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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第164話】

 
前書き
前の話の箒が急にお友達が出来たかの描写は、原作通りに見るとここが起点のが自然と思って入れました。

まあ分かる人には分かると思いますが、様は金で作る友達と同じ様な感じですな 

 
――一組バス内――


 山田先生がバス内にあるカラオケ設備の準備が完了し、斯くしてカラオケ大会が始まった。

 選曲を終えた子から順々に歌を歌い始めるのだが何故か皆、この歌ばかり歌う……その歌はというのが――。


『BrushUP!!ユウキ今日も~♪ わーたしのハートきらめくぅ~――』


 ……と、幾ら何でもこの歌ばかり過ぎていい加減萎えてくる。

 いや、皆がこれ好きなのは解るんだが流石にずっとだと聞き飽きないのかと問いただしたくなる。

 軽く溜め息をつくと、隣で呑気に寝ている一夏を羨ましく思う。

 このカラオケ大会の中、爆睡出来るのだから。

 織斑先生は耳栓して腕組みしてるが――煩いのが苦手なのだろう。

 それなら許可しなければ良かったのだが……。


『――止ーまらない~♪ カラダ中に、流れ出すエナジー♪ 最高の、わたし、で、飛んでいけ!――――』


 その間も歌ってる子は気持ち良さそうに歌い続けている。

 まあ軽快な感じの曲ではあるが、流石に覚えそうだ……これだけ聴いていると。


 と、携帯が震え始めた――メールだ。


『あんたの所、さっきからずっと歌声が聴こえるんだけど何やってんの?』

 という内容――因みに鈴音からだ。

『急遽カラオケ大会が始まったんだよ。 しかも同じ曲ばかり。 萎えそうだ』

 そんな内容で返信をすると、携帯を閉じる。

 女子ならもっと色んな曲を歌えよと思うのだが……まあ本人達がいいなら構わないか。


 そんな歌を聴きつつ、窓から外を眺める。

 既に海は微かにしか見えず、徐々に学園方面へと向かう車が多数見えた。

 仕事用の車もあればトラックもあり、反対車線はこれから海に繰り出すのかサーフボードを積んだ車が多数行き交っていた。

 ……と、ムラクモが暇していたのか声をかけてきた。


『ヒルト、何か話さない? 何だか暇で……』

『ん? コア・ネットワーク経由で誰かと話さないのか? 他のコアとか』

『せっかくヒルトと話せるようになったのだから私はヒルトと話がしたいの。 話すのって、もどかしいけど何だか私は好きなの。 フフッ、貴方だからかもしれないけどね?』


 そんな楽しそうな声が響いてきた。

 彼女にとっては、どれも新鮮な事なのかもしれない。


『……じゃあ話すか。 そっちにダイブするよ、入口開けといてくれよな』

『りょーかーいっ。 じゃあ待ってるね』


 声が途切れると共に俺は瞼を閉じ、他人から見るとまるで眠りについた様に見えるだろう。

 だが、こうして集中しないとムラクモに会えない――そんな情報が脳裏に刻まれていた。

 そして、意識を集中するとそこから光の奔流が現れ、流れに逆らうこともせずに俺の意識は流されていった……。


 意識が覚醒すると、前に来た時と同様の無機質な床の上に立っていた。

 前と違うのは、霧が晴れ、周囲一帯を見回す事が可能ということだろう。

 ……と、向こう側から駆けてくるムラクモの姿が見えた。


「ヒルト、お待たせっ。 次からは私が居る所に出るように設定し直すよ」

「あぁ。 まあ何処だろうとムラクモに会えるなら構わないさ、俺はな」


 そんな何気無い言葉にも、ムラクモは反応するように頬を染める。


「な、何言ってるんだか。 ……ぅ、ぅれしぃ……けどね。 ……ぅん」



 こうやって見る限りは、確実に人間世界でも違和感なく生きていけそうなのだが……。

 そんな風に考えつつ、ムラクモを見ていると口を開いた――。


