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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第235話】

 
前書き
寒さでなかなか進まなかった 

 
 皆に一口、食べさせた事に満足したのかいつになく幸せそうな吐息を吐く四人。

 俺も、この気恥ずかしい行為が終わったと思い、一息つくと――。


「うふふ、ヒルトさん? まだ残ってますわよ? わたくしたちがヒルトさんに食べさせるのが――」

「……おおぅ……。 食べさせるだけでもめちゃくちゃ恥ずかしかったのに、今度は食べさせられるのかよ……」


 嬉しくない訳ではないが、正直恥ずかしさの方が勝っているので遠慮したいのだが、やはりそういう訳にはいかず――。


「ダメだよ? 僕達だけ食べさせてもらってってのは……。 僕だってヒルトに食べさせたいもん」


 にこっと笑顔で首を傾けるシャル。

 ……これだけ聞くと、本当に世の中女尊男卑か疑わしくなるが、一歩外に出て俺一人ならやはり女尊男卑を改めて体感するだろう。


「良いじゃん。 ほら、接待受けてるって思ってさ♪」


 身を乗り出して覗き込む美冬。

 ちらりと見える乳房の谷間に思わず目が向くと、慌てて視線を逸らすも美冬は――。


「へへっ……♪ お兄ちゃん、どうしたのかなぁ?」

「な、何でもないって! だから座ってろよ美冬」


 悪戯っぽく微笑む美冬は、大人しく返事をするとソファーに座り直した。


「でもヒルト、これだけの女の子に囲まれて食べさせて貰えるんだからもっとありがたく思わないと……ね?」


 どこかこの状況を楽しんでるのか、絶え間なく笑顔を見せた未来。

 ……た、確かにそうなんだけどさ……俺は一夏と違ってそういうのを何も考えずに出来たり、されたりするほど人間出来てないんだよ。

 ぐるぐると頭の中で二十日鼠が回る中、状況は絶えず変化していく――。

 セシリアがタルトを一口サイズに切り取り――。


「さあどうぞ、ヒルトさん♪」


 手で受け皿を作り、恥ずかしさよりも俺に食べさせる嬉しさが勝っているのか笑顔で口元に運んできた。

 セシリアの顔と、口元に運ばれたタルトを交互に見ながら意を決し、はむっと一口で食べる。


「うふふ♪ どうですか、ヒルトさん?」

「……お、美味しいが恥ずかしい……」

「うふふ♪ ……こういう所、可愛いですわね……」


 そっと口元を手で覆い、微笑むセシリア。

 いつになく綺麗な微笑み方だが、今の俺には恥ずかしさが勝っていて直視出来なかった。


「じゃあ、次は僕の番だよ?」

「うぅ……。 恥ずかしい……」

「あははっ、何だかヒルトが可愛く見えるよ……♪」


 楽しげに言いながら、ショートケーキを切り取るシャルは直ぐに口元に運んできた。


「はい、あーん……して?」

「……っ。 ……あ、あ、あー……あーん……」


 躊躇いながら口を開くと、そっと舌に滑り込ませる様に一口切ったショートケーキを運ぶと、そのまま食べる。

 やはりショートケーキなだけ、シンプルではあるが美味しさが格段と違って思えた――。


「ど、どうかな?」

「も、勿論美味しいぞ……? ……でも、やっぱりこの食べさせ方は慣れない……」


 そう呟くようにシャルに伝えると、控えめな笑顔で微笑みかけ――。


「そっかぁ……。 ふふっ、でもそこもヒルトらしいよね……♪」


 多分、六月に俺がシャルに食べさせた事を思い出しながら言ったのだろう。

 どこか懐かしむような声に聞こえた。


「それじゃあお兄ちゃん? 恥ずかしいかもだけど、まだ私とみぃちゃん二人残ってるからね?」

「あ、あぁ……」


