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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第149話】

 
前書き
うーん(-_-;)

駄文かも

お目汚しすみませぬ 

 
――???――


 目映い閃光が視界を覆い、時が止まる感覚に襲われた次の瞬間には、気がつくと、俺は何処ともわからない場所に立っているという状況だった。

 周囲を見渡すが、濃い霧がかかっていて前方一メートルも解らないほどの濃い――まるで、朝に森林浴に出掛けたような、そんな感じがする程の霧が立ち込めていた。

 足元には無機質の真っ白な床。

 上を見上げれば蒼い空とこの場所が全くわからない――見覚えがなかった。


「……もしかして死んだのか、俺?」


 そんな呟きに反応するように、言葉が聞こえてきた。


『ううん、貴方はまだ死んでないよ?【私が死なせないもの】』

「――誰だッ!?」


 反響する声に、周囲一帯を見渡し警戒するが誰も居ず、更に言葉が聞こえてきて――。


『そんなに警戒しないで?――ここから出たいでしょ?なら真っ直ぐ歩いて来て』


 そんな声が聞こえるが、正体も解らず、身構えていると――。


『……もぅ。警戒し過ぎ、真っ直ぐ歩いてくれば少なくとも私には会えるから――来て?……それに、いつまでも貴方はここに居られない筈――でしょ?』

「……そうだな。――誰かはわからないが、俺はまだ生きてるんだな?」

『もちろんよ。言ったでしょ?【私が貴方を死なせない】って……』

「……それが今一信用出来ないんだよな……。だが、今は従うしか無いようだな」

『そうよ?じゃあ、このまま真っ直ぐね?』



 その言葉に従うように、ゆっくりと真っ直ぐ歩き続ける。

 無機質の真っ白な床を歩く度に、コツコツと靴音が辺りを反響して聴こえてくる――だが、少し歩くとその反響は無くなり、気付くと草の上を歩いていた。


「……ここ、何処だよ。――ったく……」

『文句言わないの。もう少しだから――』

「わかったって……」


 まだ生きてるのなら、こんなところをゆっくり歩いてる場合じゃない。

 そう思った俺は、そのまま歩き続ける。

――やがて、霧が晴れていき、気付くと前方に人を発見した。


「……【やっと会えた】ね、ヒルト?」

「やっと会えた?」


 目の前に居たのは女の子だった。

 それも、腕を後ろに組んで、見上げるような上目遣いで此方を見てくる。

 髪は黒髪のポニーテール、顔立ちは少し幼くも感じるが――美少女という形容詞はまさに彼女の為にあると言っても過言では無いぐらい――。


「ふふっ、ありがとう。褒めても何も出ないけどね?」

「……っ!?」



 考えてることがわかったのか、突然お礼を言った彼女に驚き――。


「うふふ。【貴方の考えてること、何でもわかるよ?】。ずっと見てきたからね、私」

「ずっと……?」


 何者なんだ……?

 よくよく考えれば、俺の名前を一発で言い当てたし……。

 それに何だか……、この声に聞き覚えがある気がする。


「……ふふっ。ヒルト?まだわからない?――【私は何度か貴方に話し掛けたり、返答した事があるわよ】?」

「……?――――まさか……!?」


 いつもでは無いが、時折聴こえてくるあの謎の声の事だろうか……?


「ふふっ。正解よ?お昼前にも貴方に応えたでしょ?」

「……確かに、応えてるし――声も似てる」

「……似てるってよりはご本人だけどね」

「わ、悪い……。――だが良かったよ、俺の幻聴じゃなくて」

「ふふっ。私も、貴方に私の声が届いたのが嬉しいよ?」


 屈託のない満面の笑み。

 何故か心臓がドクンッと跳ね上がり、咳払いをして――。


「こほん。――声の正体はわかったが、君の名前がわからないな。自己紹介してくれるか?」

「……やだ、名前可愛くないもん」

「…………」


 予想の斜め上の答えに、ポカンとしていると――。


「し、仕方ないじゃない。私だってまさかあんな名前になるなんてさ……。リヴァちゃんとか、レーゲちゃんとか、ティアちゃんみたいな名前が良かったのに……。まさかむら――」