「そういえば、何だか楽しそうな声が聴こえてたんだけどあれは? 歌っぽい様な……」

「ん? 歌を知ってるのか?」

「勿論よ。 コアの中には歌う子もいるしね」


 言いながらムラクモは両手を前に組み、そのまま前へ迫り出す。


「そうなんだ。 何かと不思議だな、お前たちコアって……。 今こうして話も出来るし、何で出来るのかわかる?」

「……うーん。 気づいたら私たちに意識があったからよくわからないんだ。 ごめんね?」

「いや、気にするなよ。 ……てか何気にコア扱いだな。 こうやって話が出来るのに何だか物扱いみたいでごめん」

「え? ……ううん、大丈夫。 ……へへっ。 何だかんだでヒルトって優しいよね? でもあまり優しいと勘違いしちゃう子も出てくるからね?」

「……そうだな。 俺自身は優しいと思わないんだが……気を付けるよ。 そこまでモテるとは思わないがな」


 言って、上を見上げると頭上には青空が広がっていた。

 そんな俺を見たムラクモも、同じ様に空を眺める。


「……貴方、今モテてるじゃない。 それも皆代表候補生の子達で」

「……そうだな。 ……何で俺なんかを好きになったのかな、皆」


 そんな呟きが辺りに響く――そして、ムラクモが答えた。


「……皆、各々に貴方を好きになった理由があるはずよ? きっかけと、その想いを大きくさせるような出来事がね。 私は……貴方の頑張る姿を見てから……かな?――なんてねっ」



 はにかみながら応えるムラクモ。

 その様子は、まさしく恋する女子の様だった――多分。


「……そろそろサービスエリアに着く頃かも。 じゃあヒルト――はい」


 言って、ムラクモの隣にドアが現れた――と、何故かもじもじし始めるムラクモ。

 その様子に疑問符を浮かべていると――。


「……あ、貴方が望むなら……そ、その……ゴニョゴニョ……」

「……?」


 何故かどんどん声が小さくなり、自身の胸の前で両手の指をもて余すかのように弄っていた。

 言いにくいのか、徐々に顔も真っ赤になり――。


「……ムラクモ」

「ふゃぁっ!? な、なに!?」


 狼狽し、コロコロ表情の変わるムラクモに苦笑しつつ――。


「また来るよ。 福音ともまた会うって約束したしな。 じゃあな、ムラクモ」

「あっ……ひ、ヒルトっ」


 俺の名を呼ぶムラクモ、だが既に開いたドアから光の奔流に乗った俺は徐々に遠ざかる彼女の姿を眺める事しか出来なかった――。


 光の奔流に呑まれて消えていくヒルトを、黙って見届けたムラクモはソッと唇をなぞる。


「……つ、次はちゃんとしないと……。 ……嫌がらないかな、ヒルト……」


 そんな呟きが光の奔流に呑まれる。

 そしてドアを閉じるとコア・ネットワークを福音に繋げようとするが――。


「……やっぱりダメか。 ……何とか福音とのネットワークを繋げないと……」


 そんな独り言を呟くと、近くの椅子に座ってムラクモは空を眺めた――。



――バス内――


 意識が覚醒すると、まだカラオケ大会が続いていた。


『止まらないスピードでー♪ 想いがあーふれーていく♪――』


 何と曲が変わっていた。

 あれほど同じ曲ばかり歌っていたので最後までいくのかとも思ったのだが――。

 まあ同じ曲よりかはましだがな、これが。

 そんな感じで歌を聞き入り、外を見るとバスはサービスエリアに入っていく。

 どうやらここで昼食の様だ。

 ご飯が食べられると思ったら不思議とお腹が空いてきた。

 停まるまで続くカラオケを聴きながら、俺はサービスエリア内をただ眺めていた――。 
 

 
後書き
カラオケ大会といいつつ、同じ曲

実は中学時代、こんな感じで延々と同じ曲を聴かされた記憶ががが


――色々不味いなら適当に歌詞を変えるかも

てか変える

次はサービスエリアでの昼食話

下らない駄文ばかりですがよろしくお願いします 
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