エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
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第36話 日英共同宣言とアイドル提督の復活 ターン32.5
前書き
更新が開いて申し訳ありません。
間が空きすぎて文章の書き方や脳内にあったプロットが消えてます(汗)
少しずつ改訂を加えながら更新していくつもりです。
――――海軍司令部――――
ベトナムで第三艦隊に合流し印度洋艦隊にいくつかの指示を出した後、
伏見は海軍司令部の東郷長官の下へと向かった。
「帰国早々、すまないね。伏見総長」
長官からは、いつもアメリカンコーヒーが出される。
たっぷりと砂糖と粉ミルクを入れて飲む。
「いえ、私も御前会議の前に長官と話を詰めるつもりでしたので……
とりあえず表向きだけでも日英で共同宣言を採択できたのは幸いでした」
エイリスおよびガメリカとの停戦交渉は失敗したが、
レーティア・アドルフを含むドクツ亡命者の受け入れを認めさせた。
「我々日英の両国軍人はハンバーグ条約(国際戦時法)に乗っ取って
正々堂々と戦うことを約束します。か……まるで運動会の選手宣誓だな」
「おや、東郷長官はルール無用の大戦争をご希望ですか?」
「いや、そんなことはない。なんでもありなのは、ベッドの上だけで十分だ」
個人的には性に関しても前世より開拓精神にあふれていると思うが個人的なNGはある。
なんでもあり(バーリ・トゥード)のルールで戦えば勝てる気がしない相手。
それがエロゲー主人公の東郷毅。恐るべしだ。アリスソフトのエロって、ぬるくないしな。
「その件に関しましても、外交の再開に伴い、駐在武官を受け入れを認める方向です。
くれぐれもプライベートでの火遊びについては国家の重鎮として、ご自重お願いますよ」
エイリス外交での苦悩を思い出し、こめかみを軽く抑える。
「まあプラベートで下手は打たないさ。それで王室の反応は?」
おい、火遊びする気、満々じゃねーか! もう、この話題はキリがないし避けよう。
「やはり貴族院に財閥の手が伸びてるようです。
王室も自由には動けない。熱心な愛国者()に悩まされる我が国と同じですね」
「はて、伏見総長は愛国者ではなかったのかい?」
「さて、彼らの瞳に映る美しい国()と
私が住まう母国は、どうも同じ国とは思えないので」
「王室との密約の件については了承した。
どちらにせよ彼らが事を起こせば、太平洋艦隊はハワイに釘付けになるだろう」
「ガメリカ本土侵攻は、ワープゲート探索実験の結果次第ですか?」
「ああ、そうなるな。それに北方の抑えも必要なのだろう?」
「はい。間違いなく動きます」
まあソビエト参戦については半分くらいは原作ゲーム知識だけどね。
「となると艦隊が足りんな」
「ええ、八八艦隊計画はあくまで亜細亜・太平洋星海域での運用計画です」
「戦線が三方面に拡大ともなるとな……総長の考えは?」
「最低でも実働部隊が正規艦隊と非正規艦隊で二十は必要かと?」
「非正規艦隊はともかく正規艦隊は指揮を任せれる提督がいない。
第七艦隊の後任さえ決まらぬ状態だ」
「私なら彼女を推薦しますが?」
「……ふむ。しかし、彼女は精神状態がよくないようだが?」
「大丈夫です。なぜなら、優秀なプロデューサーが戻ってきましたから」
――――惑星日本首都――――
ゲッベルスは伏見と別れ一足先にアドルフに会うため帝都を訪れていた。
「な、なんてこと……アイドルが外でしちゃいけない格好よ」
アドルフは風爽やかな晴天のもとデートの真っ最中だった。
その格好はメガネにジャージという芋っぽい姿だ。
その隣に並ぶのはデート中でも木刀を肌身離さず持ち歩く田中雷蔵少将。
「あの……すいません、宣伝相。私の力が及ばず申し訳ありません」
合流してから再三に渡ってゲッベルスに謝罪するデーニッツ。
彼女は気落ちしたままのアドルフを励ますことができず凹んでいた。
「あ、あのぉ……デーニッツ提督も総統閣下を元気づけようと努力されまして――」
アドルフの亡命に付き添ったケッテンクラート少佐が必死にフォローしながら経緯を話す。
「それで長官のトーゴーに相談したら、ボーイフレンドを紹介するって話になった訳?」
「ナイン。田中提督は以前から総統にちょっかいをかけていました」
「ヤー。東郷長官は自らが立候補したい様子でした」
「ねえ、ふたりとも念の為に確認するけど、
目つきの悪い木刀を持った提督やロンドンで変態行為を指摘された破廉恥エロ長官が、
レーティアの相手として釣り合うと思う?」
「「絶対にありえません!!」」
「よろしい。だったらフライデーされる前に連れ出すわよ。
少し見守ってたけど、たいした進展もなし……さて排除しましょう」