「むら?」

「ニャッ!?何でもなーいッ!!」


 目まぐるしく表情の変わる彼女に、驚きつつも――。


「でもさ、名前が無いと何て呼べばいいかわからないだろ?――流石にお前とか、あんたって呼ぶわけにはいかないし」

「むぅ……。可愛くないから教えたくないもん……。でも……どうしても呼びたいなら、【ムラクモ】――そう呼んで?……可愛くないけど」

「【ムラクモ】……?――ムラクモ……ってもしかして――」


「…………」


 後ろ向きで屈んだ彼女は、小さく頷く。


「【村雲・弐式】――」

「フルネームで呼ぶなぁーッ!!」


 今にも噛みつきそうな勢いで振り向くムラクモ。

 表情は気恥ずかしさと微妙な怒りでよくわからない表情に。


「わ、悪い悪い――。そうか、前に山田先生が授業で言ってたな。――『ISには意識にも似たようなものがある』って」

「……うん。まあコア自身、実は皆意識があったりするんだけどね?――でも、貴方が初めてかもしれない。ちゃんと私みたいなコアと『対話』を果たしたのって」

「……よく解らんが、凄い事なのか?」

「うん、凄い事だよ。――後でコア・ネットワーク経由で調べるけど、多分初めてかも?」


 そんな疑問符を浮かべつつ、くるりと横に一回回ると、ふわりとスカートが舞う――。


「ば、バカ!幾らなんでも短いスカートで回ると下着見えるぞっ!!」

「ん?ちゃんとパンツ穿いてるから大丈夫大丈夫!」

「だあっ!?大丈夫じゃねぇっ!?――大人しくしてろって……ったく」


 言うや、頬を膨らませつつ――。


「むぅ。貴方が短いスカート好きって言ってたじゃない……」

「……確かに言った記憶はあるが――まあいいや。それよりもまだ生きてるのなら、早く戻らないといけないんだが――」


 そう言い、周囲を再度見渡すが、特に出口らしきものは見えず――。


「待って、ヒルト?――もう少しだけ、話良いでしょ?」

「……?」


 さっきまでの彼女と違い、今は真剣な眼差しで俺を真っ直ぐと見つめてくる。



「……唐突だけどね。貴方、何で最初、【ISで空が飛べなかった】と思う?」

「――唐突だな。……才能が無いからか?」

「……ううん、そんな理由じゃないよ?――貴方が最初に触れたIS、覚えてる?」


 ムラクモに言われ、記憶を遡る様に思い出す――。


「……打鉄だったな、確か」

「うん。貴方が最初に触れたあのISでね。貴方が深層心理の奥ではISの事を嫌っていたの。多分、貴方自身も解らないぐらいの小さな気持ちだったと思うよ?――それが、最初に触れた打鉄からコア・ネットワーク経由で全コアに伝わったの。――ふふっ。唐突な話だからなかなか信用出来ないでしょ?」


 俺の周囲をゆっくりと歩き、前まで来ると同時に俺を覗き込む様に見上げてくる。


「……あぁ。……でも確かに、俺はどこかISを嫌っていたかもしれないな。軍事転用禁止といいつつ、現実は無情にも軍事用ISが存在する。――最初に掲げた宇宙開発はそっちのけで、ISの装備は刀や銃といった物ばかり造られる。――宇宙開発が難しいにしろ、せめて災害救助に活用するとかもあるはずなのにさ。【人が造るのは戦うための武器ばかり】……」

「そうね。……でもね、どんな物でも最初は戦うための物だったって知ってる?例えば、パソコンとか」

「――パソコンは確か、元々が弾道ミサイルの演算ユニットかその類いのものじゃなかったか?」

「そうよ。――十年たっても、未だにISの技術が民間に伝わっていないけど、いつかはそうなる。……何て、ISコアが偉そうに言うことじゃないけどね?えへへ……」


 困ったような笑顔を見せるムラクモ――そして。


「話は逸れちゃったけど、最初の打鉄からコア・ネットワーク経由で全コアに伝わって、貴方に力を貸さなかったの。――ほんと言うと、私も貴方の事嫌いだったの。だから力を貸す気も無かったんだ」

