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君色に染まりて

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01・All of The Beginning(すべての発端)
  1

「アズリ・・・・・・・・!」

「ぁ・・・ごめんなさい。なに?」

カフェにて友人二人と紅茶とケーキを挟んでいたとき、ふいに名を呼ばれ。

「何、じゃないよ。貴方さっきから上の空じゃない・・・・・・・・。」

「ご、ごめんなさい」

苦笑しつつ、彼女は先刻の体験を思考に載せる。


まるで、『別の時代』に独り放り出されたようで。

・・・・・・・・・・でもどこか、優しい光景だった。

その中で、彼女の名を呼ぶ声がして―――。


「アズリ!」

肩に触れられ、初めて現実世界へと帰ってくる。

「本当に大丈夫?もうお開きにしよう?」

「あたし、送ってくよ?」

口々に心配を声に載せる友人たちに、彼女は微笑って見せた。

「大丈夫だよ。ごめんなさい・・・・・・・、私帰るね」

ふらつく脚を叱咤して、自宅へとつま先を目指した。


 
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