つぶやき

N.C
 
再掲:突発的アイディア③
『血戦の都』
未曽有の殺人ウイルスが世界を覆い、人間を殺戮する。
作品としては陳腐でありきたり、思わず笑ってしまう代物だが、これが現実で起こったら誰も笑えないだろう。
そして、そのような状況に陥れば人間はどうなるか。
結論から言えば、ひどく浅ましく惨めな無様を晒すことになる。
しかしそれは間違っていない。生きるという欲求は、何物にも代えがたい渇望だ。
そして光明もあった。殺人ウイルスに抵抗できる唯一の抗体が完成したのだ。しかしそれは、設備も材料も満足にない現状では少数の抗体しか作成することが叶わない。
だから必然的に、争いが起きた。世界各地、人類が存在する遍く全ての地域で殺し合いが発生した。斬り合い、殴り合い、潰し合い、奪い合う。
散発的に供与される抗体が、より争いを激化させ、人口を着実に減らしていく。
果たしてそれが誰の思惑か、それを知るものはどこにもいない。