IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
【第494話】
前書き
久しぶりな更新( ´艸`)
無人機終わりよ
学園を襲った襲撃は、終息に向かいつつあった。
各アリーナで行われていた死闘も、残すは一ヶ所――。
「ち、ちょっと、不味いッスね……」
額の汗を拭うのはフォルテ・サファイア、機体周辺には既に破壊した無人機の残骸と、自身の破損した部位の残骸が散らばっていた。
「……何言ってやがる、この程度でだらしがないぜ、フォルテ」
そう強がりを見せたのはダリル・ケイシーだ、だが額の切り傷から止めどなく血が流れ落ち、アリーナの大地を少しずつ鮮血に染めていた。
二人の機体のダメージは既にレベルDを越えていて、いつISが解除されてもおかしくない状況だった。
エネルギーも残り少なく、流した血の量から軽い貧血状態のダリル。
フォルテ自身も肌の露出している箇所に青アザが出来ていたものの、身体ダメージはダリル程ではなかった。
襲撃してきた二機の内一機は破壊したものの、もう一機は健在であり、その機体周囲に浮かぶシールド・ビットが怪しく光を放つ。
まるで一基一基、意思を持つかのようにシールド・ビットが襲い掛かってきた、二人は逃れようと回避運動を行うも機体スラスターに不調を来したのか、思うように空に逃げられなかった。
「ま、マズイッス! 回避出来ない……!」
「ちぃぃっ! こんな所で、オレもフォルテもやられるのかよ……!!」
眼前に迫りつつあったシールド・ビット、だがそのシールド・ビットは突如飛来した増援によって機能停止に追い込まれた。
ダリル・ケイシーに迫っていたシールド・ビットは、有線に繋がった鋏状のクローによって真っ二つに切断され、フォルテ・サファイアに迫っていた物は、シールド・ビットの中心、一分の狂いも無く撃ち抜かれていて地表へと落ち、物言わね塊へと変わっていた。
「……増援……ッスか……?」
「だが、教師部隊の装備にこんなものは……」
ダリルはそう呟き、有線の先を見る、太陽の光に一瞬眩しそうに目を細めたその先に居たのは――。
『マスター、今回は間に合って良かったですよぉ( ´艸`)』
「……ギリギリな気もしたがな、これが」
目を見開くダリル、ダリルの視線を追ったフォルテも、その意外な人物に目を見開いた。
空から現れたのは有坂ヒルト、ダリルやフォルテ自身、軽い噂程度にしか興味がなく、大会の少し前に言葉少なく交わした程度の下級生にしか思っていなかった。
有線に繋がったクローが勢いよくヒルトの機体へと戻る、ガシャンッ!と激しい金属音が辺り一帯に鳴り響いた。
襲撃者のライン・アイが真っ赤に染まる、警戒レベルが上がったのか二人を見ることもせずに襲撃者は瞬時加速で有坂ヒルトへと迫る。
「狙いを変えた……!? 有坂! お前じゃ敵わないから逃げろッ!!」
咄嗟に出たダリルの言葉に、ダリル自身が一番驚いてしまった――何でオレは下級生の心配をしてるんだ、【敵】になるかもしれない人物に――。
だが、ダリルのそんな言葉に首を振ったのはヒルト自身だった、粒子展開を終えた北落師門・真打ちを構えると、何合と剣を交え、激しい空中戦を繰り広げる。
時にはヒルト自身が会得していた中国武術を交えた独特の戦闘スタイル、襲撃者が距離を離せば手に持つ北落師門を投擲してダメージを与え、地表へと落ちていく北落師門を粒子化し、また再度その刀を握り締めては何度も何度も投擲による中距離攻撃を繰り出していた。
「あ、あれが噂の有坂君にしか出来ないスキル……ッスか!?」
生唾を飲む音が妙にリアルに聞こえたフォルテ、軽い噂とはいえ、そういった情報は時折耳にしていたフォルテ。
距離を問わずオールレンジに戦えるヒルトの戦いに、目を奪われていた。
更に距離を離す襲撃者、だが今度は右肩に備わった長大なランチャーが咆哮を上げた。
正確無比な射撃、その一撃一撃が腕や脚の関節へと叩き込まれ、遂には耐えきれずにブレードの備わった右腕と左脚部を失った襲撃者。
スラスターも不調を来したのか、地表へと落ち、激しい轟音と共に砂ぼこりが舞った。