 力なく返事をすると、困ったような笑顔を見せながらモンブランを一口切り――。


「はい、どうぞ……♪」


 身を乗り出し、手で受け皿を作って口元へ運ぶのだが――その際、さっきと同じ様に胸の谷間がちょうど見える位置で視線に困った。

 だが、瞼を閉じて口元に運ばれたモンブランを味わうと――。


「どう、お兄ちゃん?」

「……モンブランって、初めて食べたが悪くないな。 リップ・トリックのだからか?」
「そうですわね。 有名なパティシエの方がお作りになってますから……」

「そういえばお兄ちゃんって、基本ケーキはショートケーキばかりだったもんね?」


 美冬の言う通り、俺は基本ショートケーキばかりだ。

 ……あれが一番美味しいし、シンプルで好きだったりする。


「じゃあ最後は私ね? ……はい、ヒルト?」


 既に切り取り終えたレアチーズケーキを口元へ運ぶ未来。

 動きに無駄が無いのが彼女の器用な所なのか、はたまた別の理由かはわからないが――。

 最後ということもあり、躊躇なくパクりと一口で食べると――。


「はい、お疲れ様。 ……ふふっ、皆のケーキ、どうだった?」

「……美味しかったが、何だか疲れた……。 ……でも、あ、あ……ありがと……な」


 照れ隠しの為、視線を全員から逸らすように天井を見ながらお礼の言葉を言うと――。


「うふふ。 どういたしまして……ですわ♪」


 そうセシリアが立ち上がってわざわざ覗き込むように言う。

 表情は満足してるのか、まぶしいぐらいの笑顔だった。


「ふふっ、僕達こそわがまま言ってごめんね? ……でも、何だかんだでヒルトはちゃんと食べさせてくれるし、食べてくれたよね♪」


 シャルはそう言うと、空いた俺の左手をとると自分の両手で包むように握ってきた。


「……だね? 何だかんだでお兄ちゃんって、優しいもんね♪」


 美冬はそう言うと、ソファーに座っていた俺に正面から抱き付いてきた。

 最近は、皆の前でもスキンシップをよくする気がする……。


「ふふっ、ヒルト……改めて食べさせてくれてありがとね♪」


 セシリアと同じように覗き込む未来。

 ……てか、これが簡易ハーレムってやつなのかな……。

 ちょっと邪な考えを抱いた為、軽く頭を振って話題を変える事にした。


「と、所でさ、これから何する? 一応ゲームとかも一通り揃ってるが――」

「そ、そうですわね……。 ……ゲームもよろしいのですが……その……」


 そう口ごもるセシリアを不思議そうに眺めると、シャルが――。


「……せっかくだから、ヒルトの部屋……見てみたいなぁ……」

「……俺の部屋?」


 そう呟くように聞き返すと、シャルもセシリアも首を縦に振って頷いた。


「……お兄ちゃんの部屋で遊ぶの?」

「ヒルトの部屋か……。 良いんじゃないかな? 二人とも、興味あるんでしょ?」


 未来が二人の気持ちを汲み取ってか、そう言うとまずセシリアが――。


「えぇ、ヒルトさんがこれまでどのようなお部屋で過ごされたのか、やはり気になりますもの」


 そう言いながら、少し視線を逸らすセシリア。

 多分男の部屋に入る機会がこれまで無かったのだろう、その為に少し恥ずかしいのか視線を逸らしたと思うが……。


「僕も、やっぱり気になるもん……。 ひ、ヒルトがダメだって言うなら……諦める……よ?」


 シャルは上目遣いでそう言いながら、握った俺の左手を更に握ってくる。


「……まあ構わないぞ? 別にゴミも無いし、美冬や未来もしょっちゅう入ってたしな。 ……俺の部屋で遊ぶか」


 皆の顔を見ながら、そう言うとセシリアとシャルは華開く様な笑顔で――。


「は、はいっ! ……うふふ、楽しみですわ……♪」

「僕も楽しみだよ♪ ……えへへ、どんな部屋なんだろぅ……」


