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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第303話】

 突如現れた楯無さん。

 しかもその姿がまた@クルーズのメイド服姿で、多分何着か残っていたのを拝借したのだろう。

 ……燕尾服も、実はもう何着かあったりするが。


「うふふ、遊びに来たわよヒルト君?」

「……という事は客として来たのですか? でしたらちゃんとルールを守って並んでいただかないと――」

「あん。 ヒルト君ってばお姉さんに意地悪なんだぁ……。 ……そんな子に育てた覚えないのに……」


 いや、まず育てられてませんから――と、突っ込み入れたいが入れれば何をされるのか分からないので黙っておく。


「うふふ。 じゃあ早速お茶しようかしら」

 そう言ってキョロキョロと辺りを見渡し、空いた椅子を持ってきて座ると鈴音の頼んだアイスハーブティーを一口飲んだ。

 ……いや、人の頼んだ物を飲むのは――。


「あ、鈴ちゃん。 ハーブティーいただくわね?」

「あ。 は、はい、どうぞ」


 ……まるで借りた猫の様な態度の鈴音。

 いや、まあいきなり飲み始めたらそんな風にもなるかな。

 そう思っていると、何だか一際騒がしい声を出しながら女子が教室に飛び込んできた。


「はいはーい。 どうもー、新聞部でーす。 話題の織斑執事を取材に来ましたー」


 やって来たのは新聞部の黛薫子さんだ。

 ……一夏の写真ついでに俺も取られるのだが、基本新聞の隅っこなので恩恵はゼロという。

 どんなに活躍しても、ネームバリューのある一夏と俺では違いすぎて、基本一夏は負けても一面トップ扱い。

 俺は……負けたら写真すらない。

 ……まあ、別にいいんだけどね。

 ――そんな事を考えていると、楯無さんが黛さんに手を振り――。


「あ、薫子ちゃんだ。 やっほー」

「わお! たっちゃんじゃん! メイド服も似合うわねー。 あ、どうせなら織斑くんとツーショットちょうだい?」

「うふふ。 そこは織斑くんよりも、私は彼を選ぶわ♪」


 そう言って椅子から立ち上がり、俺の肩に触れる楯無さん。


「有坂くんと? ……うーん、後で織斑くんとのツーショット――」

「うふふ、良いわよ♪ だから先に彼とツーショットお願いね♪」


 そう言って俺を無理やり立たせると、わざわざ腕を絡ませてピースしながら写真を撮らせていた。

 ……複数の嫌な視線を感じる――それも、鈴音からも。

 ……と、鈴音が立ち上がると――。


「……帰る」


 そう小さく呟くと、近くに居た一夏が反応し――。


「あ、鈴? 後でそっちにも顔出すから」

「……わかった」


 そう短く返事をした鈴に、一夏は――。


「……何か怒ってないか、あいつ……」


 そんな呟きが聞こえる……が、直ぐにまた別のテーブルに呼ばれて一夏は向かった。


「……鈴音。 俺も後でそっちに食べにいくよ」

「あ……。 わ、わかった……。 ……待ってる♪」


 何だかいつもと違う鈴音だが……声色からすると怒ってはいないようだ。

 会計を済ませると、鈴音はそのまま自分の教室へと戻っていった……。

 ……と、黛さんが渋い顔をしながら――。


「……やっぱり、有坂くんとたっちゃんじゃあ……たっちゃんのオーラがありすぎてダメねー」

「……そうかしら? ヒルト君もオーラというか覇気が出てるじゃない♪ 覇王色?」


 ……どんなオーラだよ。

 ……だが、やはり突っ込めば色々されそうなので黙る。


「……せっかくだから、他の子のツーショットも撮ろうかしら?」

「あ、それいいわね。 その間は私がお店のお手伝いするわ。 ヒルト君、どうかしら?」

