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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第470話】

 
前書き
いきなり場面が飛びます(ぇ

しかも短いです

亡国機業……じゃなく、カーマインの方の話ー 

 
 明るい部屋の一室、様々な調度品が飾られた一室にカーマインは居た。


「あぎゃ……本拠に帰ってきたはいいが……暇すぎてダルいぜ……」


 ため息がこぼれ落ちるカーマイン――射撃訓練でもするかと重い腰を上げた矢先――。


「すまないなカーマイン、色々待たせたようだ」

「……ボス、やっと帰還かぃ? 流石の俺様も待ちくたびれたぜ?」


 ドアを開き、現れたのは青みがかった白銀の髪の男――だが、目元にはまるでその素顔を隠すような仮面が付けられていた。

 カーマイン自身、気にはなるものの本人が口外しないのであれば深く追求するつもりもなかった。


「まあ良いさ。 ――で、俺様をわざわざ呼び戻したって事はボス直々に――」

「あぁ、済まないがこの日……IS学園に行ってきてもらえないだろうか?」


 そう言って小型の投影ディスプレイに映し出された日付は、奇しくもISタッグマッチ大会のある日だった。

 カーマインも既にその情報を得ている、ただの下らない大会だ。

 キャノンボール・ファストの様に注目を浴びる訳じゃない――そもそも、俺様は注目を浴びてはいけない存在なのだが。

 怪訝そうな表情のカーマインを見た白銀の仮面男は――。


「不満か、カーマイン?」

「あぎゃ、まあな……大会の中断でも狙うつもりなのか、ボスは?」


 自身の赤い髪を弄りながら白銀の仮面男を見る、口許を僅かに緩ませた仮面男は――。


「フッ……まさか。 既に【大会は中止】確定が決まってる所に、わざわざ襲撃させる訳ないだろ?」

「あぎゃ……?」


 白銀の仮面男の含みのある言い方、まるでこれから先何が起きるのかわかっているようにも思える。

 疑問に思うカーマイン、だが命令には従う。


「あぎゃ、わかった。 ――それで、今回の目的は何だ?」

「フッ、今回は――――――だ、必ず果たせ」


 カーマインの目が見開く、それほど予想外の任務だったからだ。

 それと同時に何故そんな任務を俺様にという思いも強まる。

 とはいえ【命の恩人】である彼の言うことを聞かないと言うわけにはいかない、気乗りしないがカーマインは頷いた。


「済まないなカーマイン、俺自身が向かっても良いのだが、な……」

「あぎゃ……まあ良いさ、気乗りしないがボスの命令だ。 あんたには借りもある、今回だけは守ってやるさ――【IS学園】をな。 ――じゃあ俺様は日本に戻るぜ……」


 そう言ってから立ち上がるカーマイン、部屋から出ていくと残された仮面の男は軽く息を吐く。


「……【此方】でもあまり変わらず、か。 ……この世界は。 ……まあ良いさ、やるべき事に違いはない……」


 そう呟く仮面の男の背後に黒い影――サイレンサー付きの大型拳銃の照準が男に向けられた。

 引き金を引く黒い影――放たれた弾丸は彼の頭部に向かって突き進む。


「……【トゥルース】、展開……」


 小さく呟く仮面の男、その全身が光に包まれると全身に漆黒の鎧を身に纏った姿が――。


「なっ!?」


 黒い影は狼狽した、必殺必中の弾丸が見えない障壁に阻まれたのもそうだが、振り向いた仮面の男が纏っていたのは【IS】だったからだ。


「……どうやらこの屋敷の警備に穴があったようだな、とはいえ……この程度で俺の命を取ることは浅はかなりってな……」

「ひぃっ……!?」


 赤いツインアイに光が点る、黒い影が逃げ出そうとしたその時、室内であるにも瞬時加速で黒い影の背後を取り、頭を鷲掴みするやそのまま持ち上げた。

 仮面の男はそのまま頭部を潰しても良いと思った、だが念のため情報を聞き出せないか自身の命を狙った暗殺者にコンタクトを取る。


「……この場所を突き止めたのはなかなか良かったが、俺を倒すにはお前一人じゃ役不足さ。 ……何処の組織の人間だ?」

「くっ……お、俺はプロだ、口が裂けても言えな――え?」


 仮面の男のため息が聞こえたと思ったら、男の視点が反転し、ぐるぐると周囲一帯の景色が回って見えた。

 そして地面に顔から落ち、衝撃で顔を歪めるが【何故】か未だにゴロゴロと転がる――そして、ピタッと止まり、状況を確認しようと見上げるや、そこにあったのは頭部の無い身体だった。

 ぐらり……そう身体が揺れ、倒れ込む身体を見た男は目を見開き、こう心で叫んだ。

 ――俺の身体だ――。

 そう思った彼の意識は深い闇の底へと落ちていく――それっきり彼が目覚めることはなかった。


「プロだろうと何だろうと、喋らない奴と戯れるほど俺には余裕のある時間はないんでな。 来世で働き者にでも生まれ変わるんだな、これがな」


 言ってから血で汚れた剣を拭う仮面の男。
 
 纏っていたISは既に解除されていて、すぐさま連絡を取った。


「俺だ、本拠を移転する。 ――ん、どうやら警備に穴があったらしくてな。 ……あぁ、とりあえずの仮の場所は追って伝える。 ……あぁ、頼んだぞ」


 通信を切る、物言わぬ頭部の無い躯の横を歩いて抜け、壁をISでぶち抜いて外へと出る。


「さて、次の本拠は日本にでもするかな……アメリカやロシアでも悪くは無いがな」


 起動したISを纏い、右手に粒子が集束――長大なライフルが形成された。

 一気に空へと上昇、本拠には既に生命反応が無いことを確認するやライフルの砲身から莫大なエネルギー反応を見せる、測定すれば異常な数値を叩き出す程だろう。

 トリガーを引いた瞬間、目映い閃光が放たれ、粒子が突き進み、本拠の重要箇所に直撃したその瞬間、盛大に本拠のあった場所が吹き飛んだ。


「まずはアメリカでも行くかな」


 仮面の男はそう小さく呟く、日本より先にアメリカを確認したかったのかもしれないし、気紛れなのかもしれない。

 激しい炎に包まれ、何度も爆発を繰り返す元本拠を背に、漆黒の機体は大空の彼方へと消えていった。
 
 

 
後書き
オシシ仮面じゃないよ

はてさて……どうなるやら……

 
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