IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第344話】
――IS学園整備室内――
昼食を食べ終え、足早に戻ってくるなり早速作業に取り掛かる俺。
――の前に、母さんに連絡をとらないと。
携帯を取り出し、母さんの番号へとかける。
一応昼だから休んでるとは思うが――。
『ヒルト? どうしたのかしらぁ?』
「母さん? 分子結合殻使ってもいいか? 多分話は聞いてると思うけど今打鉄を――」
『えぇ、今朝織斑先生から訊いたわよぉ。 ――勿論良いわよぉ? 使用許諾は此方から出しておくからねぇ~。 あ、後、夜時間があれば美春ちゃんに会いなさいよぉ? 今日一日は人間社会の勉強で朝からずっと勉強してるけど、あの子ヒルトと離れて凄く寂しそうにしてたからぁ』
「わかった。 なら夕食後に母さんの部屋を訪ねてみるよ――母さんの部屋だよな、居るの?」
『えぇ、まだ正式に学園の生徒じゃないからねぇ~。 戸籍の件はもう大丈夫よぉ、後、専用機の搭乗者変更も済ませて日本の代表候補生の立場も得たからヒルトはあまり心配しなくていいわよ?』
……何だか怒濤の展開が知らない所で起きたようだな。
何にしても、様子は見に行かないとな。
「わかった。 母さん、色々ありがとう」
『うふふ、改まっちゃってどうしたの? ……うふふ、後でハグしてあげるわねぇ~』
「い、いいって!」
『あら、残念ねぇ……。 うふふ、じゃあね?』
そう母さんが言ってから通話が切れた。
……母さんとスキンシップ嫌いじゃないが、一応もう高校生何だから自重してほしい。
……そういや、美春の検査結果聞くの忘れてたな。
……まあ、美春本人に聞けば済むことか。
そう思い、無造作に携帯をポケットに突っ込み、作業を再開し始める。
……武装をまだ選んでる途中だったな。
タッチパネルに触れると、項目が現れる。
北落師門を入れただけで他には後付装備を入れてないが……どうするかな。
対艦刀を入れるか……いや、威力高過ぎるかな?
そう思いつつ、対艦刀の項目を開く。
ディスプレイいっぱいに対艦刀に関する説明やら作られた経緯等が載ってあるが――やはりこれを作った企業の浪漫武装らしい。
だが対艦刀の名は伊達では無く、駆逐艦の装甲をバターを斬るかの様な切れ味を実証するデモムービー付きでディスプレイの上画面に表示されていた。
――が、それを縦に振るうだけでも一苦労しているようだった。
「……威力はシャルのパイルバンカー以上だが、扱いにくさが上回ってるからパイルバンカーに負けたのかな? 項目を見る限りは絶対防御を突破しないリミッターがついてるらしいが……」
項目とデモムービーを見ながら一人でごちる。
……念のため入れておくか、あのでかさなら盾にもなりそうだし。
少し迷いはあったが、対艦刀を後付装備として収納すると、また別の武器の項目を見始める。
――と、ここで変わった武器を見つけた。
チェーンの付いた棘付きハンマー――俗に言うチェーンハンマーと呼ばれる類いの物だ。
攻撃自体は単調ながらも、質量によって相手を叩き伏せる浪漫武装と説明が――。
デモムービーにはアメリカの主力戦車、エイブラムスがそのハンマーでボコボコに潰されていて、鉄の塊へと変わっていく姿が映し出されている。
――が、これも扱いにくいらしく、ハンマーに振り回されてるテストパイロットの姿も映し出されていた。
……何となくこれも入れるか、これも絶対防御を突破しないリミッターが付けられてる様だから必要以上に生身にダメージは与えなさそうだし。
まあ人間に使えばミンチよろしく状態だろ……肉、食えなくなるから見たくないが。
とりあえず後付装備に収納――と、残り容量的に見ても後一つでいっぱいになるらしく、今度は射撃武器を選び始めた。
射撃武器に関しても様々なタイプが有り、ハンドガン、マシンガン、アサルトライフル、マークスマンカービンやミサイルランチャー、ロケット、ショットガン――変わったのでいくとブーメランやチャクラム、昔の武器ならクロスボウや弓など多種多様に揃っていた。
――これはこれで、何を選べば良いのか悩むところだ。
……と、ふと特殊武器項目に目が止まり、何と無く開いてみる。
「……え? でかい手だな……」
明らかに射撃武器には見えない巨大な手をした武装――解説を見ると、どうやらロケットパンチに憧れて作ってみましたという解説が。
ついでに流れるデモムービーも、テストを行う女の子が微妙そうな表情を浮かべながら腕部装甲の上に嵌めたロケットパンチを放っていた。
