく水着に着替えたんだから、ヒルトに見てもらわないと」

「ま、待て。私にも心の準備というものがあってだな……」


そうラウラがもじもじしながら言う――そんな様子を見た一夏が。


「いいじゃんラウラ、別に変な水着じゃないんだろ?」

「う、うるさい!貴様には関係ないだろう!」


――と、まだ一夏を許せないラウラが噛み付く。

……まあ根は深いのだろう…一夏のせいでは無いが、ラウラとしては尊敬する織斑先生の二連覇を、一夏が誘拐された為に逃したのも事実……。

――結論から言えば、誘拐犯が一番悪く、次点で日本政府が悪いのだが。

てか日本政府も普通、日本代表の家族の身の安全を確保するぐらいはするだろうに――他国はそういうことを確りとしていて、SP的な人を周辺警護させていたようだが。


「まあまあ、一夏も今はあんまりラウラに何か言わない方が良いぞ?」


とりあえずそれだけを一夏に告げる。

……まあ、多分本人はすぐに忘れてまた話しかける→ラウラ怒るのループだろうが。

――何気に鶏頭なのだろう、一夏の頭は。

事実、さっき俺が腹部に蹴りを入れたのもけろりと忘れているようだし。



――と、いつまでもバスタオルを被ったラウラに対して、シャルが――。


「もぅ、ラウラが出てこないんなら僕、ヒルトと未来、三人で遊びに行っちゃうよ?」

「な、なに?」

「な、なぁシャル、何で俺は入れてくれないんだ?」


流石に置いていかれるのかと思ったのか、ラウラの声に焦りの色が見える。

そして、一夏の訴えをスルーするシャル――まあ、休みに邪魔されたりしたからまだ怒ってるのだろう……哀れ、やはり邪魔すれば馬に蹴られるって事だな。


そんなシャルは、俺と未来の手を取ると、波打ち際へと誘う――と、慌てたラウラが。


「ま、待てっ。わ、私も行こう」


まだバスタオルを被ったままの状態で近づくラウラ――そんなラウラを、一夏が。


「その格好のまんまで?」


――と、誰もが思っていた事を真っ先に言った。

流石にその指摘はもっともだったのでラウラは――。


「ええぃ!貴様に指摘されるまでもない!脱げばいいのだろう、脱げば!」


はんばやけくそ気味に、被っていたバスタオルを数枚かなぐり捨て、砂浜に落ちる。

そして、そこから現れた水着姿のラウラが、真夏の陽光の下に現れた。

だが、その水着が――。


「わ、笑いたければ笑うがいい……!」


そう顔を真っ赤にし、叫ぶラウラ――。

その水着姿というのが黒の水着でレースをふんだんにあしらった物だ。

パッと見ると、それは大人の下着――セクシー・ランジェリーと呼ばれる物に見える。

そして、多分シャルがやったのだろう――いつも飾り気のない伸ばしたままの銀髪は左右で一対のアップテールになっている。

……普段のラウラとまた違って、この姿のラウラは正直可愛く、いつも二人で居るときよりももじもじと落ち着かなさそうにしているラウラが、そう思わせていた。


「おかしな所なんてないよね、皆?」

「うん、ラウラ――すっごく可愛いよ?思わずギューッてしたくなっちゃう。――てか、しちゃう!」


そう言った未来が、ギューッと抱き付いた。


「わわっ――未来、いきなりそんな事されたら私も困る……」


――とはラウラが言うが、嫌がる素振りは見せず、いきなりの行動に戸惑っている様に見えた。

困ったようにラウラが俺に視線を向ける。



「そのまま抱き締めればいいさ。未来も、お前ともっと仲良くなりたいんだよ」

「……だが、私は…」

「もしかしてラウラ……前に組んだ時の事気にしてる…?私ならもう気にしてないよ?」


抱きついていた未来が、一旦身体を離し、ラウラを真っ直ぐに見つめる。


「……もう誰も、あの時の事を言うやつは居ないから気にするなってラウラ。――まあ、一夏と篠ノ之の乱入は文句ありまくりだがな」

「な、何でだよヒルト…」

「当たり前だろ?一夏が対戦相手ならあの場に居るのは正しいが、お前がピットの扉ぶち壊して入って来たのって結局姉の技がコピーされたのを怒ってラウラをぶん殴るっていう自身の自己満足による正義感みたいなもんだろ?」

「ぐっ………」


流石にぐぅの音が出なかった一夏。

……因みにこいつ、乱入したことをそんなに反省してない。

ラウラを殴ることはしないが(仮に殴ったら俺が百倍返しだが)、乱入したこと自体は間違ってないと言っていた――『雪片が無ければヒルトもラウラを助けられなかっただろう?』――との事。

無かったら無かったで別の方法考えてただけなんだがな、俺は。


――と、そんな考えはさておき、ラウラは未来の言葉が嬉しかったのか、若干涙目になりながらも再度抱き締めた未来を抱き締め返した。


「未来……ありがとう…」

「ううん。友達何だから気にしなくていいって……ね?――ほら、ヒルト?ラウラの水着、褒めてあげないとね?」

「そうだね。ラウラの水着、似合ってるでしょ?」


未来、シャルが共に言う――。


「あぁ、勿論可愛いし似合ってるぞ?いつもスクール水着の機能性の良さを言ってたからラウラはスクール水着かと思ってたからな――……不思議とこのラウラに悪戯してみたくなるが……」

「「「??」」」

「……何でもない、今のは独り言さ、これが」


最後の言葉が都合よく波に消されたのか、三人には聞こえていなかったようだ――。 
 

 
後書き
早めに書けたので夜に 
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