「……そうか」


 その一言だけしか言えなかった。

 嫌われていた――それも、今言ったのが本当なら全コアから嫌われているという衝撃の事実。


 そう思っていると、ムラクモが再度口を開く。


「……でもね。さっきも言ったけど【私はいつも貴方を見ていたの】。……貴方が少しでもISの事を解るために、毎日図書館から借りた本とにらめっこしてた事。……使用時間外にISを使用して、先生達に怒られた事。……それでも、時折部分展開して私と解り合おうとしたこと――とかね。他にもISとは関係のない体力トレーニングとか。……後は、えっちな事ばかり……」


 最後の方は、顔を真っ赤にしながら告げるムラクモ。

 言い終えるとぷいっと顔を背けた。


「……改めて言われると凄く気恥ずかしいな、これ……。てか思春期で性的な事考えないやつはいないと思うぞ?」

「……そ、そうだけど。――もぅ!また話逸れちゃったじゃないッ!!」


 俺のせいじゃ無いと思うんだが――。


――そう思っても、考えてることが読まれてる訳で、その瞳が語るのは明らかに【貴方のせいで話が逸れたのよ】という。



「――とにかく、最初は私も――他のコアも貴方が嫌いだった。……でもね。私を通じて貴方が【どれだけISの事を解ろうと必死になっていたか】、コア・ネットワーク経由で皆解ってくれたの。……もちろん、私もね?」

「……ん、皆に嫌われていたから俺は飛べなかったということか?」

「……そうだね。あの当時に他のISにヒルトが乗っても、皆空を飛ばせなかった筈」


 空を見上げ、微笑を溢してから再度俺を真っ直ぐと見つめる。


「――でもね。貴方がレーゲちゃん――。ラウラ・ボーデヴィッヒから織斑一夏を庇うように射線に入った時から私も大きく心変わりしたかな?……痛かったけど」

「……わ、悪い。……やっぱり痛かったんだよな、今福音と戦ってダメージ受けたときも……」

「ふふっ。ヒルト、嘘よ?――【貴方が傷付くのが嫌だから代わりに私が貴方を守る】。だから大丈夫!」



 言って、舌をペロッと出して悪戯が成功した子供の様な表情を見せるムラクモ。

 そんな仕草に、頬をかいているとムラクモはそのまま口を開き――。


「まあとにかく、今は貴方の事を嫌うコアは少数かな?」

「……それでもまだ少数居るんだな」


「うん。――とにかく、私は貴方が好きよ?だから……これを」


 言って、両掌を真っ直ぐと此方に伸ばすと掌から大きな紅いエネルギーの塊が粒子を放出し、辺り一帯を紅く、そして眩く光輝かせた。


「……これは?」

「【貴方が望んだ力よ?】……これがあれば、福音を倒せる」

「望んだ……力……」


 小さく呟くように言い、それに手を伸ばす。

 だが、途中でぴたりと俺は手を止めた。


「……やっぱり、いい」

「……どうして?これがあれば福音を倒せるよ?」


 そのまま手を引っ込め、真っ直ぐとムラクモの目を見ながら口を開く。


「……確かに、俺は無力な自分に嫌悪して、力を望んだよ。――でもな、俺は【福音を倒す力】が欲しい訳じゃないんだ。……弱い俺がこんな事言うのは、バカな発言だけど。【皆を守れ、人を助けられる力】が欲しかったんだよ」

「……この力も、皆を助けられるよ?」

「……いや、それだと【福音を倒す】だろ?力は力かもしれないが――俺は、福音を――暴走した福音のパイロットを助けたい。……まあ俺のエゴだけどな、ははっ」



 そんな俺を見たムラクモは、柔らかな笑みを浮かべて口を開いた。


「良かった。貴方がそう言ってくれて……もし、受け取っていたら、また嫌いになってたもの」


 言って、掌の大きなエネルギーの塊が四散、粒子となって俺の身体を纏うように覆うと空へと消えていく……。


「はい、じゃあヒルトが【本当に望んだ力】はこれよ」


 さっきと同じように掌からエネルギーの塊が現れる。

 だがさっきとは違い、淡い優しい緑の光を放ち、辺りを優しく包む。



「……さっきとは違い、優しい光だな。――時折、この光を放ってたよな――チョーカーから」

「うん。――これは人を傷付ける力じゃない。――って、まあ使い方を誤れば傷付けちゃうかもしれないけど――ヒルトなら大丈夫。……だから受け取って?――【皆を助ける力】を」


