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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第121話】

――道中――


「「………………」」

「……?」


肩に担いだ荷物を持ち、別館に向かう途中で【ある一点】を見ている二人と出会う――一夏と篠ノ之だ。

その視線の先にあるのは――何とウサギの耳だった。

耳が地面から生えている。

珍妙な事もあるんだなと思い、見るが――どうやらバニーガールが着けるウサミミが置いていて、しかも『引っ張ってください』という怪しさMAXな張り紙がしてある。

――親父が言ってたが、こういう怪しい物に触らないのが生き残るコツだとか、大抵このような物にはブービートラップが仕掛けられてるって……。

――と、まだ俺に気づいていない一夏が。


「なあ、これって――」

「知らん。私に訊くな。関係ない」


一夏が言い切る前に、篠ノ之は即否定した。

――よくわからんが、触らぬ神に祟りなしと言うのだが一夏はウサミミの前まで移動すると。


「えーと……抜くぞ?」

「好きにしろ。私には関係ない」


そう言い、別館へと向かう篠ノ之――。


「俺の経験上(親父の経験だが)、そういうものは抜かない方がいいと思うが?」

「おわっ!?……なんだ、ヒルトか」

「どうしても抜くなら好きにしたら良いが、迷惑しかかけないと思うから大人しく置いておくのが吉だぜ?」

「でもなぁ……やっぱり抜く――のわっ!?」


言うや、いきなりウサミミを思いっきり引っ張る一夏――正直、爆弾仕掛けられてたら俺も巻き添えだったんだが――まあ、爆弾の可能性は低いんだけど、絶対爆弾じゃないとは言い切れないからなぁ……。

