IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第158話】
前書き
リベンジバトル
今回はマジっす
シグナルが緑へと点灯するや、試合開始のアナウンスがオープン・チャネル通信で俺や篠ノ之、ビーチに居る全員へと伝えられた。
「有坂、悪いが今回も勝たせて――」
問答無用といった感じに、喋っている途中の篠ノ之に対して俺は、何かを投げる素振りを見せた。
その行為に、篠ノ之は一瞬頭に疑問符を浮かべる。
刹那――突如、俺と篠ノ之の中間地点から粒子形成しながらその刃が篠ノ之を襲う。
「何っ!?――クッ……!」
その投擲された天狼に反応し、刀で切り払うと――。
「私が喋っている途中で攻撃とは卑怯な……!?」
「おいおい、もう模擬戦開始のアナウンスは流れたんだ。卑怯も何も無いだろ?それともあれか?特撮ヒーローみたいに変身するまで攻撃しちゃダメよってやつか?」
「煩い!!……だが、これで貴様の得物も――」
「得物……?これの事か?」
「……何を言って――」
今度は居合い抜きの様に腰だめに構え、左手を振るう――先ほどと同じく、またも粒子形成させつつ天狼の刃が篠ノ之へと強襲した。
「ッ!何なのだ、これはッ!!」
次は払うことをせずに上昇、先ほどまで篠ノ之が居た地点を虚しく空気を斬り裂きながら天狼は突き進んで行った――。
「くっ……何をしたというのだ、有坂!」
「ん?ただ天狼をお前に向けて投擲してるだけだが?」
「そんな事は見ればわかる!何故弾いた筈のお前の刀がまた粒子形成され――」
「これか?」
そう言ってまた振るうや、先ほど何処かへ飛んで行った筈の天狼がまた刃を形成しつつ、篠ノ之目掛けて突き進む――。
「クッ……何度も何度も……!」
「……!!」
迫る天狼を切り払い、上空へと弾く――。
その行動を先読みし、弾かれた天狼の到達地点へと瞬時加速で一気に迫る。
その際、背部スラスターは瞬時加速を行うように最適化され可変し、爆発的な加速力で向かった。
その加速力を見た篠ノ之の表情が一辺――刹那、弾き飛ばされた天狼を右手で受けとるや勢いそのまま袈裟斬りを行う。
「!!」
篠ノ之の表情が強張り、袈裟斬りによる一撃を受け止めようと二本の刀で防御体勢に。
咄嗟の判断で二本の刀で防御と思ったのは、その加速力のついた一撃に対応する為だろう。
そして、天狼による袈裟斬り――加速力のついた重い一撃は、二本の刀で防御体勢に移行した篠ノ之の防御を一回で崩す。
「……ッ!!」
「そらよ!」
体勢の崩れた篠ノ之に対し、直ぐ様天狼を腰だめに構え、右手で振り、投げる。
その一連の動作で投げられた天狼は、刃を縦に回転させ、大きく空気を斬り裂きながら進む――そして。
「ぁぐっ……!?」
シールドバリアーを崩壊させ、篠ノ之の胴体部分を大きく刃で切り裂かれる――そして、絶対防御が発動してそれがダメージとなり、大きくシールドエネルギーを削っていった……。
篠ノ之に当たった天狼は、勢いを無くし、海面へと落下――。
だが途中で粒子化され四散、虚空へと消えていくと同時に天狼はまた俺の右手に再構築され、握られていた。
「クッ……何なのだ、その技は……」
「ん?ただ天狼を投げ飛ばしただけなのに大袈裟な名前でも付けろってのか?――大風車回転斬りとか?はたまたかっこよくウィンドミルスラッシュとか――厨二病全開だからこの名前はやだな。それに適当につけただけだし」
「そんなことを言っているのではない!……確かに貴様の武器は弾き飛ばし、避けて海底に沈んだ筈だ。……貴様、その刀何本持っているのだ!」
「……?情報開示されてる通り一本だが?」
「そんな筈はない!……現に、有り得ないだろ!一本の刀で投擲してはまた投擲等――」
「知ってるか、篠ノ之?【世の中有り得ない事は有り得ない】だぜ?……まあ、【色々捏造し過ぎて有り得ない事件が有り得る】って事にもなってるがな、これが」
そう告げ、今度は天狼を横回転に投げる。
横に高速回転するそれは、篠ノ之目掛けて進んでいく。
「……っ!」
ガコンッ……と、二基の自律機動兵器が紅椿から射出され、横回転しながら進む天狼を迎撃した。
また勢いの失った天狼は海面へと真っ逆さま――小さく音を立てて海中へと沈んでいった。
だが、次の瞬間には左手に粒子形成を終えた天狼が再び握られている。
