君色に染まりて
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02・目覚めたらそこは
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「ふぅん・・・・・・・・。伯爵がごシュウシンなのも分かるね」
「な、何ですかあなたは!出ていって・・・・・・・・・!」
叫びだそうとした唇は、目の前の彼の掌に封じられる。
「おっと。ねぇ・・・・・・・此処から出してあげよっか」
「えっ・・・・・・・・!?」
「ただし、俺とイイことしてくれるなら・・・・・・・・だけど」
とろとろの蜂蜜みたいな笑みと言葉。
頬を撫でる掌を払いたくても、手首を封じられているために叶わない。
「ふっふざけないで・・・・・・・・!」
一瞬だけ、青年の瞳が瞠られる。
「・・・・・・へぇ。キミ、意外と気が強いんだ。
ますますキミを・・・・・・・・俺のモノにしたくなってきちゃった」
近づいてくる唇に、思わずぎゅっと瞳を封じた。
「・・・・・・・・・その手を離せ」
低く冷たい、地を這うような声。
「ナポ君。・・・・・・・・嫌だな、そんなに睨まないでよ。
ただ彼女をからかっていただけだから」
その青年は、漆黒の髪にエメラルドの双眸で。
「どうだか。
お前は女と見れば、すぐ惑わすだろう」
その言葉に、アッシュブロンドの青年のおもてから笑みが消える。
「アズリ、俺はアーサー。アーサー・コナン・ドイル。
・・・・・・・・・いつでも俺のとこに来なよ? 可愛がってアゲルから」
ちゅっと頬にキスが落とされ、思わず目を白黒させる。
「な、何して・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・アーサー」
警告するような彼の視線を、悪戯な笑みではね返す。
「はいはい。・・・・・・・・またね、アズリ」
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