IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第172話】
「遅くなってすまない。 待たせたな、我が嫁よ」
そんな言葉と共に入り口から入ってくる声の主はラウラだ。
「いや、皆と話しながら待って……。 ……ラウラ?」
「む? どうした?」
入ってきたラウラの姿を見た全員が口をあんぐりと開いたまま入ってきたラウラを見ていた。
その格好というのが――。
「……それってさ、裸エプロン?」
「む? 何を言う。 下には水着を着ているぞ? ほら」
言うやエプロンの裾を掴み、勢いよくたくしあげるとそこには学園指定のスクール水着を着ていた。
ご丁寧に【らうら】と平仮名で書かれている。
……これもいつも疑問に思うのだが何故外人さんは皆平仮名で書くのだろうか?
七月に入り、何回か水泳の授業もあったのだが外人さんは名前を平仮名で書く傾向が強い。
普通にアルファベットでいい気がしないでもないのだが――。
「……ラウラ、下に水着着てるのはわかったが何故水着エプロンなんだ?」
「む? 男はこの姿に弱いとクラリッサから――」
「……いや、ちょっと待て。 その情報は絶対間違ってる。 裸エプロンでも俺は微妙に感じるぞ」
「な、なんだとっ!? ……き、緊急事態だ」
軽く否定すると、ショックを受けたのかラウラの表情が目まぐるしく変化していった。
「……クラリッサさんに言っとけ。 男が皆水着エプロンに弱いわけじゃないと。 隠された中に、輝く秘宝というものがあるのだよ。 肌を露出させるのが全てじゃない!」
「な、なんだと!? な、ならヒルトはどのような格好だと反応するというのだっ!?」
「あっ、それって何気に気になるかも。 お兄ちゃんって女の子のどんな格好が好きとかあるの??」
そんな美冬の言葉に、何故か皆の目が輝いて見えた。
……こんなのに興味があるのか、皆は?
「好きな格好ねぇ……。 ……最近のムーブメントは――」
「「「む、ムーブメント……?」」」
そう聞き返す場に居る女子一同。
不思議と注目されるのに快感を覚えそうな――。
「フッ……最近の俺のムーブメントはずばり――【チャイナドレス】だ!」
「「「…………へ?」」」
気の抜けた声が部屋に響くなか、俺は言葉を続けていく。
「チャイナドレスは中国が生んだ至宝と言っても良いだろう。 チャイナミニではなくスリットの入ったロングタイプが今のムーブメントだ」
「は、はぁ……」
「そ、そぅなんだ……」
そんな曖昧な返事をするのはセシリアとシャルだった。
「最近だとパーティー会場でもチャイナドレスを着る女性も多いと聞く。 ……スリットから出る生足はまさしく甘い果実の様な甘美かつ、大人の色気を醸し出す様な――って、上手く言えないが少なくとも俺はそそられるな」
そんな俺の力説を、美冬は呆れた様な表情で見ながら口を開く。
「ふぅん……。 お兄ちゃんってニーハイとか好きなのかなって思ってたけど――」
「ニーハイはニーハイで好きだぞ? でも今のムーブメントはチャイナドレス――和製英語だが、あの魅惑的な服の威力は凄まじいさ、これがなッ!」
グッと拳を握り、力を込める――。
そんな俺を見ながら、ラウラは口を開く。
「むっ。 ……チャイナドレスか……どのような物なのか後で調べておこう。 嫁の好みの格好をするのが夫の務めというものだ。 うむ」
言って腕を組み、うんうんと頷くラウラ。
「チャイナドレスですか……。 わたくしは拝見したことはありますが着たことはありませんわね」
「む? それは勿体ないぞセシリア? その艶やかな金髪に蒼のチャイナドレス……長いスリットから零れる生足が更にセシリアの魅力を高めるというのに……勿体ない!」
若干オーバーアクション気味に言うや、セシリアが――。
「わ、わたくしの魅力が上がるということであれば聞き逃す訳にはいきませんわね。 ……その、今度取り寄せますので一度見てくださいますか、ヒルトさん?」
「無論だ。 絶対似合う! 断言する! てか是非見たい!」
力説しながらセシリアの両手を包むように握ると、その行為に驚いたセシリアの頬が染まり、恥じらうように顔を背ける。
それと同時に突き刺さる視線を複数感じるのだが――。
