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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第157話】

 
前書き
リベンジバトル

――の前の話

やるやる詐欺になりつつあるが、いきなり模擬ではなくやはり過程も大事かと 

 
――IS試験用ビーチ――


 朝食を食べ終えた俺達一年生は現在、試験用ビーチに居る。

 朝なのに照りつける容赦のない夏の日差しに、息を切らせている子も既にいるぐらいだった。

 心地いいのは吹き抜ける潮風――沖はもっと風が凄いのかもしれない……。


「有坂ーっ。わりぃが、こっち手伝ってくれないか?」

「ん?……栗原なら一人でも運べそうな気がするが」


 そんな感じで栗原が持とうとするIS機材を眺める俺。

 それに不服なのか、唇を尖らせながら――。


「何だよ、少しは俺も女扱いしろよな!……いいから、手伝えよ……な?」


 自分なりに可愛く見せようとしたのか、普段とは違う栗原を見て軽く返事をした。


「はいはい」

「『はい』は一回だろ!」

「はーい」

「伸ばすなーッ!!」



 そんなやり取りがビーチ一帯に響く。

 昨日一日が凄く長く感じたのに、今日は何だか短く感じる。

 IS機材を栗原と二人でコンテナに収納していると後ろから――。


「ヒルト、悪いけどこっちも手伝ってくれない?」

「ん?……何だ、鈴音か」

「……何だとは何よ」


 腰に両手を当て、目尻を吊り上げる鈴音。


「手伝ってって何を手伝うんだよ?――栗原、そっちは大丈夫か?」


「あ、あぁ。わりぃな有坂。……た、助かった……よ」

「そか。なら鈴音手伝ってくるから何かあればまた呼んでくれ」

「お、おぅ。また……な」


 コンテナから出ると、鈴音は満足した様な表情を見せる。


「ふふん、やっと来たわね。さぁ、こっちよ」

「了解~」


 そう返事をし、後ろから追従するとすぐに目的の場所に着いた。


「……何だ、この散らかり様は」

「ふふん、感謝しなさいよ。甲龍用のパーツを片付けるの、手伝わせてあげるんだから」


 ニシシッと八重歯を見せる鈴音。


「……量が多いから一人でやってくれ」

「ちょっ!?何よ!手伝わせてあげるんだから手伝いなさいよッ!」


「……だって……この散らかり様は……」


 何だかわからないぐらい甲龍用のパーツが散らばっていた。


「し、仕方ないでしょ!……片付けてたら落としたんだもん……」

「……ったく、こういうのは一夏に頼めよな?二人っきりになれるチャンスだろうにさ」


 言って向こう側を見ると、一夏は山田先生と会話をしていた。

 とりあえず近くに散らばっていた甲龍用のパーツを持ち、コンテナへと収めていく。


「そういや、このパーツは何なんだ?」

「ふふん。訊いて驚きなさいよ!これはね、キャノンボール・ファスト用の高速機動パッケージ『風(フェン)』よ!」


 そう言って散らばっていたパーツを指差し、ドヤ顔で言う鈴音。


