つぶやき

海戦型
 
危険性の話
男の娘の一発ネタ度とテンプレ度は異常です。

「女の子だよね」→「男だ!」とか「何でこいつは女に生まれなかったんだ」みたいなやり取りは既に大量の先駆者がおり、今更何の新鮮味もありません。しかもこのやり取り、大抵の作品の場合はそのキャラが出るたびに何度も何度も見ることになって、余程男の娘シチュエーションが好きな人でない限り飽きます。漫画やアニメなら映像の可愛さで誤魔化せますけど小説だと厳しいです。

男の娘っていうのは男だったと判明するまでがそのキャラのピークになりやすいんです。登場時のインパクトがあっても物語の中で役割を大きくするのが難しい。そしてタグに「男の娘」とついているとそのピークすら結果が分かりきっていて訪れない。後は独立したキャラクターとしてどこまで個性を引き出して物語に絡ませるかの話ですけど・・・

あと、男の娘は可愛いから許されると主張する人がいますが、「可愛い」と「個性がある」は全く別の物です。没個性でも何番煎じでもかわいくすることは全然可能です。怖いのは「可愛いけど、それだけ」って言い切られる瞬間です。可愛いことが必ずしも読者の求めている物語にそぐう訳ではないんです。
男の娘というテンプレ設定ありきで、そこにキャラクターが付随しているだけと言いますか・・・属性がキャラに勝ってしまうと、もう物語内にそのキャラが存在する意味が無いような気がします。(これは男の娘に限りません)

あー・・・つまり、男の娘というキャラクターの運用は非常に難しいんです。使い捨てにする、時々出す、みたいな事になりやすいし、全面に押し出すとなると単に男の娘であるという域を確実に超えたキャラ付け・心理描写・生い立ちなどの設定にかなり力を入れないと飽きられちゃう。
総合すると・・・
・発展性と応用性に乏しくマンネリ化しやすい
・インパクトはあるが持続性が無い
・かわいくても個性が出しづらい
という欠点がある、と言いたいのです。女装で女に見えるという事ならば女装をするしないの選択が可能なので一辺倒になるのを防げるんですが自分にとって男の娘というのは非常にもったいないというか、やれる範囲の狭いキャラ付けだと思っています。そして(特に二次創作界隈では)この欠点に気付かず男の娘に挑戦する人の多いこと多い事。
いや、別にそれで評価されていて人気があるのなら悪いことではないと思います。書いている自分が楽しくて読んだ人も楽しいのなら、それに越したことはありません。

でも、物語を楽しむうえでは危険なことだとも考えるのです。
(追記:これは男の娘というより、リスクをリスクとして把握していない流れがあるという事が危険だという意味です)

物語の世界にキャラが暮らしている以上「世界観(雰囲気)≧キャラクター」の図式はあって然るべきだと自分は思います。つまり、あくまで世界があって、その上にキャラクターはいるという前提です。世界の方が大きく、エンタメのバランスを考えてもやはり世界観とキャラの重みがある程度釣り合っていなければどこか歪な世界になります。
つまりここでキャラの持つ属性や可愛さといったものに重点を置くと、このバランスが崩れて世界観が「ついで」の存在になります。世間がこのまま可愛さや属性ばかりを求めているのなら、最終的にはキャラクターも「ついで」の存在にならないだろうか?

イラストならまだいいです。あれはビジュアルや見た瞬間の印象こそ最も大事なもので、そこがスタート地点だからです。でもアニメ、漫画、小説でそれはあまりにも危険です。何故なら楽しむべき、作者がその技量を振るうべき物語の部分が「ついで」の扱いになってしまうからです。

果たしてそれは、小説なんでしょうか。
もしも自分の知っている「小説」が「小説」でなくなる瞬間というのが訪れたら・・・と、考えすぎなことを考えました。 
海戦型
 
返信
>N.Cさん
問題ありません。たぶん。

>黒猫大ちゃんさん
自分も結構やばいこと書きかけました。
世界観は、特に時代が現代で日常系だと世界観があやふやになりやすくて・・・これ、結構怖いことだと思うんですよね。あやふやになっていることに作者が気付かないっていうのは怖いです。

