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インフィニット・ゲスエロス(リバース)

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【前編】狼の牙が折れる時(ダリル・ケイシー)

 
前書き
前編ゲス、後編エロ始めました。 

 
…………気に食わねえ。

気に食わねえ!

目の前の黒い機体、その中にいる男に憎悪を込めて銃弾を、斬撃を放つ。

だが、まるで何かの力が働いているかのように、『当たらない』

『警告、左右腕部間接、また下部間接に被弾。残りシールドエネルギー10パーセント』

全ていなされ、かわされ、逆に間接部分に銃弾を叩き込まれる。

(野郎共は使えねえし!)

二十名にのぼる強化アーマーを着けた御付きの者達は、開始早々ダウン。

そして、3分立たないうちに自身のISのシールドエネルギーは底が見えてきた。

「男が…………男ごときが!」

その言葉にゆっくりとした言葉で返答が返される。

「あんまり強い言葉を使うなよ。弱いくせに」

苦し紛れの罵声も、やんわりと返される。

山田太郎。

女しか使用出来ない素晴らしい兵器、ISの唯一の汚点。

それを消すために、同じ女尊男卑の思想を持つスポンサー企業から最新兵器を貰い、逃亡をさせないため人員まで借り受けた。

それが、数分でこれだ。

予想外の悲惨な結果に苛立つ心が、更に自身を追い詰める。

しかも、だ。

(通信が潰されてる…………)

先程から、通信関連が全部駄目になっている。

つまり、追い詰めたつもりが、孤立無援なのはこちら。

「ちきしょう…………」

最後の弾が外れる。

同時に、信じられない速度で目の前に現れる黒い機体。

まるで吸い込まれるようにみぞおちに拳を叩き込まれ、同時に感じる電撃のような感覚に意識を奪われる。

結局、その悔しさを滲ませた言葉を最後に。

彼女の精神は、闇に落ちた。

「やはり、俺は神に好かれているな…………」

無駄に真面目ムーブを繰返し、ストレスがたまっている頃にこんな上玉が現れるとは。

金髪碧眼のモデル顔負けの容姿。

10代の若さとは裏腹に育ちきったヒップとバスト。

カップは俺の太郎アイで見る限りE以上はあるか。

なるほど、神よ。僕に尋問プレイを許して頂けるのですね(感謝)

まあ、俺も望んでやりたい訳じゃないが(建前)

さてと…………

気絶した後、念を入れて睡眠薬を飲ませた甲斐があって、隠れ家に運んでも起きない。

さて、では色々準備しようかな。

適当に部屋の一つを開けると、彼女の肢体をベッドに転がして、登録してある番号の一つを呼び出す。

たとえ、イリーガルな企業でも、報連相(報告・連絡・相談)は大事だもんな。

「あ、ジョンドゥー?ファントムだけどさあ」

片手間に仕込みをしながら、彼は友人の一人に連絡をする。

さて…………精々楽しむとするかね。

これからの事を考えながら、太郎は夜中まで電話を続けた。

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「うん…………つぅ!」

体の痛みに身じろぎしながら、ダリルは目を覚ました。

どうやら、負けたあと拘束されたらしい。

手足が動かない状況で、必死に頭を働かせる。

(ISは、当然外されてるか…………クソッ、服まで変えられてやがる!)

誰が服を脱がせたのかは、言うまでもない。

とにかく現状を把握しようと、動ける範囲で身動きをしようとすると、部屋の扉がほんの少し開いているのに、ダリルは気づいた。

(しめた!これで少しでも情報を!?)

この日、初めてダリルは人が死ぬ所を見たことを後悔した。

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「さて、見てた監視用のモニターで、気絶してたのは見たが…………」

気の強い女ほど、逆境に弱いというのは本当だったらしい。

亡国企業の幹部であり、特に裏切り者や失敗者を処分する部門の長、『ジョン・ドゥ』。

彼に襲撃者の身柄、そして身に付けていた兵器と引き換えに得た、彼の『仕事』中の動画を、ダリルの頭に着けたVRシステムでさも『隣の部屋』で行われているように再生した。

やったことと言えばそれだけなのだが、どうやら恵まれた環境にいる『お嬢ちゃん』には刺激が強すぎたらしい。

(まあ、まだ悪夢は終わらんがね)

ここで心を立て直す暇もなく、三日ほど悲鳴と絶叫の中に置いてあげよう。

手足縛ってあるから、頭の装置に触れられないし外せない。

つまり、この悪夢は自身では絶対に終わらせられない。

(俺を除いてな…………)

3日後を想像し、彼の口元には自然と笑みが浮かんでいた。

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3日を過ぎ、ダリルの頭には既に脱出を考える気持ちは全く残っていなかった。

(死にたくない…………)

目を閉じても聞こえてくる、断末魔の声。

ありとあらゆる拷問が展開され、その悲鳴や言葉が聞こえているのに動く事ができない。

叫んでも、叫んでも、誰も来ない。

無理矢理寝ようとしても、この状況で見る夢が良いはずもなく、昨晩は拷問されて殺された自身を眺めている夢を見る始末。

点滴で栄養素は補給されているのか、致命的な状態ではないものの、彼女のメンタルは崖っぷちであった。

(…………ん?)