「……俺には残骸にしか見えないがな。特にこれ何だよ?追加装甲か?」

「ちょっ!?そ、それはいいじゃないッ!?バカ!」


 手に持つ追加装甲は、変な形に前面に突き出していた――。

 そして、手に持つそれを強引に奪い取る鈴音。


「……?おかしな奴だな、たかが追加装甲なのに全力で奪い取るとは」

「べ、別に良いでしょ!バカ!スケベ!」

「どんな言われ様だよ……」


 高々追加装甲触っただけでスケベとか……ったく。

「……てかこれがあるなら福音の時、来れたんじゃ――」

「……風だけは最初からバラバラだったのよ、パッケージが……。私が落としたからじゃないからね!?勘違いしないでよ!……多分、紅椿の落下の衝撃かも」

「落下の衝撃?――コンテナ、安いのを使ってたのか?」

「そ、そこはわかんないけど……。――べ、別にいいじゃない!」

「……そうだな」


 そんな返事をしながら、俺は近くのチェーンっぽい物を手にすると今度は――。


「ふふん。ヒルト、それに興味わかない?」

「……別に。鉄鎖術にでも使うのか?」

「興味を持てーッ!!……これはね、《高電圧縛鎖(ボルテック・チェーン)》よ。これで相手を捕縛して電流を相手に流し込むの」


 訊いてすらいないのに説明を始める鈴音。

 てか何気に危ない武装だな。

 とりあえず、物騒なこの武器をコンテナへと直す。


「……何気に今の鉄鎖は中国語じゃないんだな」

「そうね。実は外注で作られたりしてるのよ。日本製も多いのよ?」

「成る程、まあ日本製は信頼が高いからな。……鈴音の前で言うのも何だが、中国って何かと爆発するイメージ多いからな」

「ぅっ……それは流石に否定出来ないわね。――実際IS専門装備の会社も、爆発騒ぎ起こしたりするからね……はぁ……」


 溜め息をつく鈴音を他所に、俺は甲龍用のパーツをコンテナに収納していく――。


「……うし、ある程度は片付いたな」

「そ、そぅね。……ぁりがと、ヒルト」

「気にするな。でも次からはあんまり散らかすなよ?てか一夏とやる方がいいぞ?俺と居れば誤解するかもしれないのに」

「……そぅ……だよね。――へへっ、でもあんたの方が気軽に言えるのよ!悪友みたいな?」

「なんじゃそりゃ?――まあ俺で良いならいいがな。……じゃあまた何かあったら言えよ」

「あんたもね?」


 言って、手を振るとその場を立ち去る。

 一年生凡そ120人居るせいか、思ったよりも撤収作業時間はかからない気がした。



「おー、有坂くんだー。手伝ってけー」

「む?宇崎か……あいよ。――これは、打鉄用パッケージか?」


 見慣れないパッケージを見ていると、宇崎が答える。


「おー。超長距離射撃用パッケージ『撃鉄』だー」

「ふぅん?あの刀だけの防御型ISにこんな長距離射撃用パッケージがあるとは……」


 言ってそのパッケージに触れる。

 夏の日差しのせいか、結構熱がこもっていた。


「……てか打鉄ならその防御力の向上目指せよ。装甲は確か貫通性スライドレイヤーだっけ?何か適当に着けたような名前だが――貫通に強いなら打突とかレイピアとかに強そうなのに普通に装甲破壊されるし」


