IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第163話】
前書き
短いっす
――バス内――
急いでバスへと戻った俺は、直ぐ様前の座席へと座った。
夏の暑い陽射しの中を、全速力で走ったせいか額を汗で濡らしていた。
軽くタオルで汗を拭っていると一夏が口を開き――。
「ヒルト、さっきは飲み物サンキューな」
「ん? 別に気にしなくていい」
それだけを告げ、俺は息を整える――と、俺が戻って来たのに気付いた美冬がやって来て――。
「お兄ちゃん、何処行ってたの?」
「ん? ……ちょっとな。 どうかしたか、美冬?」
そう応えると、何やら俺の顔をじっと見つめてきた。
そして――――。
「ううん。 ……唇にリップグロスついてるよ、お兄ちゃん……」
「……!?」
美冬に指摘され、慌ててハンカチで唇を拭う。
そんな俺の様子を、美冬はジト目で見ながら言葉を口にする。
「……ふーん。 ……お兄ちゃんのバカ。 知らない」
明らかに不機嫌そうな声をあげ、美冬はその場を去っていく。
……怒ったかな、美冬。
そう思い、立ち上がろうとすると山田先生の声がバス内に聞こえてきた。
「皆さーん。 全員居ますかー? そろそろ出発しますよー」
「「「はーい」」」
バス内に響き渡る一組み女子の声。
返事を終えるや、すぐまた談笑し始める――。
座席から後ろを覗いて美冬の様子を伺おうとすると、珍妙な光景が視界に映った。
「篠ノ之さん、紅椿の待機形態って左手のそれ?」
「う、うむ。 ……そうだがそれがどうかした――」
「わぁあ……。 待機形態の紅椿、何だかお洒落で可愛いよね。 いいなぁ……私もこういうの買って篠ノ之さんとお揃いにしようかな♪」
「私も! 似たようなの探して着けてみる!」
「あ、あぁ。 その、きっと似合うと思うぞ……」
……と、【何故か】篠ノ之の周囲に人だかりが出来、紅椿の待機形態が可愛いだの、今度一緒に買い物に行こうだのと聞こえてきた。
俺としては、篠ノ之は周りから総すかん受けて更に孤立、そこから反省して皆に謝ってから真の意味でクラスの仲間入りだと思ったのだが……。
だが、何故かその光景に異彩を感じるのは気のせいだろうか?
……深く考えても答えはわからない。
考えるのを止め、美冬の座席を見ると視線が合った――のだが、直ぐに逸らされてしまう。
「……こりゃマジで怒ってるな……」
そんな独り言を呟き、俺は頭をかきながら携帯を取り出した。
隣からは軽い寝息が聞こえてくる――疲れて眠った一夏の寝息だ。
そんな一夏を他所に、俺は美冬にメールを送る。
一言『ごめん』という単調で短い文面。
下手な事を書くよりかはこういう方が良いと思ったが……。
直接謝れば良いのだが、残念ながら途中の人だかりが邪魔すぎて後ろにはいけない状況だった。
送信を終えると同時に、山田先生と織斑先生がバス内へと入り、自分達の座席へと座ると――。
「皆さーん。 出発するので座席に戻ってくださーい」
そんな山田先生の言葉を合図に、全員自分達の座席へと戻っていく。
着席すると同時にバスは出発した――。
約三日間お世話になった花月荘は直ぐに見えなくなり、窓から覗く景色は行きと同じ穏やかな海――。
行きと違うのは、今回はジェットスキーで遊んでいる人の方が沢山いることだった。
そんな流れていく景色を見ながら、携帯が震える――美冬からの返信だった。
そこに書いてある文面は、今日の誕生日ケーキのイチゴをくれたら許すとのこと。
……俺としては、あのイチゴが好きなだけに痛いのだが――これぐらいの事、目を瞑らないとダメだろうし……。
素直にOKと返信を送り、携帯を閉じた。
――五分後――
バスはトンネル内に入り、一人の女子が山田先生に提案した。
「山田せんせーい! カラオケ使っても良いですかー?」
「へ? か、カラオケ……ですか? ……お、織斑先生~……」
「……山田先生に任せます」
そんな丸投げする織斑先生に、おたおたし始める山田先生。
「……わかりました。 では準備しますので少し待っててくださ~い……」
「やったー! 山ちゃん大好きーっ!」
「よーし、歌うぞーっ!!」
「私の歌を聴けーッ!!」
……斯くして、一組バス内でカラオケ大会が開催されることになった。
……女子は皆元気だな……。
後書き
多分次回超駄文というかカラオケ大会
スルーしてよろしくてよ
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