「「……こくり」」
敏腕Pの言葉にデーニッツとケッテンクラートは無言で頷き行動に移る。
「でよ、その時、あのエロ長官が――」
デートに相応しくないムードのない話は途中で途切れる。
田中の後ろに回り込んだケッテンクラートが恐ろしく早い手刀を首筋に打ち込んだ。
そしてデーニッツと共に気絶した田中を路地裏へと排除する。
幸いにもアドルフはその一連の流れに気づくことはなかった。
「レーティア!」
「……ゲッベルス」
「アイドルがそんな格好で外を出歩いたら駄目よ」
「……もう私はアイドルなんかじゃない。
祖国を滅ぼしたアイドル総統なんて、ファンに許されるはずがない」
レーティア・アドルフは、湧き上がる罪悪感に胸を締め付けられていた。
祖国と祖国の民を見捨て亡命した。才能に自惚れ国を滅ぼした。
そう。自分は取り返しがつかぬ過ちを犯した大罪人なのだ――。
「何を言ってるのレーティア。貴方は宇宙一のアイドルよ」
「……私のミスがドクツを滅ぼした。私にそんな資格はない」
「万を超えるのドクツ人が、日本に亡命してくるというのに?」
「……えっ?」
「第三帝国の解散コンサートの映像は見てないの?」
「……ああ」
「皆が貴女の次のコンサートを楽しみにしてるのよ?」
「でも今の私はみすぼらしい亡命者だ。もう総統でもなんでもないんだ。
こんな頼りない私に着いて来る者など」
「ねえ、レーティア。貴女は夢を諦めたの?」
「……夢?」
「ドクツ民は貴女が総統だったから
アイドルとしての貴女を応援してたわけじゃないの。
第一次宇宙大戦の敗北でドクツはどん底だった。
そのどん底な世界に夢を与えたアイドルが貴女。
貴女はアイドルとして夢を歌ったから、総統になったの」
「宣伝相の仰る通りです。
私も総統選挙で閣下の歌を初めて聞いたときは感動しました。
絶対にこの人ならドクツを変えてくれる。そう信じて票を投じました。
そこから第三帝国としてドクツを再興させたのは総統閣下ではありませんか」
「ケッテンクラート少佐の言う通りよ。
ドクツ民は貴女に夢を見たの。そして貴女は最初の夢を叶えた。
レーティア、一度や二度の敗北で大きな夢を諦めるの?」
「……総統閣下が夢を諦めたというのでしたら、私は何も申しません。
ですが我々に気を遣っておいでだというのでしたら、それは無用の遠慮です」
「……デーニッツ」
「レーティア、初めて出会った日のことを覚えてる?
貴女は何一つ肩書のない一人の女の子だった」
「ゲッベルス。……そうだったな」
「みんな貴女と一緒に大きな夢がみたいの」
「我々ドクツ民に総統と共にある以上の夢はありません」
「本当は分かっていたんだ。
私が為すべきこと……私が望んでいること……
けど、これ以上、しくじるのが怖くて、ずっと自分に言い訳ばかりしてた」
アドルフの瞳に失われていた光が少しずつ戻る。
「夢半ばで倒れていった何千人、何万人……ここで立ち止まっちゃ裏切ることになる」
「……総統閣下!」
「どうぞ胸を張って、我々に号令を出してください」
「ありがとう、おかげで目が覚めた。すぐ命令を出す。
デーニッツとケッテンクラートは、それまで待機していてくれ」
「「はッ! 了解しました。ハイル・アドルフ!」」
二人のドクツ軍人がアドルフに敬礼する。
「レーティア、私は貴女のプロデューサーを続けていいのかしら?」
「頼む。私をプロデュースできるのはゲッベルスしかいない」
「じゃあ! さっそくホテルに戻ってからはレッスンね」
「えっ!? ちょっと待って――」
「安心しなさい。アイドルは担当プロデューサーからは逃げられない」
それから数日の間、アドルフは敏腕Pゲッベルスの固有結界のなかでレッスンを受けた。
ドクツ民亡命者の受け入れに合わせて帝都武道館で開かれたコンサートは大盛況だった。
三日間に渡り行われたコンサートにはドクツ民ならず、多くの日本人が押し寄せた。
コンサートの一部は国営放送局を通してお茶の間へと流れた。
発表された新曲は大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした。
そして海軍からはレーティア・アドルフが第七艦隊の提督となることが発表された。
初になる正規艦隊の外国人提督の採用は波紋を呼ぶ方と思われたが……
今や国民的アイドルとなったアドルフの非難する者は一部の熱狂的な排他的愛国者だけだった。
後書き
ようやくランスロスから少しずつ回復しております。
ランスX後に発表されたランスの二次創作では、
ハーメルンの『ルドラサウム転生異聞録』(てんぞー様)と
やる夫スレの『TOKIO ~光を求めて~』(エレボス様)の作品が心に響きました。
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