「まあ俺は構わないですよ? ……先に俺か一夏の写真終わらせれば良いですしね」

「うんうん。 ならまずは有坂くんからいきましょう。 では、有坂くんとツーショット撮りたいクラスメイトのメイドさんは全員集合ー」


 そんな掛け声に、続々と集まるメイドさん――もとい、俺のよく知るクラスメイト達が集結すると、写真撮影会が始まった。

 まず、一人目が――。


「ヒルトさん、カメラに向かってスマイルを」


 そう言いながら左腕を取り、絡ませるセシリア。


「……こうか?」


 ニッと白い歯を出して笑ってみるも――。


「うーん……。 もう少し、表情をキリッとさせてかっこよく笑ってくださいな」

「……どんな笑い方だよ、それ。 ……こうか?」


 そう言って可能な限り凛々しい表情のまま、爽やかに笑ってみる――若干、美冬が笑いを堪えてるのが気になるが……。


「ええ、そのスマイルとても素敵ですわ♪ ……うふふ、また惚れ直しました♪」

「そ、そうか……」


 この表情、疲れるから早く写真撮ってくれないかなと切に願った……。

 セシリアとの撮影が終わり、次は二人目……。

 ジーっと俺を見上げるラウラ。

 何を考えてるのかは分からないが、何かをお願いしたいのか、スカートの裾を掴んで軽く身を捩っている――と、何かを決意したのか、真っ直ぐと俺を見据えながら――。


「そ、そのだな、ヒルト。 わ、私とお前ではかなりの身長差があるな」

「そうだな。 俺は178あるし、ラウラとは大方30センチ程違うしな」

「う、うむ……。 …………」


 決意したかのように見えたのだが、今一歩踏み出せずにいるラウラ。


「……何か俺にしてほしい事でもあるのか?」

「む? ……さ、流石は私の嫁だ。 言葉にせずとも伝わるとは……確か、以心伝心と言ったか……」


 ……いや、誰が見ても態度で分かると思うのだが……。


「そ、そのだな。 ……と、特別に抱っこ……してもいいぞ……?」

「……ふぅん? 抱っこ【しても】いいという事は、しなくても良いんだよな?」

「ぅ……」


 意地悪く言うと、視線を泳がせるラウラ。


「……だ、抱っこ……して?」


 頬を染め、恥じらいながら言うそのラウラの姿に見ていた女子一同から可愛い等の声が聞こえてきた。


「ん。 素直に言えば良いんだよ。 よっと……」

「ひゃんッ……!」


 小さく悲鳴を上げたラウラ。

 そんなラウラを見てると、軽く咳払いをして――。


「……こ、こほん。 お、落ちないように確り抱えて……?」


 そう言って首筋に腕を回し、顔はカメラへと向けるラウラ。

 何気に、今の女の子っぽい喋り方は普段とのギャップ差によって、少しドキドキしてしまった――だが。


「「「じぃー……」」」

 ――突き刺さる視線が痛いから早く写真撮ってほしいぜ……。

 そんなこんなで、二人目のラウラが終わると今度は三人目――。


「さ、さっきは聞きそびれたけど……。 ど、どうかな? 僕のメイド姿?」


 そう言ってスカートの裾を摘まみ、軽く一回回るシャル――もちろん、黛さんはそれを逃さず、シャッターが何度も切られていた。


「どうかなって聞かれると……どうかな?」

「むぅ……。 ヒルトの意地悪……」

「ははっ、大丈夫だ。 似合ってるし可愛いぞ?」


 そう言うと少し頬を赤く染めるシャルは、嬉しそうに――。


「えへっ♪ よかったぁ♪ ……じゃ、じゃあ撮ってもらおっか?」


 そう言って俺に背中を見せると身を預けるように俺に凭れかかるシャル。

 慌てて抱き止めると、シャルは俺の手に触れ、まるで俺が後ろからシャルを抱き締めてる構図の様になってしまった。


「えへへ……♪」


 そのまま手を重ねて、カメラに目線を送るシャル。

 ……何だか、どんどんエスカレートしてる気がするのは気のせいだろうか?

