第T章:剣の世界の魔法使い
ユニークスキル
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戸惑うシェリーナを気にする様子もなく、ドレイク達は話を続ける。
「いやぁ、もう来てもらえないかと思ってましたよ」
『全くだ。友が減るのは誠に寂しいことだからな……本当に喜ばしい』
ドレイクに至っては涙ぐんでいるほどだ。それほどまでに感動的だっただろうか、私の再来は……。三日。たった三日シェリーナが来なかっただけなのに、これほどまでに歓喜する彼ら。恐らく、《エネマリア》の外からの来訪者というのが本当にうれしいのだろう。
不思議と、シェリーナも笑顔になる。フードをとって素顔を出しつつ、シェリーナは頭を下げる。
「お久しぶりです、ドレイクさん。黒龍王さん。私も、お二人と再見できてとてもうれしいです」
「いえいえ。それにしても、本当によく来てくださいました……私たちはずっと仲間内だけで生きてきましたから、こういったほかからのお客という物がすごく新鮮でうれしいものなのですよ」
にっこりと笑みを浮かべるドレイク。その横では黒龍王がノリノリで配下に指示を出していた。
『さぁ、汝らよ!!今日は宴だ!!明から宵まで宴尽くせ!!』
***
宴は、シェリーナが終わらないんじゃないかと不安になるほど長く続いた。来た時にはまだ明るかった空は、今はもう真っ暗になっている。大騒ぎしていた《エネマリア》のモンスターたちは、ほぼ全員が酔いつぶれてひっくり返っていた。まぁ、《泥酔》ステータスがない、そもそも酔うことがないこの世界で、酔いつぶれるというのは一体どういうことなのか。やはり彼らがプレイヤーではないからだろうか。恐らくそうなのだろう。証拠に、黒龍王はすでにその巨体を横たえてはいたが、ドレイクとシェリーナはいまだはっきり理性を保っていたからだ。
「みなさん、疲れてしまったのでしょうか」
「そうですね。王も彼らも、シェリーナが来てくれたことが本当にうれしかったんですよ……。先ほども申しました通り、我々はずっとこの《エネマリア》だけで生きてきましたから。私が初めて彼らの元を訪れたのはいつの事だったか……」
思い出せたらお話しますね。とドレイクが笑う。ドレイクの笑顔は優しい。シェリーナもつられて微笑んでしまう。
本当に、不思議な青年だと思う。年齢は恐らくシェリーナと大して変わらないだろう。それなのに、この落ち着いた態度。ロールプレイの一環なのではあろうが、とてもそうだとは思えないほどの気品だ。シェリーナも現実世界では比較的落ち着いた人間だったとは思うが、このドレイクほどではなかっただろう。
現実世界では、何をしていたのだろう。最大でも二歳くらいしか年の差はないはずだから、学生かな……。どんな人なんだろう。会ってみたいな……。
「現実世界でも、
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