ダリルの鼻が、甘い香りを感じると同時に。

彼女の意識はまた暗転した。

「…………ここは?」

「死刑台前だよ」

椅子のようなものに縛られ、項垂れた状態で起きたダリルは、その言葉に顔を上げた。

東洋人の若者顔がその瞳に映る。

直ぐにダリルは、相手が『ターゲット』だった山田太郎である事に気づく。

だが、もはやダリルの心はボロボロだった。

「死にたくない…………」

本来、噛みつくように罵声を浴びせるはずだった口は、自然と言葉を紡いでいた。

その言葉と態度に内心で満足を得ながら、太郎の攻め手は止まらない。

「ほう、亡国企業に新参とはいえ、幹部待遇で所属している俺を襲撃して、言葉一つで『許せ』か。随分偉いんだな」

太郎の言葉にダリルが何も言えずに俯いていると、太郎はスマホを操作し、『ある画面』を見せる。

ダリルがつき出された画面を見ると、そこにはスポンサーの一人が、行方不明になった見出しが。

「遺体とか見つけられても面倒だから、居なくなってもらったらしいぜ?まあ、俺の手で下せなかったのは業腹だが、その代わり慰謝料はガッツリ貰ったよ」

つまりは、だと前置きしてから太郎は告げる。

「後はお前の扱いだけなんだが」

ダリルは暴れた。悲鳴と命乞いを続けながら。

だが、太郎はそれを全く意にかえさない。

薄く笑みを浮かべて、眺めたまま。

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暫く暴れた後、疲れて汗だくになったダリルに、ポツリと太郎は告げる。

「貴様を生かして、俺に何のメリットがあるのか、言ってみろ」

それは、甘美な一筋の蜘蛛の糸。

差し出された助命への道に、ダリルは必死に食らいついた。

「は、はい。私の家からお金も出せるし私自身も戦えるし…………」

は、と太郎は鼻で笑った。

「お供引き連れて即殺された実力を買えと?それに俺が金恵んでもらう必要があるとでも?」

太郎の言っている事はハッタリでも何でもない。

女尊男卑を掲げるグループでは『ISを使えるだけ』と言われていた太郎の実力は、ダリルがどう少なく見積もっても亡国企業の上位陣に匹敵しているし、世界のミリタリーバランスの根幹たるISの特許所有者である彼が金に不自由している訳じゃない。

この時点になって初めて、ダリルは女尊男卑思想という差別で山田太郎という人間をどれだけ誤認していたか気づいた。

だが、そんなこと今言っても関係ない。

「あ…………な、何でもします!何でもしますから!」

「だから具体的に『何』が出来んのか聞いてんだろ?」

僅かに太郎の口調が乱暴になり、強くなるのを聞いて、ダリルの焦りは最高潮に達した。

お金も駄目。武力も駄目。

今まで家の権力や自身の武力で好き勝手していた彼女には、そう引き出しは多くない。

だから、極限状態で彼女が最後にすがったのは、シンプルかつ、直ぐに差し出せる『モノ』だった。

混迷した彼女が、生まれて初めて『男』に媚びる言葉を放つ。

「貴方の女になります!」

「…………ほう?」

少し眉尻を下げた太郎を見て、ダリルは必死にアピールした。

「自分で言うのも何ですが、私、友達からモデル奨められるくらい、学校ではモテてましたし!体にも気を使っているのでスタイルも良いです!それに、私男嫌いだったから経験も無いし!」

(本当に可愛い子だなあ…………)

少し表情と口調を変えるだけで、容易く誘導に乗るとは。

(まあ、好都合だから良いけど)

『太郎にとっての』正解を選んだダリルに、太郎は笑みを浮かべて答えた。

拙いアピールが終わると同時に、太郎が手を叩く。

「なるほど、俺の命を狙った償いに、俺に一生奉仕し続けると?良いじゃないか。伝わったよ。君の誠意」

ダリルの心中に、安堵が広がる。

だが、太郎は性格が悪かった。

「とりあえず『仮』釈放といこうか。まあ、本当に許すかは態度次第かなあ…………」

安心して緩んだ心に楔を打ち込むと、太郎はダリルに近寄った。

首もとに何か薄いテープのようなものを貼り付ける。

「ん!?な、何を?」

「裏切らないダリルには言う必要のないものさ」

貼り付けられた時に感じる違和感に疑問の声をあげるも、そう返されては何も言えない。

続けて拘束を解かれると、そのまま太郎は横抱きにダリルを抱えた。

「あ…………あの…………何処に行くんですか?」

いきなりのボディタッチにビクッとするが、心を折られ、命を握られている現状逆らう訳にはいかない。

恐る恐る伺うダリルに、太郎は笑みと共に答えた。

「ん?今夜は体力使うだろうから、先ずは食事かな」

そう言って、彼は笑った。

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…………美味しい。

目の前の用意されたご飯を、夢中で片付けていく。

湯気が立っているコーンクリームスープ。

炭火で焼いたのか香ばしいベーコン。

サクサクのクロワッサンと共に差し出された『それ』の、なんと甘美なことか。

「旨いか?」

太郎の言葉に、頷きを何度も返す。

「そうか…………なら満足するまで食べると良い。その後に風呂に入ろう」

その言葉に暗に込められた『一緒に』の言葉に一瞬動揺する。

だが、『あの部屋』に戻るのだけはイヤだ。

その思いのもと、ダリルはゆっくりと太郎の問いに頷いた。 
 

 
後書き
今回の被害者⇒ダリル・ケイシー

アメリカ出身の亡国企業の一員。 
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