「じゃあ、もしチャイナドレス買ったら着て見せてくれよな?」
「え、えぇ。 勿論ですわ♪」
目映いばかりの笑顔を見せるセシリア――と。
「……お兄ちゃん?」
「ヒルト、いつまでセシリアの手を握ってるの?」
「アンタねぇ……セシリアばかりズルいわよ!!」
「フフッ、ヒルト……一人だけ贔屓にするの、ズルいよ?」
「また浮気か……。 どうやら一度本気で躾ないといけないようだな?」
言われて手を離すと、皆の表情は笑顔なのだが、血管が浮き出て怒りを表していた。
「にょっ!? ……なら、皆も見せてくれよ。 せっかく何だしさ」
背中に冷や汗を感じつつ、そう伝えると――。
「……き、気が向いたら着てあげるけど、それとこれとは別だからね? お兄ちゃん?」
そう告げる美冬だが、チャイナドレスを着るというのは満更でもなく、だがやはり気恥ずかしさがあるからか視線を逸らして頬を染め上げる。
「……た、誕生日だし、仕方ないから着てあげるけど……。 ……な、何色が似合うと思う……ヒルト……?」
「未来なら白だな。 白に龍をあしらった奴とかかっこ良さそう!」
「ふ、ふぅん? ……さ、探してみる……」
言って美冬と同じく頬を染める未来。
何気に未来のチャイナドレス姿もといコスプレ(?)って初めてだな。
「あ、アタシはあんたに見せる筋合いは無いけど……。 た、例えばの話だけどさ。 な、何色のチャイナドレスが似合うと思う?」
「鈴音か? 赤だな。 因みに鈴音ならチャイナミニでも可。 あれはあれで鈴音の健康的な脚線美を引き立たせる」
「な、何言ってんだかッ!! ……け、検討だけはしてあげるからねっ。 あんたに見せたい訳じゃないからッ!」
「おぅ。 何かのついでで構わないさ」
怒ったり照れたりと表情を変える鈴音。
何だかんだで見せてくれる様な気がするのは気のせいではないだろう――多分。
「僕だと何色が似合うかなぁ? ……も、勿論ヒルトの好きな色で僕を染め上げてもいいけど……さ」
……と、聞く人によっては何と言う若干エロ発言と思われる台詞を発したのはシャルだ。
さっきまでの怒りは消えたのか、言葉が恥ずかしかったのかやはり視線を逸らし、軽くもじもじと指を弄びながら訊ねてくる。
「シャルは……。 やはりライムグリーンかな……うん」
「そう……? ……ヒルトって、僕にその色をよく薦めるよね? 何でなの……?」
期待に満ちた瞳で真っ直ぐと見つめてくるシャル。
このシャルの言葉に、また皆がピクリと反応を示した。
「……シャルのラファール・リヴァイヴはオレンジだからよくオレンジとか似合うって言われるだろ? ……だが、俺は少なくともシャルにはそういった優しさを感じるグリーン系統、それも明るいライムグリーンが似合うと思ってな。 ドレスとかでも映えると思うしさ」
「そ、そっかぁ……。 ……うん、何かそう言ってくれると凄く嬉しいかも……」
正座で座っていたシャルはくるりと窓側の方へと向く。
……怒らせたか?
そう思っていると、シャルの隣にいた美冬が様子を見ると――。
「……今のシャル、凄く恋する乙女って表情だ……」
「ふぇっ!? み、美冬! 僕そんな表情してないよっ」
「あははっ♪ 嘘ばっかり~♪」
様子を見る限り、怒ってないようで一安心。
二人がじゃれあうのを見つつ、残されたラウラを見ると。
「い、いよいよ私の番だな。 ……真打ちは最後というのが少し不安な気持ちにさせるのだが……ど、どんな色が好みなのだ、ヒルト?」
「ラウラに関しては絶対黒! ラウラも鈴音同様チャイナミニが似合うだろう。 勿論スリットの入ったロングタイプもだが」
「うむ。 私もそう言うと思っていたぞ。 ……そういえば遅れたがプレゼントだ。 受け取ってほしい」
言って何処からか取り出すラウラ――だが、手渡されたものが……。
「……な、ナイフ?」
何と、手渡されたのがナイフ――それも、刃渡り三十センチ程あるナイフだった……。
後書き
チャイナドレス
実はかなり好きだったりする
関東は今週がゴーレムⅢ戦との噂が
あの一夏の泣きも笑いもしない謎のヒーローをディスる発言が声つきで聞けるか気になる
俺としては裏奥義()をやってほしかったが
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