IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
【第343話】
――IS学園食堂――
お昼の鐘が鳴り、俺は食事を取るために学園の食堂へとやって来た。
振替休日という事もあり、学内に残っている生徒が少ない為食券も並ばずに買えた。
今日は南蛮定食と野菜炒め、フライドポテトと食券を購入し提出。
暫くして直ぐに出来立てほかほかの食事が出された。
いつも作ってくれる食堂の職員にお礼の一言を言い、窓際の席へと食事を運ぶ。
窓から覗く外の景色には、海の上を航行する遊覧船が見える。
軽くフライドポテトを摘まみながら外を眺めていると――。
「ヒルト、一緒に食べてもいい?」
「ん? ……おぅ、構わないぞ?」
自分の料理を手に持ち、現れたのは鈴音だった。
昨日は涼しかったが今日はまた暑さが戻ったため、鈴音の服装はラフな私服だ。
……何気にデニムのミニスカートを穿いてるが、私服でスカート姿をあまり見ない為珍しく思えた。
「じ、じゃあ邪魔するわね。 ……あ、アタシもポテト貰っていい?」
「ん? 構わないぞ? ほら」
そう言ってフライドポテトの入った皿をテーブル中央へと移動させる。
「あ、ありがとね?」
「気にするなよ、それよりもこれから出掛けるのか?」
南蛮定食を食べつつ、そう聞くと小さく頷く鈴音。
「うん。 ティナに頼まれちゃって、ポテトチップスの補充。 昨日アタシとティナで食べまくっちゃったから、アハハ」
軽く頭をかくと、フライドポテトを摘まんで食べる鈴音。
……あの後、多分ティナと一緒に話したんだろうなと思う。
「成る程。 ……ティナはどうしたんだ?」
「ティナは今日、親と電話連絡するって。 だからアタシが代わりにポテトチップスの買い出しって訳よ」
「そっか。 俺は今日は着いていけないからなぁ……悪い」
「な、何であんたが謝るのさ? 別にアタシは大丈夫よ、ポテトチップス買って学内に戻るだけだし、レゾナンスのお菓子専門店で今日の分買って後は注文して届けてもらうだけだし」
白い歯を見せて笑う鈴音、鈴音も食事を取り始めた。
俺も野菜炒めを腹に納めていく――味加減が絶妙で、正直かなり美味い。
……てか、いつの間にか一夏みたいに味の事を色々考えるようになってる。
――あいつがいつも料理が何とかかんとかとか言ってるせいだな。
隠し味とか、気にはなるが食事の時ぐらいそのうんちくは止めてほしいと思うも、あいつは止めないからな……もう料理のコメンテーターの仕事でもしろよと言いたい。
野菜炒めを一気に平らげ、また南蛮定食に箸をつける。
「そ、そういやさ、アンタ……今日は何やってんの?」
「ん? 今打鉄の改良中だな」
「へ? ……あんた、確か村雲――」
「村雲は今度転入する子に譲ったんだよ。 だから代わりの機体を現在改修中って訳」
「な、何で譲ったのよ!? も、もしかして……政府の圧力? だったら、アタシが殴り込んで――」
「お、落ち着けって。 日本政府の圧力じゃなく、その子に必要だったから譲ったんだよ。 俺の意思だから気にするなって、な?」
そう説明するも、どこか納得してない感じの鈴音。
「……あ、あんたが良いならいいけど……むぅ」
「良いんだよ、俺より使いこなすんだから。 機体に愛着がない訳じゃないが、専用機が無いからって俺が変わる訳じゃない、そうだろ?」
「そ、そうだけどさ。 ……はぁっ、まあいっか。 あんまり気にしても仕方ないわよね」
そう言ってまたフライドポテトを摘まんで食べる鈴音――てか俺より食べてるぞ、お前。
――これがフライドポテトの魔力か、ファーストフードでも頼めば皆がひょいひょいっと食べていくし。
そう思い、最後のポテトを摘まんで皿は綺麗になった。
ご飯を一気に口に流し込み咀嚼――米も炊きたてだからかなり美味しい。
まさしくご飯は愛のエネルギーって奴だな。
「ふぅ、食べた食べた」
「アンタにしては今日は少な目じゃないの?」
「ん? まぁな……カロリーあまり消費してないし、ISの授業や体育ある時は別だけどな」