>水音さん
ラノベじゃない小説で面白い人の文章を読むと、雰囲気作りが本当に上手いですよね。読者のイマジネーションを引き出して光景を幻視させているかのようです。自分もその辺を研究中です。 
水音
 
主人公「でもな、こいつ男(♂)なんだぜ」
ヒロイン「……えっ? 何その冗談」
主人公「だから、こいつは女じゃなくて……ほら(男の娘のスカートめくる)」
男の娘「いやあぁん(はぁと)」
ってのもテンプレのひとつ。

何か自分で書いときながらくだらなさに涙出てきた。。。


ですが私が主に読んでいる海外小説では、周囲の風景とか部屋の小物、相手のつけているアクセサリーなどの描写が濃密で、靴音、体温、息遣いまで容易に想像できるものもありますね。
そんな一見無駄そうな描写から登場人物の心理に繋げていく技法は本気で会得したいです。
 
黒猫大ちゃん
 
『小説』が『小説』でなくなるか。
 キツイ表現ですなぁ。
 でも小説の形態を取りながらイラスト頼りで世界観がついでと成った小説など腐る……。おっと、更に危険な事を口走る所だった。

 まぁ、ここに挙げられた問題は別に『男の娘設定』に限った事じゃないと思うので、自分もちゃんと考えながら書かないとね。
 これ以上書くと、更にヤバそうなのでこれにて失礼。 
N.C
 
少し追記
うーん。男っぽくなるっていう感じですかね。そんなにガラリとは変わりません。 
海戦型
 
謝らないでもいいのに・・・
自分、他人の物語やキャラ付けにケチ付けられるほど偉い身分じゃありませんから。というか自分がこんなつぶやきするときは大抵暴走しているときなので話半分でいいですよ。

成長によって属性が失われるところまで考えてなさるのならば立派だと思います。それに最初のインパクトと言うのは馬鹿にできません。イメージが固まりやすいし、何より執筆の勢いになる。上の文を見ると欠点だらけに見えてもちゃんと探せば利点もありますし、捨てるものと最初から割り切るのならばそれはそれでありだと思います。

とはいえN.CさんにはN.Cさんの考えがありますから、それに口を出すような形になったのはちょっと申し訳ないです。

・・・ん?というか、成長して普通に男に見えるのなら、それは男の娘と言えるのか微妙じゃ・・・あ、でも元々男の娘って区分けのあいまいなジャンルだからなぁ・・・
 
N.C
 
チーン……
ここに、主人公を男の娘にした馬鹿がいます。はい自分です、すみません。
最初に変装の類に応用しやすいという安直な理由でやったんですけど、よく考えたら自分の作品の暗殺者は変装する必要性がないということに気付きました。そもそも、なんで当時自分は『男の娘=変装に有利』という謎すぎる等式を立てたのか未だに理解できなかったり。

確かに男の娘というジャンルは、二次創作ではなにかと使われますが形骸化しやすいです。自分の場合はオリジナルですが、イラストにされたらインパクトがあるのはなんだろう? という理由でも始めました。なので、序章で多少ネタにされる程度で、あとは完全に形骸化しています。そもそも自分が可愛いだのそういう方面の機微を描写することに疎いので、物語の後半では一切出てこないと思います。というか主人公が成人するので、流石に男の娘じゃなくなります。
つまり自分は、可愛さというより、イラスト化された時のインパクト重視ということです。外見的なインパクトは主人公の悪友が突き抜けてしまったので、別にもう男の娘でなくてもいいんですけど、何回も再構成して全てを通して男の娘だったのでもう修正利きません。というか脳内イメージが固定化されちゃって無理でした。

自分の中で『男の娘』というものはあくまで一要素、あるいはイラスト化の賑やかしとか一時のネタに近いものですね。世界観やキャラクターが潰れない程度の軽さで描いているつもりです。
自分のネタが、本来の物語を圧潰させていないことを願うばかりです。

-追記-
自分の作品のその主人公は、確かに個性が薄いです。いきなり狙撃する侍女とか上半身裸で闊歩する人類最強とか髪の毛をぐるぐる巻きにした刀鍛冶とかのほうがよっぽど個性が濃いです。
やはり無意味に男の娘設定をつけるものではありませんね。イメージ固定のせいで男の娘設定のままで登場という展開は不可避ですが。