IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
【第211話】
前書き
短いっす
玄関へと戻る道中――曲がり角から突如現れる人影。
ドンッ――とぶつかり、人影は弾かれた様に尻餅をついた。
「おー、痛いぞー」
「わ、悪い。 大丈夫か? ――って、宇崎か、帰省中だったんじゃなかったのか?」
「さっきモノレールに揺られて帰ってきたー。 へへへ~」
にへらっと笑って、俺とぶつかった人影は宇崎玲だった。
クラスメイトで銃を持つと性格が豹変する子だが、不思議と女の子人気は高い。
派手に尻餅をついた宇崎は、自分のお尻を撫でていた――強打したのかもしれない。
「わ、悪かったな宇崎。 まさか同じタイミングで来るとは思わなくてな。 ……ほら」
「おー、お尻打ったけど案外平気ー。 ……ありがとー」
差し伸べた手を取り、立ち上がる宇崎は埃を払うようにスカートを叩く。
彼女も私服で、上は黒い夏用のブラウスに下はスリットの入ったロングスカートを穿いていたが、幼い容姿に似合わない大人びた格好のギャップが堪らないかもしれない。
「……うん、大丈夫そうだな」
「うんー、身体は案外丈夫ー。 でもお尻、おっきくなったかもー?」
そう言ってやはりまだ痛むのかお尻を撫でて気にする様子を見せる宇崎に――。
「わ、悪いな……」
「うふふー。 少しおっきくなっても大丈夫なのだー」
間延びし、ふわふわとした声が通路に響く。
「でも、悪いと思ったら荷物運び、手伝ってけー♪」
「……了解、てかよく見たら荷物そこそこあるな」
見ると、キャリーケースを二つ程立ってるのが見えた。
一つ、やたら大きい気がするのは気のせいではないだろう。
「パパがみんなにお土産もっていけーって言ってた~。 だから有坂にもあげる~」
そう言ってでかい方のキャリーケースを開けると、中から包みが出てきた。
それを手に取り、キャリーケースを閉めると――。
「はい。 つまらないものだけど中身は詰まってるのだー」
「おぅ、悪いな宇崎。 ……お菓子か?」
「うん~。 パパの知り合いの老舗店のお煎餅~。 有名じゃないけど、パパも私もみんな好き~♪ 量は一人前だから少ないけどね~」
「いやいや、くれるだけでも有り難いよ。 ありがとな?」
「いえいえ~♪ じゃま部屋まで荷物運びだー、手伝ってけー」
そう言ってキャリーケースを引いて俺に渡すと、意気揚々と歩き始める。
スリットから覗く生足がちらりと見える度に意識するのはやはり彼女も美脚だからだろう。
ゴロゴロと音を立てながらキャリーケース二個引っ張って宇崎の後に着いていった。
もらった煎餅は制服のポケットにちゃんと仕舞ってるので多分問題ないが――。
そこから他愛ない話をしながら歩いてると、直に部屋へと到着した。
「着いた~♪ 懐かしき我が部屋~♪ 有坂ー、ありがとー♪」
ペコリと折り目正しく頭を下げる宇崎に――。
「気にするなって、クラスメイトで仲間なんだからさ」
「おー? 友達じゃない~?」
そう首を傾げて聞いてくる宇崎のさらさらな髪が、流れる様に軽く靡いた。
「もちろん、友達でもあるさ。 ……ははっ、改めて言うと照れるところがあるな」
「お~♪ でも私は嬉しい~♪ えへへ~、じゃあまた困った事があったら有坂に言う~」
屈託のない笑顔で言う宇崎に、キャリーケース二個を手渡すと。
「じゃあ有坂~、またね~♪」
「おぅ、またな」
そう言って部屋の中に入り、ドアが静かに閉まった。
「……さて、整備室に改めて向かうか」
独り言を呟くと、足早に俺は整備室に向かう。
外は本降りの雨で、雨音が窓を叩く音が激しくなる中、傘を手に取って差し、激しい雨の中を移動していった――。
後書き
まだ暫くオリジナルで続きます
短い話もあるかもですが
ページ上へ戻る