コップに水を注ぎ、ゆっくり飲み干す。
喉に伝わる水の清涼感が心地好く、もう一杯水をコップに注いで一口飲む。
「……アタシもあんたみたいに気兼ねなく食べれたらなぁ……。 油断しちゃうとすぐにお腹についちゃうし、肝心な所には全然いかないし……はぁ……」
ため息が足元へと落ち、おもむろに鈴音は自身の乳房を触り始めた。
思わず噎せそうになりつつ、俺は――。
「お、おいっ! 俺が居るんだから!」
「…………!? な、何見てんのよ! アンタ!!」
「ば、馬鹿! お前が急にするからだろ!? ……ったく、別に鈴音、気にする事ないぞ?」
「へ……?」
「胸の話、お前がコンプレックス抱いてるのは知ってる。 俺自身も好きか嫌いかだと好きだが、あんまり拘らないからな」
「…………そうなの?」
「あぁ。 まあ俺の意見言っても鈴音からしたらどうでもいいかもしれないが、少なくとも俺は気にしないさ、これが」
そう言ってまた一口飲む――まあ胸が大きければ揉み応えはありそうだが、それだけだし。
実際小さくても胸はあるんだからな……ラウラも鈴音も。
「ふ、ふぅん? ……それならいいけど……」
「あぁ、まあどうしても大きくしたいなら胸筋鍛えるといいかもな」
「そ、そっか。 ……てか妙に詳しいわね、あんた……」
怪訝そうな表情と共にジト目で見てくる鈴音。
「美冬の受け売りだからな。 ……いや、美冬も母さんから訊いたから実際は母さんからの受け売りか」
「ふ、ふぅん? べ、別に興味は無いけど……き、胸筋鍛えるのは操縦者に必須科目だったような気がするから今日からやろうかしら……。 あ、あくまでも身体を鍛える為なんだからね!? 勘違いしないでよ!?」
何故か顔を赤らめながら指差して言う鈴音。
別に胸筋必要なら俺に断りを入れなくていいんだが……。
「さて、ご飯も食べたしそろそろ作業に戻るかな」
そう言って立ち上がり、食べた料理の皿を片付け始める。
「へ? も、もぅ行っちゃうんだ? ……せ、せいせいするわ、アンタが居ない方が早くご飯を食べられるし」
窓側へと視線を移してそう言う鈴音。
今の言葉は鈴音の本心では無いかもしれないが、敢えて意地悪く答える。
「悪かったな、俺が居て」
「へ……? あ、ち、違うの……ほ、本当はそんなこと思ってないから……か、勘違いしないでよ、ばかぁ……!」
何故か少し涙目になる鈴音。
俺の声色で怒ったと勘違いしたのかもしれない。
……やっぱり、鈴音が言ってた気になる奴って俺なのだろうか?
「ふふっ、冗談だよ冗談。 別に怒ってないさ、これぐらいで怒ってたなら俺毎日怒ってるぞ?」
「そ、そぅなんだ……良かったぁ……。 ――か、勘違いしないでよ!? あ、アンタと仲が悪くなったら美冬とも顔を会わせ辛くなるだけなんだからね!?」
「わかってるって。 んじゃ、またな鈴音」
そう言って立ち去ろうとすると、後ろから呼び止められる。
「ま、待って!」
「……? どうした?」
「……あ、アタシが時間取れたらさ。 か、買い物に付き合ってよ……良いでしょ?」
「あぁ、構わないぞ? 断る理由も無いしな」
「や、約束だからね!? じ、じゃあね……」
その言葉を背に受け、食器を返すと俺は食堂を後にした。
……デートに誘われたと思えば良いのだろうか?
……まあ、まだ答えを決めるのは早計だろうから見極めないといけないが。
そんな事を考えながら、雅の待つIS整備室へと足早に向かった。
後書き
ツン→デレ→ツン→ツン→ツンツン→デレ→ツン→デレ→デレデレみたいな(違
モッピー知ってるよ。
ファースト幼なじみが一番ツンデレって事。
_/⌒⌒ヽ_
/ヘ>―<ヘヽ
((/ ̄ ̄ ̄\))
/ ) \
/ | | //ヽ ヘ
| ハ | /イ | |
レ |/ レ| N\|||
/| |≧ ヽ|≦ |||
/ ヽ|゙ ゙|/ /
\_(ヽ  ̄ /⌒)ヽ
/ | T ̄ ̄| ヽ |
/ /ヽノ \_ノ|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ページ上へ戻る