つぶやき

海戦型
 
クリスマスに何一つ予定がない人に贈る
頼まれてもないのにおすすめの作品を紹介するコーナーの時間がやってまいりました。前にも似たようなことをしたなぁなどと自分に呆れつつも、偶には自分の好きな作品くらい奨めたくなるのです。面白いのに周囲が知らなくて興味もなかったので悲しくなったわけではありません。


作品名「東京ゴッドファーザーズ」。
2003年放映のアニメーション映画です。監督は今は亡き今敏(こんさとし)さん。製作はマッドハウス。海外でも高い評価を得ていて……と、これは蛇足ですね。そんなことよりあらすじだ。

物語は雪が降るクリスマスの寒さに震える3人のホームレスから始まります。
主人公その一、ギンちゃん。髭ぼうぼうのおっさんです。
主人公その二、ハナちゃん。おっさんではなくオカマです。
主人公その三、ミユキちゃん。絶賛家出中の女子高校生です。
男、女、オカマ。うーむ、絶妙なバランス。仲がいいのか悪いのかは分からないけど何だかんだで一緒に行動する3人は、炊き出し目当てに近くの教会へと足を運んだ帰りにゴミ漁りを開始します。ホームレスですから、生活の糧はそう言った所からで得られれば儲け物です。ところがどっこい3人が発見したのはお宝よりもとんでもないもの。

なんと、ゴミ捨て場に生まれたての新生児――つまり赤ん坊が捨てられていたのです。

仮称「清子(きよこ)」と名付けられたこの赤ん坊。子供を産むのが夢だったハナちゃんは「神様からのプレゼントよ!」と大喜び。一方ギンちゃんは「ホームレスにガキが育てられるか!」と警察に受け渡す気満々。ミユキちゃんはぶーぶー文句を言いつつも赤ん坊の事を気遣います。
3人とも色々とあった身の上なだけに、この寒空の下に捨てられていた赤ん坊に思う所があった模様。3人はとりあえずこの赤ん坊を捨てた――若しくは捨てざるを得なかったのかもしれない親を探すことにします。手がかりになるのは赤ん坊と一緒にあったコインロッカーの鍵。

しかしその行動が、東京を舞台にしたとんでもない大冒険と「奇跡」を呼び起こす!


とまぁそんなストーリーです。コメディとドラマ性を絶妙に融合させたアニメーションは最初から最後まで視聴者を飽きさせず、3人の過去と現在の人間関係を織り交ぜながらガンガン進むストーリーはドキドキが止まらない。漫画でも小説でも出来ない、まさに「アニメ映画」という言葉が相応しい出来栄えです。
これは見る価値ありと自信を持ってお勧めできる作品です。レンタルDVDでいいから、是非この作品で起こる「奇跡」の目撃者になって貰えれば幸いです。