 三人目のシャルとの撮影を終え、四人目……今度は――。


「うーん……。 お兄ちゃんとどう撮ってもらおうかな~?」


 軽く悩みながら俺を見上げる美冬。


「……美冬の撮りたい格好でいいんだぞ?」

「……だから悩んでるのよ、お兄ちゃん? ……そうだ、セシリアと同じになっちゃうけど――えいっ♪」


 そう言って腕を絡ませる美冬――メイド服の上からでも、発育のいい乳房が俺の腕にその柔らかさを伝えてくる。

 ……妹なのに、妹なのにこうした積極的なスキンシップは思春期の俺には理性を崩壊させるに等しい事なのだが。

 ……臨海学校の時も俺の頭の上に胸は乗せるし、時折美冬の真意がわからなくなる。


「……? お兄ちゃん? 私の顔に何かついてる?」

「ん? ……いや、何もついてないぞ」

「そ、そっか。 ……あんまりじろじろ見ちゃダメだよ? ……ふ、二人の時はいいけど……ね?」


 そう言って更に身を寄せる様にくっつく美冬。

 ……深く考えると底無し沼に嵌まる気がするから考えないようにしようか。

 ――美冬とのツーショットを終え、今度は……。


「ヒルトと二人で写真って小学校以来じゃない?」

「そうだっけ?」

「そうよ? ……中学の頃は、ヒルト恥ずかしがってたじゃない?」


 首を傾けながら覗き込む未来――てか、その頃には未来の事が好きだったんだから仕方ないだろ。

 ……今は、一旦気持ちの整理をつけたからちょっと気持ちに戸惑いも少しあるのだが……。

 ――とはいえ、未来に負けないぐらいの女の子に言い寄られてるからな。

 ……しかも、キス経験済みで、ラウラに至っては三回も……。

 そんな事を思い出してると、不意に未来の唇に目が移り、全身の血液が沸騰する様な――。


「……ヒルト? 顔が赤いよ? ……熱?」

「う? ね、熱じゃないって! ……は、早く写真撮ろうぜ? セシリア達はもう接客に戻ってるしな」


 そう促すと、未来は小さく頷き、俺の手を繋いで身を寄せてくる。

 ……これはこれで、何だか緊張してしまうな、これが。

 ――未来とのツーショット撮影を終え、最後は……。


「…………」

「鷹月さん?」

「ひゃっ!? ……ご、ごめんなさいヒルト君。 ……その、ツーショットって初めてで……」


 一定距離を保ったまま、人差し指同士でつつく鷹月さん。

 顔が赤く、少し緊張してるように思えた――。


「……まあ気楽に写真撮って貰おう?」

「う、うん……」


 そう言って軽く俺を見てから一歩隣に近づき、少し距離が近付くとカメラに目線を送る鷹月さん。

 そんな様子に、俺も正面のカメラを見据えると黛さんが察したのか、直ぐ様シャッターを切る音が聞こえた。

 ……何とか俺とのツーショット分を撮り終えると今度は――。


「じゃあ次はお待ちかねの織斑執事ね♪ じゃあ、たっちゃんー」


 そう言って接客をしていた――もとい、学園の子とお茶をしていた楯無さんを呼ぶ黛さん。

 一夏も呼ばれたため、執事にご褒美セットを中断し、ツーショット撮影に移った。

 ……さて、仕事に戻るかな……。

 襟元を正し、キュッとネクタイを締め直すと接客――ではなく、貯まったゴミ出しに向かった……。 
 

 
後書き
聞こえる聞こえる

ヒルトもげろという声が

もげないッ

さて……絶賛面接連敗中の俺ですが……

やはりもう少し遠出のがいいのかな(-_-;)

でいける範囲がベスト何だけど

後は電話ががが

なかなか麻痺しないぜ 
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