第T章:剣の世界の魔法使い
魔法使いVS地獄の王子
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ックブリーカー、とでもいうのだろうか。つるし上げられたシェリーナのフードが外れ、素顔があらわになる。PoHが口笛を鳴らす。
「Wow……意外に美人じゃねぇか。こりゃぁ後でいろいろ楽しめそうだぜ……と、その前に」
グリン、とシェリーナ頭をキリト達の方向に向けさせるPoH。
「ぐっ!!」
「よーく見ておけよ、《黒の剣士》サマが無残に死に行く様をな」
クラディールが剣を振り下ろすたびに、キリトのHPが少しづつ、少しづつ、減っていく。
「キリトさん……キリトさん……!!」
「クラディール、だったか?なかなかやるな。将来有望ってやつか?」
クラディールの剣をキリトの腕が押さえる。もうキリトのHPは一割ほどしか残っていない。このまま剣が突き立てられれば、キリトは死んでしまう。
「死ね――――死ね――――――ッ!!」
「キリトさん―――――――――!!」
クラディールが狂気の叫びをあげ、剣を握る腕に力を込める。
シェリーナが悲鳴を上げ、目をつむる。
そして、キリトに今まさに剣が突き立てられんとしたその瞬間――――突如、白と真紅の閃光が走った。それは、クラディールを弾き飛ばすと、キリトのそばに跪いた。栗色の髪が見える。
「アスナさん!」
「《閃光》だと!?馬鹿な……」
狼狽するPoH。そして、直後PoHの体に衝撃。
「What!?」
「いっ!?」
PoHに投げ捨てられ、地面にしりもちをつくシェリーナ。尻をさすりながら衝撃の飛んできた方向を見たシェリーナは、そこにいた人物を見て、驚愕に目を見開いた。
銀色に近い灰色の髪。いつも優しげな光を湛えていた赤銅色の瞳は、今は憤怒の一色で染め上げられている。普段の魔導服とはどこか違った雰囲気の漂う魔導服を着、両手で槍のようなものを構えたその男性プレイヤーは……
「ドレイクさん……!?」
《剣の世界の魔法使い》ドレイク。第七十四層の《エネマリア》、ひいては《仄暗き森》から出ないはずの、この世界唯一の魔法使いが、今、ここにいた。
「どうしてここに……」
「嫌な予感がしまして。無理を言ってやってきました。そうしてみれば案の定このような事態に……遅れてしまってすみません、シェリーナ」
「テメェ……」
PoHが右手の《友切り包丁》を構える。
「どこかで見たような顔してやがるな……おいお前、俺と会ったことが有るな?」
「《私》としては初めましてです、《地獄の王子》。しかし、《俺》としてはこれが三度目です」
「何……!?」
「え……?」
ドレイクの言葉が、不自然だった。彼は、今まで一度も『俺』という一人称は使ったことがない。それに、今の口ぶりでは『私』、そして『
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