巨大な拳が目標に当たると、大きく吹き飛ばしたがその拳はISの元に帰ってくる事はなく、星空の彼方へと消えていった――ダメじゃん。
何の経緯でIS学園にこの武装が来たのかわからないが――やはり、IS学園はIS専門の高等学校故にいつか陽の目を見るかもしれないと思って納品したのかもしれない……この会社は。
――まあ知られざるストーリーに関しては俺は当人じゃないからわからないが……うーん……試しに使ってみようかな――一発ネタ的に。
さして面白い訳ではないかもしれないが、この巨大な拳二基を収納すると、これ以上は収納不可という文字が画面いっぱいに出た――と、ここで今まで黙っていた雅から。
『しゅ、主君……い、幾らなんでもこの武装達は使いにくいのではないか? 対艦刀もその長大さ故に振るいにくく、チェーンハンマーは下手をすると機体が振り回され、ましてやその拳は一発放てば星空の彼方という――これでは外せないのでは無いだろうか?』
「……まあそうだけど、良いじゃん。 せっかくだし銃とか使うよりは――まあこれはこれで一発当たれば相手は大ダメージ受けそうだが」
『た、確かにそうだが。 一撃の威力で使いやすさを選ぶならまだ手持ちのハンマー型やパイルバンカー等も――』
「確かに……まあ、とりあえず一度試してみようぜ? 雅の忠告も有り難いが、せっかくだし雅も変わった物を使ってみたくないか?」
『ぅ……む。 ……まあ武士として、刀は一振りある故良いのだが……しゅ、主君が大変なのではと……』
心配するような声色で言う雅――心配するようなではなく、事実心配してるのだろう。
まあ普通なら近接武装何点かと射撃武装何点かである程度の距離に対応するのが当たり前だし。
「大丈夫だから心配するな。 ……さて、許可も得てるし分子結合殻を機体に吹き付けるぞ?」
武器項目を閉じ、特殊項目を選ぶとそこに表示されている分子結合殻の項目をタッチする。
――と、打鉄機体上部から少しずつ塗装するかの様に分子結合殻が吹き付けられ、徐々に装甲が黒く染まっていく。
……この分子結合殻の技術、母さんが言うには八十年代には既にあったとか。
財団が保有するプロトタイプのスポーツカーともう一台のスポーツカーにむらが無く吹き付ける様に塗装した結果、装甲車の機銃の弾丸すら弾く対弾性能を得たとか。
スポーツカーでそれなのだから、村雲等だと更に対弾性能が上がっていたのだろう……詳しくは知らないから語れないが。
ただ、やはり弱点としては粒子エネルギー系の攻撃は特殊コーティングしないと弱点として残るらしい――まあ完全無欠な物は存在しないが。
そうこう考え事をしてる間に打鉄全身が漆黒に染まる。
むらが全く無く、整備室内の明かりを反射するかの様に光沢を放っていた。
「後はこの上に部分的に赤を入れたいかな」
『ふむ、主君は黒赤が好きなのだな。 理解したぞ』
「ん? まあな、三色使うならそれに青もワンポイントで使うが」
塗装項目を選び、塗装する箇所の詳細設定を行う。
塗装する箇所以外は特殊な膜に覆われるとスプレーで塗装する箇所を赤く染め上げていった。
スプレーの為、塗装がはみ出るも特殊な膜が守ってる為問題は無いだろう――そして、整備室内にブザーが鳴り響く。
「ん、ようやっと終わったな。 ――シンナー臭い気がするが」
『し、主君! 直ぐに換気を!』
「だな、このまま嗅いだら脳がとろけて更に馬鹿になってしまう」
軽口を叩きつつ、換気の項目をタッチすると直ぐ様換気が開始された。
――てかこの整備室で塗装もしたのってあまり居ないのかもしれないとふと頭を過る。
換気を終え、塗装も直ぐ様乾くと――。
「ん、これでOKだな。 早速慣らし運転に行くか。 今日はどのアリーナが開いてる?」
『第三アリーナだ主君。 使用してる生徒は一人のみの様です』
「んじゃ、第三アリーナ直接乗り込むか……」
そう言って打鉄を粒子化させると使用していた整備室の電源を落とす。
静かに機能を止めると、辺りはしんと静まりかえった。
明かりを消し、そのまま整備室を後にすると俺は駆け足気味で廊下を走っていく。
……道中、廊下を走るなと怒られてしまったが……。
後書き
武装がスーパーロボットみたいにΣ(゜∀゜ノ)ノ
いや、多分こんな武装もあるのではという妄想を( ´艸`)
色んな意味で浪漫溢れる武装を作った会社があるはず!――多分
こう書いてるとガチでスポーツではなく戦闘だよな、ISって('A`)
まあ宇宙開発も死に設定だし、軍事採用禁止も死に設定
あれ?
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