IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第659話】
前書き
久しぶりな更新( ´艸`)
生徒会で使う備品の発注を各自で行い、それらが終わった後は女子の買い物という事でヒルトも荷物持ちで付き合うことに。
だが腹が減っては戦は出来ず、近くにあるファーストフード店で食事を摂ることに。
数あるファーストフード店でも、ハンバーガーショップで有名なナクマドルドへ――店先に立つ赤アフロのピエロが一際目立ち、不気味であるが故にヒルトは苦手だった。
休日のナクマドルド店内は老若男女問わず、お持ち帰り待ち含めてごった返していた。
「取り敢えず、誰か二人四人用のテーブル席の確保って所かな。 一人は俺と付き合って皆の頼んだメニュー運ぶのを手伝ってほしいけど――」
ヒルトの言葉に小さく眼鏡が光った簪は手を小さくあげた。
「じゃあ私がヒルトを手伝う。 理由はヒルト一人で私達の分を運ぶのは大変、それに私がヒルトを手伝う理由として――」
何やら長くなりそうなのを察知した楯無、それと同時に少しでもヒルトと二人っきりになれるチャンスがあるのならと簪を止め――。
「はい、ストップ! 簪ちゃん、手伝うのはお姉ちゃんがやるから」
「いえ、お姉ちゃんは本音と一緒に席の確保を――」
姉妹のやり取りの最中、本音は然り気無くヒルトの腕を取り、絡ませると天然ゆえか豊満な乳房を押し当てた。
「ひーくん~、二人とも忙しいみたいだからわたしたちでいこう~」
「あ、あぁ」
なし崩しに本音と共に注文を取りに行くヒルト、したたかにヒルトをかっさらう本音に更識姉妹は危機感を抱く。
「……まずい、まずいわよ簪ちゃん」
「……本音、抜け目ないね、お姉ちゃん……」
二人のやり取りもさることながら、今日の本音の服装の気合いの入りようにも危機感を感じている。
普段の彼女は主に着ぐるみみたいな服装、軽く気合いを入れるならリスのパーカー等だが本日の服は女子力の高さを物語っている。
同性から見ても可愛いのだ、今日の本音は。
それでいて巨乳――否、グラビア顔負けのスタイルを誇るのだから危機感を感じずにはいられない。
それはさておき、席の確保をしなければ不味いと思った二人は阿吽の呼吸で頷くと、手早く席を確保。
ただ、二人の座る位置が対面する形ではなく、右と左を空ける形で座ったのだ。
二人の思惑としては空いたどちらの席にヒルトが座っても対面して見つめる、或いは隣になって身を寄り添う事が可能になる素晴らしいシフトを組んだのだ。
咄嗟の姉妹の連繋、流石といえるだろう――其処へ注文を終えたヒルトと本音の二人が姿を現した。
「ん? 二人とも何か変わった座りかたしてるな? 何で両隣――それも楯無さんは右で簪は左を空けてるんだ?」
「き、気分よ気分!」
「わたしは、本音と対面しても隣になっても……と」
よくわからないヒルトは小さく首を傾げ、取り敢えず楯無の隣に座るとトレイを置く。
のほほんさんもそれに続いてトレイを置くと――。
「ん~。 にひひ、ここに座っちゃおー」
何やら思い付いたのか、笑顔を見せたのほほんさんは何と大胆にもヒルトの膝の上に腰掛けた。
ヒルトも一瞬意味が分からず、楯無と簪の二人は何度か瞬きをした後に『その手があったか』という様な表情を見せた。
「ん~。 座り心地いいねぇ~」
「い、いや、流石に人目につくから止めろって、のほほんさん?」
周囲の客もちらちらと注視し、ヒルトは気恥ずかしさを感じた。
それよりも――膝に伝わる柔らかな果肉の感触が理性を徐々に破壊していく。
ムクムクと下半身に血流が行くのを感じたヒルトは――。
「ほ、ほら、降りないと食べれないだろ?」
「本音……降りて」
「そ、そうよ? ね? ひ、ヒルトくんも困ってるし」
「はーい。 ……んじゃ、これでばっちり~」
四人用のテーブルの合間を埋めるサブテーブルを持ってくると、のほほんさんはそれを嵌めてヒルトの隣に。
ヒルトの両隣には楯無、のほほんさん。