 そんなことを言いながらも、俺はそのパッケージをコンテナに収納していく。


「……これだけの様だな」

「うんー。有坂ー、ありがとー」

「おぅ。銃は持たないようにな」


 そう告げてその場を去る。

 ……何だかんだで結構手伝わされてるよな、俺。

 ……と、突如一年生全員に呼び掛ける声がビーチ一帯に響きわたる。


「一年生、注目!……撤収作業中だが、私が思っていたよりも直ぐに済みそうだな」


 声の主は織斑先生だ。

 拡声器無しで響き渡るその声には威厳が満ち溢れていた。

 流石に作業中の生徒も先生方も、作業停止し織斑先生の言葉を訊いていた。


「――そこでだ。空いた時間は専用機持ちの模擬戦を見てもらおうと思う。専用機の持たない一般生徒も、模擬戦を見ることで勉強も可能だからな」


 その言葉に、流石にざわざわとざわつく。

 突如模擬戦の開催だからだろう――まあ、俺は昨日訊いてたから知ってるが。


「有坂緋琉人!前に出ろ」

「了解」


 言われ、前へと出ると皆の視線が俺に集中した――と、ムラクモが。


『ヒルト、注目されてるね?』

『……そりゃ、いきなり呼び出されたからな。――何か怒ってるか?』


 ムラクモの声色が少し違い、何だか怒って聞こえた。


『……別に。ヒルトって誰にでもキスされるのかなーって。腰に腕まで回すし』

『…………申し開きはないな』

『……むぅ。……まあだからって私は嫌いにならないけど、面白くはないかな……』

『……そっか。出来るだけ自重する。――流石に節操無しだとな』


 そう返事をすると、ムラクモの声が聞こえなくなる――と。



「……ヒルト、時間が取れたから昨日言った通りだ。リベンジの機会だぞ……」

「……リベンジ?誰にですか?」

「……フッ。篠ノ之に決まっているだろ?――篠ノ之!ISを展開しろ。お前の模擬戦の相手は有坂だ」


 そう告げた織斑先生、だが篠ノ之は俺が相手だと不満なのか――。


「有坂が相手……ですか?」


 明らかに怪訝そうな表情で俺を見る篠ノ之。


「そうだ。……何か不服でもあるのか?」

「……ぃぇ、ただ昨日は私が勝ったので今日も昨日と同じ結果になるのではと危惧しただけです」


 そんな篠ノ之の発言に、やはり周りがざわざわとざわつく――美冬何か、明らかに表情が変わったし。


「ほぅ。……それだけの自信があるなら、別に断る理由もないだろ?」

「……はぁ」

「それは肯定と取るぞ。――二人とも、ISを展開しろ」


 言うや、腕を組んで篠ノ之を見る織斑先生。

 それに応える様に、篠ノ之は静かに頷く――そして。


「来い、紅椿!」


 一瞬眩い光が辺りを包む。

 その光が治まると、篠ノ之は紅椿を纏っていた。


「……有坂、貴様も展開しろ」

「了解。――村雲、展開する!」


 言うや、高々と後方宙返り――その最中、先ほどと同じく眩い光が包み、治まると空に浮き、村雲・森羅を纏う――。


「あれ?有坂君のIS、見た目かわってない?」

「うんうん。やっぱりかわってる!……フルスキンタイプ?」

「もしかして……第二形態移行したの!?」


 そんな周りの声を拾う――と、流石にきゃいきゃい煩い一年生に向けて織斑先生が。


「……小娘ども、考察は後にしろ。――オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、前に出ろ」

「「「は、はい!」」」


 突如呼ばれた欧州連合三人娘は返事と共に直ぐ様前にやって来た。


「お前たち、これをここのビーチ五メートル間隔で埋設しろ。いいな?」

「え、えぇ。わかりましたわ」

「わかりました」

「了解しました。――教官、これは地雷ですか……?」

「……地雷の訳が無いだろ。有坂博士考案の【埋設型ポータブルシールドバリアー発生器】だ。……それとボーデヴィッヒ、織斑先生だ」

「し、失礼しました、織斑先生」

「うむ。では埋設開始しろ。――有坂、篠ノ之は所定位置で模擬戦準備」

「わかりました」

「了解」


 言って、篠ノ之は飛翔――高度三十メートル地点へと到達すると、刀を構える。

 俺はゆっくりとその場へ向かいながら、粒子形成させた天狼を出したり消したりしながら向かう――。

 その都度、粒子が収束しては弾けて虚空へ消え、また収束と何度も繰り返していた。

 高度三十メートル地点へ到達すると――。


「……またお前と模擬戦とは、織斑先生は一体何を考えているのだ。有坂の相手など、他の候補生で十分だろうに……」

「不服なら織斑先生に言えよ?こんなところで一人ごちても仕方ないぞ?不満なら言うのが筋だ」

「……断る、私は自分より立場が上の人間に対して何かを言うつもりはない」

「……そっか」


 静かにそれだけを告げ、俺は素手で構える。


「……貴様、やる気あるのか?」

「ん?あるよ?」

「なら何故素手なのだ!?私を馬鹿にしてるのか!?」

「……いちいち構えに対して文句を言われる筋合い無いぞ?」


「……ッ!!」


 別に挑発してるつもりも無いのだが、篠ノ之にはこれが挑発に見えたらしい。

 と、試合開始のシグナルが点灯し始めた。

 昨日と同じ様に、遠方からカモメの鳴き声が聞こえ、遠くには貨物船の行き交う姿が確認出来た。

 海面は少しだけ荒れた感じだが、その穏やかな青は見ていて心地がいい。

 そして、シグナルが緑へと変わると模擬戦が開始された――。 
 

 
後書き
関西は二話視聴終わり

雪羅って連射出来るのね

殺人未遂ばかりなのね

一夏声が変わりすぎて別人にしか感じない

てか自分が強いと思っていたのにびっくり

シャルも声が低すぎて

裏奥義見たかったな……もちろん声付きで 
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