 言って差し出すムラクモ。

 その掌を重ねる様に俺は右手でエネルギーの塊に触れると共に、その塊が右手から全身を包むように俺を覆った。


「……何か、変な感じだな」

「ふふっ。慣れたらそう感じなくなるわよ?――じゃあヒルト、行って皆を助けてあげて?」


 そう言うと共に、ムラクモの横にエネルギー粒子が集まり、それがドアの形に形成された。


「……なんだ、結局出口はムラクモが用意しないといけなかったのか」

「うん。一応私が招いたからね?」


 ドアを開けると、その先には光の奔流が流れていた。

 ゆっくり歩を進め、ドアの前に立つと俺はムラクモを再度見た。

 一瞬ビクッと反応するムラクモだが、直ぐ様頬を赤らめて視線を逸らした。


「……ムラクモ、ありがとうな。いつも俺を守ってくれて」

「……し、仕方ないじゃない。私は貴方のパートナーだもん」

「……そっか。――ムラクモ、またな?近いうちに、また会おうぜ」

「……!!――ば、バカ……。――うん、また……ね?」



 気恥ずかしさからか、頬が紅く染まったムラクモに笑顔で返すと共に、勢いよくドアの中に入り、光の奔流に身を任せ――流れのまま向かう。

 そして、視界が真っ白な閃光に覆われたその瞬間に、時が再び動き出す様な感覚を全身に感じた――。




――福音との交戦空域――


 眩い閃光が辺り一帯を包んだその一瞬だった。


『――ァアアッ!?』


 感情の無い筈の機械音声が、明らかに悲鳴を上げ、村雲・弍式を包んでいた四枚の翼が四散――弾け飛ぶ。

 翼を失った福音は、海面に落ちていくその寸前で、新たな翼が生えてくる。

 感情の無い筈の機械が、まるで怯えるように上を見上げた。

 そこには、眩くも優しい、淡い緑の光を放つエネルギー球体があった。

 辺り一帯を優しく包み込む緑の光――その場に居た全員が、何が起きたのかもわからず、ただただ静観するのみだった。

 そして、球体の中心から男子の声が聞こえてくる。


「……残念だったな、福音?後一息で俺を倒せたかもしれなかったのにな」


 そんな男子の声に、感情の無い筈の機械が反応――新たに生えた四枚の翼から一斉に放たれる線状の光の粒子。

 粒子収束率の高いそのビームが、緑の光を放つ球体に迫る――だが、その球体が粒子を屈折させたのか、当たる寸前で明後日の方向へと無数のビームが夕焼けの空へと消えていく。

 その攻撃を屈折させた事で役目を終えたのか、急速に緑の光を放つ球体は粒子となり、その球体の中に居た機体を覆い、優しく包む。

 そして、誰かが呟くような――そんな声で、その機体の名と、搭乗者の名前を呼んだ。


「……村雲・弍式……【第二形態・森羅】……。――ヒルトっ……」

「あぁ。俺だぜ!」


 振り向き、屈託の無い笑顔を見せる男子が纏ったのは、第二形態移行した村雲・弍式【森羅】を纏ったヒルトだった……。 
 

 
後書き
とりあえずIS二期見ました

内山君声忘れすぎ、ざーさん声低すぎ。

てかラウラとか一瞬別人じゃね?

って思うぐらいだった

まあ可愛かったといえば可愛かったが

まあ後は、構成はよくわからん、最後のダイジェストいらん、曲は嫌いじゃないが、またエンディング走るのかいっ!

って感じですな

てかアニメをやるとツイッターが再開されるな、弓弦氏

いいから九巻書けよ(`ε´) 
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