そして…力一杯引っ張ったせいか、一夏は盛大に転んだ――と。


「いてて……」

「ヒルトさん、織斑さん。何をしていますの?」


そう言ったのはセシリアだ、ついさっきぶりなのだが――とりあえず何かしていた俺と一夏に声をかけたという感じだ。


「――ブービートラップだったら、今頃俺は天国からセシリアに語りかけてた頃だよ。とりあえず説明すると、一夏が怪しさMAXなウサミミを抜いたんだよ」

「そうそう、このウサミミを――あ」


そう何かを見て声をあげる一夏――体勢が倒れたままの一夏の視線のその先にあるのは――セシリアで、ちょうどセシリアのスカートの中が見える位置――。


「キャッ!?――お、織斑さんっ!!」


慌ててスカートを押さえ、抗議の目で一夏を睨むセシリア――そして俺はというと。


「成る程――あの世で詫び続けろ、一夏」


そう冷たい視線で一夏を見、蹴りやすい位置にあった腹部に全力で蹴りの一撃を入れる――。


「ぐぇっ!?――がくっ」


一夏の身体が浮かぶほどの一撃が腹部に直撃し、前のめりで沈む一夏――先月受けた篠ノ之の一撃よりも重いため、暫くはこのままだろう。

理不尽な暴力は嫌いだが、今のは正直イラッとした――。


「セシリアのスカートを覗き見るから悪いんだよ。……俺だって見たいのに……」

「…ひ、ヒルトさん…?」


聞こえていたらしく、セシリアの顔が真っ赤に染まっていた。


「わ、悪い――思わず欲望が出た。――セシリア、行こうぜ?」

「え、えぇ……あ……」


自然な形でセシリアの肩に手を回し、共に別館へと向かう――背後では、何やら激しい轟音が聞こえてきたのだが、多分一夏が爆発したのだろうと思って無視した。

――セシリアが黙ったままなのが気になり、顔を見ると真っ赤な完熟したリンゴのように顔が赤くなっていた――原因は――。


「あ……わ、悪いセシリア。つい肩に手を回して――」

「い、いぇ――わ、わたくしは気にしていませんわ……あの、ヒルトさん?」

「ん?なんだ?」


肩に回した手を離すと、その手を名残惜しそうに見るセシリアだったが、こほん……と軽く咳払いをする――。


「そ、そのですね。せ、背中はサンオイルが塗れませんから、ヒルトさんにお願いしたいのですけど……よろしくて?」


そう言い終わると、指を重ねてもじもじし始めたセシリア。


「……構わないけど、セシリア。例え話してもいいか?」

「……?えぇ、構いませんわよ?」

「例え話何だがな、何かの拍子にサンオイルを塗っていた両手が、うっかり、セシリアの胸へと滑っていき、鷲掴みし、揉んだとしても怒らないか?」


「………~~~~~っ!!」


意味を理解したのか、更に顔が真っ赤になったセシリア。

――大体はこれを言えば、やはり友達に塗ってもらうと言うので俺はこう言う――だがセシリアは――。


「……お……こり、ません…わ…。……事故…です…もの……」


少し歯切れが悪く、消え入りそうな声で怒らないと言った――。

まあ……大体そんな気がしたが、うん。

少し顔が熱くなるが、平静を装い口を開く。

「ん、じゃあ俺に任せなよセシリア?――胸は揉まないから安心しな」

「え?………はぃ……」


凄く残念そうな声で返事をしたセシリア――流石に人前でそんな行為をする勇気はないな。

……揉んでみたいが。


「さて、それじゃあセシリア、また後で合流しようぜ」

「あ――は、はいっ。それでは、また後で!」


そう返事をし、二回ほど深く頷くとセシリアは別館へと駆け足で向かっていった。


「……確か、一番奥だったな」


そう一人言を呟き、奥へと進んでいく――その途中で何やら声が聞こえてくる。


「わ、ミカってば胸おっきー。また育ったんじゃないの~?」

「きゃあっ!も、揉まないでよぉっ!」


……うん、良い声だ。

そういや、美冬もよく未来の胸を触って大きさチェックとかやってたな。

――美冬が触ってたから未来もあんなにでかくなったのかもしれないな…うん。


「ティナって水着だいたーん。すっごいね~」

「そう?アメリカでは普通だと思うけど」


――そういや、アメリカって上だけ裸な女性も居るらしいな……トップレスってやつだったか?

想像したら色々不味いので自重するが……。

もっとこの場に留まり、聞いていたいのだが、俺が聞いていると女子たちから総すかんされるので俺は名残惜しいが男子用更衣室へと向かった。

そして、着替えていると復活した一夏も合流した――別にあのまま、あの世で詫び続けてて良かったのにな。

そんな黒い考えをしながらも、着替え終えたのでそのまま外に――一夏も早着替えで一緒に着いてきたが。



「あ、織斑君だ!ついでに有坂君も!」

「う、うそっ!わ、私の水着変じゃないよね!?大丈夫だよね!?」

「わ、わ~。二人とも体かっこい~。鍛えてるね~。特に有坂君」

「まあな、入学してIS受領してからずっと基礎トレ続けてるからな」

「織斑くーん、後でビーチバレーしようよ~」

「おー、時間があればいいぜ」


――そんな感じに、俺も一夏も返事をしていく。

――やはりビキニ率が高く、色とりどりのビキニが俺の目の保養になる。

――というよりも、布面積の少ない『ビキニを着た女子たち』が目の保養だな。

さっきのだとビキニ『だけ』で目が保養になるみたいだし……。

それなら、女子用水着売り場にいけば常に目の保養になるって事になるし。


「あちちちっ」

「……熱いが、この程度…何の障害にもならん!」


ジュッ……と、足の裏が焼けている気がしなくもないが、多分大丈夫だろう。

一夏は、熱さのためか爪先立ちになりながら早足で波打ち際に向かっていった。

そんな様子を見ながら、辺りを見渡すと既に六割ほど女子生徒が来ていて初っぱなから肌に焼きをいれている子、ビーチバレーに勤しんでるグループ。

延々と泳いでる体育会系女子達や、キャッキャッウフフしながら水をかけあってる女の子等様々だ……まさに、青春を謳歌している様に見えた。



「ヒルト、準備運動しようぜ?いつもの体育の時みたいにさ」

「ん?……男同士でのお肌とお肌の触れあいは出来ればやりたくないから各々でやろうぜ」


――体育の準備運動は基本的に一夏と組んでいる。

四月は美冬やセシリアと準備運動していたんだけどな。

各々で準備運動を開始し、腕や脚、背筋を伸ばしつつ手首足首の柔軟をしていると突如――。


「い、ち、か~~~~~っ!」


そんな声が聞こえ、そっちに振り向くと勢いよく一夏に飛び付く鈴音の姿がそこにあった――。 
 

 
後書き
理不尽な暴力は嫌いといいつつ、思いっきり矛盾して蹴るヒルト

まあそもそもウサミミ抜かなければよかったという話でもあるが――旅館内に残るウサミミがシュールになるけど 
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