第一章〜囚われの少女〜
第十一幕『逃げた小鳥』
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背後から団長の声。「でも、そんなところが好きよ♪」「…………」
その様子を少し遠くから見守るミカエラ。「まぁ、二人とも。朝っぱらからおアツいこと」
ふと、お節介焼きのミカエラは、ジャックの事が気がかりになる。ジャックを起こしに部屋に行くことにした――ジャックがいつもは誰よりも早く起きるということを、皆が忘れているような妙な朝だった。
―
「――なんだって!?」
ジャックの失踪にいち早く気が付いたのはミカエラだった。下船の準備をしていた団長とシドは耳を疑う。
「ジャック……どこにも、いないの!」相当慌てて、あちこち走り回ったのだろう。ミカエラは息を切らしていた。
「すました顔して自分勝手なガキだぜ! この俺が準備しているっていうのによ。まだその辺にいるんじゃないか? ……しっかし、いくらなんでも逃げるとはな。見損なったぜ!」
「きっと何か考えてるのよ。ジャックなりに。今までこんな事一度もなかったわ、ジャックは仕事に対しても……逃げるなんて事、今まで……」ミカエラはシドをたしなめるが、自身もジャックに対する動揺を隠しきれない。
「大丈夫。ジャックはきっと戻ってくるわよ。帰る場所はここなんだから」やはり団長は、そんな中でも落ち着いた表情をしている。しかし先ほどの言葉とは変わって、少し寂しそうにこぼした。「でも、そんなに今回の作戦、気に食わなかったかしら……?」
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