| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

【第299話】

――寮食堂――


 あれから数日――一夏も篠ノ之も共に楯無さんの訓練には来ては猛特訓――基礎の見直しも合わせてのシューター・フローメインなのだが、二人とも今やっと五回に一回は成功するといった感じだ。

 肉体的な疲れもあるだろうが、それは俺も同じこと――それにプラスして楯無さんの精神的(性的?)攻めがあって色々な意味で悶々としている。

 そして現在――。


「がつがつがつがつがつがつっ!」


 口一杯にご飯を頬張る俺、それを眺める専用機持ち達――とは言っても一夏と篠ノ之は食欲すら無いらしく、部屋で横になってるらしい。


「ヒルト、お茶飲む?」

「んぐ? ……もぐもぐ……」


 首を縦に振ると、何時もの笑顔を絶やさずに、お茶を注ぐシャル。

 入れられたお茶を飲むと俺は――。


「悪いなシャル、手間かけさせて」

「う、ううん。 ……い、今はこんなことでしか役にたてないけど……それでも、ヒルトの役にたったなら僕は嬉しいんだ」


 にこりと微笑みを浮かべたシャルは、ほんのりと頬が桜色に染まっていた。


「……むぅ。 ……ヒルト、なら私はせっかくだから口移しで飲ませて――」

「……いや、それ実行されたら俺、皆に刺されそうだし……」


 ラウラの申し出――てか今口移しでとかされたら、我慢できない気がする。


「ラウラ……あんまりお兄ちゃんを困らせちゃダメだよ?」

「むぅ……」


 美冬に言われ、仕方なく座り直したラウラ。

 だが軽く頬を膨らませてる辺りは結構本気でしたかったのかもしれない。


「……でもさ、あれだけ織斑君や篠ノ之さんの為にひたすらシューター・フローの見本をするヒルトって凄いよね?」


 そう言ったのは未来だ――俺自身、もう100を越えてから数えるのは面倒になってから数えてない。

 ……まあ、マニュアル制御機動の精度がみるみる内に成長しまくったのは良いかもしれないが……。


「そうですわね。 ……あれだけこなしても夕食をとればまたヒルトさんは元気になりますし、凄いですわね」

「おぅ、馬車馬の如く食べるからな。 馬並みだぜ、わははははっ!」


 そう言って笑うのだが、何故か一同顔が急に真っ赤に染まり始めた――。


「う、馬並みとか、アンタ、もっと言葉を選びなさいよッ!!」


 何故か目尻を吊り上げ、顔を真っ赤にしながら怒る鈴音に、疑問符を浮かべながら首を傾ける。


「はい? ……馬並みって、変か?」

「し、知らないっ……。 お兄ちゃんのえっち……」


 そう美冬に聞けばえっちと返されてしまう……どの辺りがえっちなのかわからん。

 そんな皆を他所に、間延びした声が――。


「えへへー。 ここ、いいかな~?」

「ん? 構わないぞのほほんさん。 ……てか生徒会の仕事しなくていいの?」


 やって来たのほほんさんは、お茶漬けを持ってきて空いていた席に座ると――。


「書類がちょお溜まってるんだけど~、私がいると仕事が増えるからね~。 だから邪魔にならないように今は夕食食べに来たのだよ~」


 そう言って箸を手に取る――何やらお茶漬けの上には鮭の切り身がこれでもかという具合に主張するようにてっぺんに乗っていた。


「えへへ、お茶漬けは番茶派? 緑茶派? 思いきって紅茶派? 私はウーロン茶派~」


 そんな楽しげな声と共に、箸でどんぶりをかき混ぜていく。

 徐々に、徐々に混沌化していくそれにのほほんさんは――。


「なんとこれに~」

「……何だ?」

「卵を入れます」


 そう言って卵をどんぶりの縁で割り、混ぜられたお茶漬けの上にかけられた。


「ぐりぐりぐ~り~」


 楽しそうにそれを混ぜると、更に粘りけを増してのほほんさんは幸せそうな表情を浮かべて、顔を緩ませた。

 因みに、今これを平気で見てるのは俺だけで、女子一同はその混沌さに目を背けていた。


「食べまーす。 じゅるじゅるじゅる……」


 そんな音をたてつつ食べるのほほんさん。

 流石にその音は耳障りなので――。


「のほほんさん、出来ればあまり音を立てずに食べてくれないか?」

「えー。 むりっぽ~。 ずぞぞっていくのが通なんだよひーくん~」


 何処のソバだよと心で突っ込みつつも、流石にのほほんさんも周りの子の様子がおかしいのに気付き――。


「……出来るだけ小さな音で食べます~。 ちゅるちゅる……」


 空気を察したのか、少し静かに食べるのほほんさん。

 ……幸せそうな表情はそのまま、見てると此方までほっこりしてくる気分だ。

 腕を上に伸ばしすと俺は――。


「ん~ッ! 流石に毎日寝袋だと全身が凝る感じだ……。 早くベッドで安らかに寝たいものだぜ……」


 首を捻ると、コキッ、コキッと音が鳴る。

 またお茶を一口飲むと、セシリアが――。


「コホン。 ……ヒルトさん?」

「ん? ……どうしたセシリア?」


 何やら軽く咳払いしたセシリア、食べていたカルボナーラをフォークで弄びながら――。


「よ、良ければわたくしの部屋にいらしても構いませんわよ? わ、わたくしのベッドならヒルトさんものびのびと身体を休める事も可能ですから」


 そうセシリアは言うのだが、それはそれで別の意味で眠れないし、まずルームメイトの子も居るのだからあり得ないだろう。


「ちょっとセシリア! 待ちなさいよ! ヒルト、あんたこっちの部屋に来なさいよ。 トランプあるわよ?」


 ……トランプなら俺の部屋にもあるし、美冬と未来の部屋にもある。

 更にシャルにラウラとこの二人もトランプはあるのだ、鈴音の部屋にいくメリットはルームメイトのティナの爆乳ぐらいしか……。


「パスだ。 ……第一、トランプで男子高校生を釣れないだろ」

「それもそうね……。 ……じゃあポテチ!」

「お菓子でも釣られんぞ。 てかお菓子食べるならご飯食べるし」


 しかも、何気にポテチってティナのじゃないのか?

「じ、じゃあ仕方ないから取って置きの酢豚を振る舞ってあげるわ!」

「……いや、だから行かないから……。 不毛な言い問答は疲れる……。 シャワー浴びて寝るかな、これが」

「了解~。 お兄ちゃん、おやすみなさい」

「ヒルト、おやすみなさい」


 食べた食器を集め、片付けると俺は食堂を後にし、一路自室へと移動を開始した。

 ……まあ酢豚なら釣られてもよかったかなと今さら思うのは内緒だが、やはり結局寝袋に寝かされるので意味は無いだろう。

 部屋の前まで戻り、ドアノブに手をかけて開くと――。


「お帰りなさい。 お風呂にします? ご飯にします? それともわ・た・し?」


 ――開けてすぐさま楯無さんの姿に、呆然としつつ、服装はいつもの制服姿という事もあって静かにドアを閉めて見なかった事にした。

 ……もう少し、何処かでのんびりしてから帰るか。

 そう結論つけ、俺はしばらく適当に歩いてからもう一度部屋に戻るのだった……もちろん、またさっきのやり取りがあったのだが……。 
 

 
後書き
オリジナル行こうかなと思いつつも、やはり学園祭に行くことに決定

の前に、亡国企業側を挟みます 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