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とある女性の非日常
とある彼女の非日常
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地獄堂のオヤジが 迎えに行ってやれ って言ったんだ。多分 ねーちゃんのことだ」

『私を…?』

地獄堂のオヤジさんなら 確かに何故私がここに居て どうしたらいいのかも教えてくれると 思った。

『…うん。連れて行って』


私は獅子王をしっかり袋に戻して紐を結び ベンチから立ち上がった。

左手に獅子王を持っているので 空いている右手を 三人が引っ張る。



「オヤジ!!連れてきたぜ!!」


『…こんにち は…』

本で見るより 店の入り口の人体模型はリアルだったし 店の中は薄暗く 得体の知れない瓶も並んだ棚。私はこの空間に 激しくビビっていた。

「ヒヒヒ…連れてきたか…」

その嗄れ声!!
私はさらにビビった。

『あの…どうして私 ここに…?』

やっとの思いで絞り出した声は 情けなく震えていた。

「空間がの ねじ曲がって お前さんのことを連れてきたのよ…ヒヒヒ…」

『トリップ ってやつですか…?じゃあ獅子王とこの格好は…?』

「ヒヒヒ…お前さんは賢いのぅ。そうじゃ お前さんの力が必要なのよ」

『力!?私 霊能力とか何もないですよ!?』

呆気に取られる私に オヤジさんは畳み掛けるように話し出した。

イラズの森に巣食う妖たちの数が多すぎる と。それを退治するために私が呼ばれたのだ と。
ちなみに制服なのは 様になるからだ と。(そこかい!!と突っ込みたくなった)


「とにかく 妖たちを こいつらと退治してほしいのよ」

『…』

私は無言で頷いた。ここは「地獄堂霊界通信」の世界なのだから 妖を倒し終えたら 元の世界に帰れるはずだと。

「お前たち。ちょっと街を案内してやれ」

オヤジさんのその声で ポカンと私を見ていた三人悪は 一気に私に質問してきた。

「ねーちゃん 違う世界から来たの!?」

「この刀はどんな力があるの!?」

「ていうか名前…」

椎名の鋭い突っ込みに 慌てて私は頭を下げた。

「一ノ瀬菜摘。霊感とか全然ないのに呼ばれてきちゃったみたい!!よろしくね?」

三人悪は賑やかに私に笑いかけてくれた。



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