圧倒的だった、二人がかりで苦戦していた一機を、こうも容易く膝をつかせた有坂ヒルトに――機体性能があるにしても、本人の努力が無ければその性能を引き出す事は敵わないだろう。
地表に降り立った有坂ヒルトは、ダリルとフォルテの二人を見て――。
「先輩方、遅れてすみません。 遅れましたが増援到着です」
そんなヒルトの言葉に、ダリルは赤く染めた髪をかきあげ――。
「ヘッ! 別にお前の増援待ってた訳じゃねぇさ、なぁフォルテ?」
「そ、そぅッスね! あ、有坂君が来なくても、二人で倒せたッス!」
ダリルに同調するように応えたフォルテだが、ヒルトから見てもダメージが大きいのは目に見えていた。
言葉を掛けようとしたその刹那、襲撃者は残った左腕から高密度圧縮粒子砲を放つ。
完全な不意討ち――だが。
「フォルテ!」
「了解ッス!」
残ったエネルギー全てを使い、息のあったコンビネーションを見せる二人――フォルテの機体からは冷気が、ダリルの機体からは熱気が放たれ、それが防御結界――《イージス》を発動させた。
高密度圧縮粒子砲による一撃は、その防御結界によって消滅していく――と。
『マスター! あの防御結界に突撃なのですよぉ!!o(`へ')○☆パンチ!』
突然のイザナギの言葉、だが自然とヒルトは瞬時加速の体勢を取ると真っ直ぐと突き進む。
「なっ!? オレ達の作ったイージスに向かって突撃するだと!?」
「あ、危ないッスよ! 有坂君!!」
焦る二人を他所に、ヒルトの機体の両腕部装甲が可変展開し、特殊な粒子膜が機体を覆った。
そして、イージスの中に突撃――それを突破すると、そのイージスがもたらしたエネルギーを纏い、紅と蒼が混ざったそのエネルギーを、瞬時加速による加速で増した体当たりの一撃が襲撃者に直撃した。
その威力は凄まじく、食らった襲撃者の機体はコアもろとも消滅し、纏ったエネルギーをアリーナ天井へと解放したら、まるで其処だけをくり貫いたかの様に丸い大きな穴が天井を貫通していた。
『マスター、これも必殺技登録するのですよぉ( ´艸`)』
「……必殺技って……、てか……消滅するほどのエネルギーって……」
ため息を吐くヒルト――だが、これで全ての戦いが終わったと思うと、急に疲れが出たのか、空中でぐらりと体勢を崩すヒルト。
ダリルとフォルテの二人が慌てて助けに向かおうとするのだが、それより先に助けに入った二機の機影。
「……お兄ちゃん、頑張りすぎ。 少しは美冬にも頼って欲しかったな。 ねぇ、美春?」
「うん。 ……でも、それが私の『マスター』だから……」
美春は優しそうな眼差しをヒルトに向ける、穏やかな表情のまま寝息を立てるヒルトの表情に、美冬も同様に優しく見つめた。
それから少しして、教師部隊が到着、傷の深いダリルとフォルテの二人は担架で運ばれ、二人の機体は学園の整備室へと運ばれた。
長かった一日――ヒルトの尽力、そして学園上空で孤軍奮闘していた有坂陽人の尽力。
そして、人知れず遥か上空――無限に広がりを見せる成層圏――『インフィニット・ストラトス』で戦った【イルミナーティ】の活躍でIS学園に迫っていた驚異は今の所は消え去った。
一時の平和が訪れた学園に、淡い夕日が学園全体をオレンジ色へと染めていった。
その一方、学園の戦いに介入したイルミナーティの三人。
「あぎゃ、ボス、これだけのコアをどうするつもりだ?」
「……いつか来るべき【戦い】に備える為に必要な物だ、とはいえ……コアのままでは意味はそれなりにしかないがな、これが」
いつか来るべき【戦い】という言葉に、カーマインは疑問に思うも、それを口にする事はなかった。
隣を飛んでいたシルバー自身が首を振ったのと、ウィステリア・ミスト自身も深く聞くなという雰囲気を醸し出していたからだ。
カーマイン自身、今回の介入に謎が残るものの、今は深く考えずに次は有坂陽人と万全の状態で戦える事、それだけを望むように考えを切り替え、大空の彼方へと三機は消えていった。
後書き
さて、最近自転車にイタズラされて悩んでる俺
イタズラした奴にはいつかバチが当たるだろうと思うことに( ´艸`)
また更新遅れるかもですが、よろしくお願いします
ページ上へ戻る