つぶやき

setuna
 
デジモンネタ3
続き

ヒカリ「………」
ルカ「ヒカリさん、大輔さんは…あの人は初めて融合進化した時、デジモンを殺しました。相手はエテモンと言って、相手の実力から決して手加減出来ない。そして大輔さんは初めて、自分の手を血で濡らしました」
ルカは見てしまった。
エテモンを殺した時の大輔の人形のような表情を。
そして激化する戦いで敵を殺した時のフェイト達の表情を。
ルカ「命を奪った時の映像は悪夢となって何度も襲い掛かる。自分が殺した相手が自分を殺す悪夢を見せる。」
ヒカリ「…………」
ルカ「命を奪ったこの腕に纏わり付くんです。相手の断末魔。相手の恨みの声がね。その時自分にあるのは何だと思います?」
ルカは自嘲する。
ルカ「相手を殺した時にあるもの…それは血みどろに濡れた手です」
ヒカリは自分が震えていることに気づいた。
殺人の恐怖に怯えている。
ルカ「僕もティアも敵を殺しました。沢山沢山。数え切れないほどにね…それぐらいの覚悟がないと…戦いに身を置きつづけることなんか出来ませんよ」
ヒカリ「じゃあ大輔君は…」
ルカ「異世界に来るまで、選ばれし子供ということ以外は普通の子供だった大輔さんがすぐに血に慣れられると?しかし運命は非情です。待ってくれない。大輔さんは仲間のために数え切れないほどの敵を殺した。その度に大輔さんの拳は凄まじさを帯びていきました…その大輔さんを知るからこそ、ヒカリさん。あなたでは駄目なんです」
ヒカリ「どうして!?私は…」
ルカ「あなたに大輔さんの気持ちを理解出来ないでしょう“殺し”をしたことがないあなたには一生理解出来ない。」
ヒカリ「そんな…私は…」
ルカ「お仲間やパートナーに守られてばかりのあなたに僕達の何が分かる!?」
立ち上がりながら叫ぶルカにヒカリは何も言えなくなる。
ルカ「…明日、一緒に仲間と笑うかもしれない。泣くかもしれない。喜んでいるかもしれない。何かのために戦うかもしれない。大事な人の所へ帰るかもしれない。その全ての可能性を敵から奪い続けて、今ここにいるんです。だから僕や大輔さん達は“人殺し”と罵られても反論なんか出来ないしする資格もない。僕達がやってきたのはそういう殺しなんですよ」
悪夢に怯えるようにヒカリは震えた。
自分が知らないところで物語は残酷に動いていた。