対面に簪という――まあ皆が満足してるならそれでいいかとヒルトは思った。
店内が喧騒で賑わい、ヒルト達も話に華を咲かせているとのほほんさんが一口ハンバーガーを頬張った楯無を見て――。
「そういえばたてなっちゃんはねー。 昔、ナクマドルドで店員さんがオーダー取りに来ると思ってて、ずっと座って待ってたんだよ~」
突然暴露された過去話に、顔を赤くする楯無は珍しく狼狽した。
「そ、それを言うかなぁ!? 今!! だいたい、幼稚舎の時の話でしょ!?」
必死に付け加える楯無に、ヒルトはクスクスと笑みが溢れた。
「ははっ、やっぱお嬢様なんだな、楯無さんって」
「と、年上をからかわないの!」
額を叩こうとする楯無、ひょいひょいと器用に避け、時折のほほんさんの胸に肘が当たったりするが本人は気にする様子もなかった。
仲睦まじいやり取りを簪は見つつ、隣に座ればとも思ってしまった。
「あ、ついでにかんちゃんはスムーズに注文したよ~。 前以て予習してたおかげだね~」
「で、でも緊張した、から……」
まあ初見だと誰しも緊張はするだろうとは思う。
「あ、そういえばたてなっちゃん、ハンバーガーをナイフとフォークで食べようとしたんだよ~。 えへへ」
「だ、だからっ! 子供の時の話は止めなさい!」
自身の過去話を好きな人に聞かれるのが恥ずかしい楯無、ヒルトはハンバーガーをたべながら笑っていると――。
「もう! 笑いすぎよ、君は!」
「はははっ」
「はぁ……穴があったら入りたいわね」
もう流れに身を任せた楯無、顔は赤く時折パタパタと手で顔を扇いでいた。
「お姉ちゃん、顔真っ赤……」
そんな簪の言葉に小さく瞳を光らせた楯無――。
「あーらー? 簪ちゃんまでそんなこと言い出すの 良いのかしら?」
「……やぶ蛇」
ニヤリと笑う楯無、意地悪そうに口を開く――。
「ヒルトくん、簪ちゃんはね。 実はピクルスが食べられないのよ」
「そうなんだ? だからさっきパンズ捲ってピクルス抜いてたんだな」
注文はヒルトとのほほんさんの二人が行った為、ハンバーガー全てにピクルスが入っている。
「む、昔の話、だからっ……! ぬ、抜いてたのは、念のため、だからっ……!」
慌ててハンバーガーを隠す簪、既に話題が簪に向いた事で楯無は小さく安堵した。
その後も話に華が咲き、周りもちらちらとヒルト達を見ていた。
「あれって更識姉妹じゃない? この間【ホットショットIS】に特集されていた……」
「っぽいよね? そういえばあのニット帽被った男の子も見たことある気が……」
等という声が聞こえてくる、楯無や簪は不味いと思ったのか急いでハンバーガーを食べ終える。
更識姉妹に気付いた男性が無遠慮に写メを撮り始めたからだ、許可なく行う行為にヒルトは嫌悪感を抱いて注意しようとするのだがそれを止めたのは三人だった。
「ダメよヒルトくん。 事を荒立てたらニュースになっちゃうから」
「撮られるのは、なれてる……」
「だから~、ひーくん怒っちゃダメだからね~」
止められて、歯痒く思うヒルト。
有名ゆえにプライベートすら晒される二人に申し訳無い気持ちになりつつ、ある妙案を思いつき――。
「簪、SNSやってるか?」
「う、うん」
「なら一夏の目撃情報を流してくれないか? あいつの写真つきで。 場所は……下着売り場でいいかな」
そんな感じでSNSに情報をばら蒔くと、瞬く間に拡散――。
「え? 織斑一夏が下着売り場に居るって!?」
「マジ!? こうしちゃいられない! 一夏君からサインもらわなきゃ!」
無断撮影していた者達皆がナクマドルドを後にする。
「一夏には悪いけど、ちょっと利用させてもらったよ」
「こら、あまりそういうことしちゃダメよ。 ……とはいえ、少しだけ彼の名前に感謝ね」
小さくウインクする楯無に、頷く三人――また何かが起きる前に四人はナクマドルドを後にした。
後書き
呟きにも書いてるけど十二巻購入
取り敢えずにゃん次郎どこいった?
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