第4話「仕事―裏」
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「どうなってる?」
少し考える。
なぜか存在しない大きな黒球、ガンツ。持ってきていないはずの各武器。
「ここでミッションか?」
おそらく制限時間もない。それなら転送もないことに少しは納得がいく。だが、転送がないとすれば、その分怪我をすればアウトということになるのかもしれない。
「……やるか」
放っておくわけにもいかず、再度敵位置を確認する。
「近いな」
強化スーツを着ていこうか迷う素振りをみせる彼だったが、首を横に振った。
――どうしても敵わないと感じたときでいいだろう。あれは出来るだけ使いたくない。
ステルスで姿を消し、窓から飛び降りる。寮は4階だが、そんな些細なことを気にする必要はない。見事に着地して、敵の姿を確認するためにも赤点が指す位置へと急いだ。
一人の女性徒が夜道を歩いていた。
友人すら連れず、黙々と歩く姿は武道を――特に剣道を経験したことがあるのなら見惚れてしまう程に強烈な存在感をかもし出していた。
普段の徒歩からして背筋は伸び、よどみのない歩調。片手に掲げられた竹刀袋をいつでも抜き放てるかのような、そんな気配すら感じられる。
街灯が照らすコンクリートを進む。
そして、彼女がフと何らかの気配を感じた時、バケモノが目の前に降り立っていた。
「!?」
反射的に彼女は後ずさり、竹刀袋から真剣を抜き放った。
「私がこんな距離まできづかなかった?」
呟き、相手をじっくりと観察。
身の丈4Mはあるだろうか、さらには筋肉質なその肉体をまるで誇示するかのように、上半身は裸、下半身はジーンズという変態全開な格好。それだけでも十分に異常だが、目を引くのはそんな部分ではなかった。
全体を通して緑の体。背中には大きな甲羅が、腹部にも甲羅らしき部分が見える。両手両足には指といえる形状の部分は存在せず、代わりとして異様に鋭い爪が伸びている。時々見え隠れする口からは歯が見えず、嘴のように顎を尖らせている。皮膚の表面に見え隠れしているのは鱗だろうか。
いうなれば2足歩行する巨大な亀、とでも言おうか。殺気はゼロに等しい。セツナが接近されるまで気付かなかったのはおそらくそのせいだろう。
――式紙か?
間合いを計るように後退し、構える。
「何者だ!?」
凛と透き通る声にも反応はしない。ただ、涎を垂らし、息を荒くさせ始めていた。
「……ぐる、めし、えさ……ひと」
意味不明なことを口走るバケモノに、首をかしげたセツナだったが、次の瞬間には動いていた。
「えさ、ひとぉおおーーー!!」
異様な雄たけびをあげた緑の怪物が大口を空けてセツナ
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