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あさきゆめみし―黒子のバスケ―
花 その四 「春」を忘れないで…
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たなべ)先輩が初めてなんです」


「………………僕じゃ、ダメですか」


 少し恥ずかしそうに笑う彼が眩しくて、それまで溢れていた涙も止まった。


「僕に気づいたのも………………こんな、気持ちになったのも…」


 今では明らかではない彼の時世の句を敢えて祖母が残したのは自分へのエールだったのかもしれない。

 二つの人影が一つに重なったのは、もみくちゃにされて下校してくる新誠凛(せいりん)高生にも、町行く誰一人の目にも入らなかった。

              ――― 完 ―――
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