篠ノ之の表情が語るのは、目の前で起きてる事の有り得なさといった所だろう。
……だが、何故いちいち驚くのかは俺にはよくわからない。
こんな芸当、俺で思い付くのだから既に誰かがやっていて当たり前だとしか思わないからだ。
「……まあいいや、それじゃ――続きを開始しますかッ!」
「……!!簡単にはやられないッ!!」
言って、篠ノ之は二本の刀を交互に振り、光弾の連射と帯状のエネルギー光波が迫る。
「よっ……と」
小さく空中で跳躍する様に跳ね、前方宙返りを行う――掠める様にエネルギー光波が抜けていくと、俺は姿勢制御を行うと同時に瞬時加速を行う。
視界が歪むがそれも一瞬の出来事、次の瞬間には肉薄し、驚愕の表情を見せる篠ノ之を捉えていた。
「ッ……!はぁぁあああっ!」
「っと、そんな大振りな上に二刀流に適さない刀じゃ捉えるのは難しいぜ?かの宮本武蔵も左手に対した意味は無いって言ってるぜ?」
「う、煩い……煩い!!」
空気の切り裂く音だけが響き、ひらりひらりと上半身だけを動かして避ける。
そんな俺の回避行動に、徐々に苛立ちを見せ始める篠ノ之――。
「くっ!何故当たらない……ッ!貴様なんか、まだISに触れて三ヶ月しか経たない素人なのに……!」
「ははっ、なら一夏もそうだぜ?篠ノ之の一夏批判だな。ワハハハッ」
「……ッ!その減らず口、黙らせてやる!!」
激情に身を任せ、刀を振るう篠ノ之だが自分でも気付かない内に大振りになっていて、その剣閃が手に取る様にわかった。
今の篠ノ之が相手だと、どんなに機体性能がオーバースペックでチートだとしても、誰でも勝てるだろう。
……もしかすると、篠ノ之がこんな性格になったのは小さい頃から先生とかから怒られなかったからかもしれない。
彼女は篠ノ之博士の妹で、ISを発表して家族離散状態だと聞くし……。
序でに言えば、一夏との別れもあったからかもな。
だからといって同情はしない……剣道をやっていて精神的に未だに未熟な篠ノ之も、自分自身で言い訳して成長しなかったかもしれないからだ。
まあ全ては俺の憶測だがな、これが。
近接戦闘を行っても、俺に通用しないと悟ったのか、一旦ショートダッシュで一定距離を置く篠ノ之。
距離を取った篠ノ之は、直ぐ様雨月を構え、突き出す。
それに合わせて刃から連続して光弾が放たれる。
それを俺は、その場から側宙しながら疾風を呼び出す――。
その回避行動に直ぐ様反応し、空裂を振り、放たれ、迫るエネルギー光波。
側宙しながら、光の粒子の矢を、掌で回転させていく。
一回、二回と掌で回るそれは、回る度に光の矢の本数が増えていき――。
「……悪いが篠ノ之、全弾浴びてもらうぞ!!」
世界が反転するなか、合計五本もの光の矢が放たれる。
一斉に放たれたそれは、雄々しく光を放ち、眩い残光と共に軌跡を描き進んだ。
篠ノ之の光波と俺の光の粒子の束になった矢が交差し、抜けていくと互いの目標へと突き進んでいく――。
「……弾けろ!」
「……クッ!?」
俺の言葉を合図に、束になった光の矢が弾け、それが無数の光弾になるや、ショットガンの散弾の様に篠ノ之に迫る。
圧倒的な面制圧に、避けても無意味だと思った篠ノ之は腕部展開装甲を開き、そこからエネルギーシールドを発生させ、受け止める。
「ぁぁあっ!?」
無数に降り注ぐ光弾をシールドで受け止めるが、量が量だけにエネルギーシールドの許容範囲を超え、抉じ開けられたシールドから連続で光弾の直撃を浴びていた。
一方の俺も、迫る光波の対処に迫られていた。
考える時間もあまり無かったが、先ほどと同じ様に天狼を展開しつつ腰だめに構え、横に振り、投げると天狼は回転させながら光波の粒子を弾けさせた。
……ビームコーティングがここでまた役に立つとは思わなかったな。
そんな風に思い、光弾の雨を浴びた篠ノ之へと刃が迫る。
直撃を浴びたせいか、体勢を崩した篠ノ之にはそれを防ぐ術は無く、無情にも天狼の刃が当たり、更に大きくダメージを負った。
そんなダメージを受け、悲痛な表情を見せる篠ノ之を見た一夏の声がここまで聞こえてきた気がした……。
後書き
THE途中で終わって申し訳ない
続きは次回
そして弓弦氏の呟きが再開されてまた不快感を与えるとはある種の才能に感じます
何気に放課後BF打ち切りらしいし
自称構成作家様
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