 二人して想像力を膨らませ、俺の部屋内部を妄想してる様だが残念ながら普通の部屋だと思う。

 二人の様子に、美冬も未来も笑顔で見つめつつ――。


「じゃあお兄ちゃん、部屋に案内しよう?」

「ふふっ、二人が思う様な部屋かはわからないけど……ね?」


 未来の念押しの言葉は二人に届いたのかはわからないが、俺がソファーから立ち上がると部屋内の想像を止めた。


「じゃあこっちだ。 ……飲み物とか片付け――」


 そう言おうとした瞬間、ふわふわとした声がリビングに聞こえてきた。


「ヒルト? お母さんが片付けておくから貴方は部屋に案内なさいな♪ ……セシリアちゃん、ケーキありがとう~」

「あ。 ……いいえ、お父様とお母様に喜んでもらえてわたくしも嬉しいですわ……♪」


 リビングに現れた母さんが、いつも通りふわふわした言葉遣いでお礼を言うと、セシリアも母さんに喜んでもらえたのが嬉しいのか、胸に手を当てて笑顔を返した。


「うふふ。 じゃあ後はお母さんに任せてねぇ~。 美冬ちゃん、今日はお寝坊さんだったわねぇ~」

「し、仕方ないじゃん……。 久しぶりに色々見てたんだもん……」


 母さんに指摘されるや真っ赤に顔を染めた美冬。


「未来ちゃん、いらっしゃい♪ 挨拶が遅れてごめんねぇ~?」

「い、いいえ。 私こそ、急にごめんなさい、お母さん」

「うふふ、良いわよぉ。 お隣なんだし♪」


 遅れて母さんが挨拶をしながら、テーブルの上を片付けてるとシャルが――。


「ぼ、僕手伝います――」

「うふふ、シャルちゃんはお客様なんだから気にしないの♪ ほらヒルト、早く部屋へ案内しなさいな♪」

「あぁ。 ……シャル、母さんに任せとけって」

「ぅ、ぅん……」


 やはり自分だけ何もしてないのが気になってるのか、眉を下げて困った様に見ていた。


「うふふ。 家に居るときはお母さんしないと、この子達に母親だって事、忘れられちゃうかもしれないから。 また後でシャルちゃん手伝ってくれるかしらぁ?」

「は、はいっ。 ……えへへ」


 母さんの手伝いが出来るのが嬉しいのか、笑みを溢すシャル。


「じゃあ行くか。 ……俺の部屋は二階だからな、皆階段に気を付けろよ? 特に未来、たまに足を引っ掻けて落ちそうになった事があるからな」

「うぅ……。 あ、あの時は少し慌ててただけだもん……」


 恨みがましい目で見る未来を他所に、俺が先導して階段を上がる。

 俺の家の階段は踊り場を経由してから二階に回るので、踊り場には窓が設置されていて、春は暖かな陽射しが射し込む踊り場だ。

 ……夏は暑いから、たまらないが。

 そんな踊り場を経由して直ぐの場所に二つのドアが、その奥に更に二つのドアがある。


「まず、手前のここが俺の部屋でその隣は親父が集めた古今東西のゲームがあるよ。 メジャーからマイナーまで、探せば色々あるかな? んで、奥が美冬の部屋――俺の隣だな。 そしてその向かいの部屋が誰か来たときに泊まれる部屋だな。 俺の友達が泊まるときはそっちか下の客室で泊まるよ。 ……その時は美冬の部屋のドアに電流が流れる仕掛けがあるから、夜這いを働こうとした不届き者は成敗されるって訳だ。 ……まあ、誰も手を出してないがな」

「そうだね。 ……まあ、手を出しちゃったらお父さんと組み手時間無制限で相手させられるって聞いたら、皆も萎縮しちゃうけど」


 各部屋の説明と、美冬のちょっとした話を聞かせて、直ぐに手前のドアを開ける。


「じゃあどうぞ、期待した部屋かはわからないがな、これが」


 そう告げて部屋に入るように促すと、全員入った後、俺が最後に入ってドアを閉めた――。 
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