第四十一話 雷鳴近づく
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になるだろう。そして日が経てば経つほど同盟にとっては耐え難い熱さになるはずだ。
「ナイトハルト、艦隊の掌握は上手く行っているのかな」
「まあ何とか……。自分の艦隊に比べれば多少の違和感は有る。しかし防御戦だけなら何とかなるだろう。卿の方はどうだ?」
ミュラーの問いかけに俺はメルカッツを見た。
「こちらも同様ですな。防御戦だけなら心配は要らないと思います」
「という事だ。良いんじゃないかな、変な色気を出さずに済む。ひたすら防ぐだけだ」
俺の言葉に皆が苦笑した。
俺もミュラーも一昨日まで一週間、ウルヴァシーの周辺で艦隊の訓練を行っていた。相手は必死だ、そしてヤンが居る。少しでも生き残る可能性は高くしておきたい。ルッツ、ワーレンにも手伝ってもらって艦隊訓練を行った。元々艦隊の練度は高いのだ、訓練の目的は分艦隊司令官との連動を高める事だった。
まあ人それぞれ癖は有るからな。こっちも覚える必要が有るが向こうにもこっちの癖を覚えてもらう必要が有る。ルッツやワーレンとの連携の訓練にもなったしヤンの一点集中砲火についても説明はした。無用な混乱はせずに済むだろう。結構充実した一週間だったと思う。昨日一日は休養日、後は哨戒部隊からの連絡を待つだけだ。
「問題は向こうの艦隊数が五個という事ですな」
「兵力は同等だが艦隊数は反乱軍の方が一つ多い。少々手古摺りそうです」
ルッツ、ワーレンが深刻そうな表情をしている。まあ確かにそうなんだが兵力自体は一万隻の艦隊が三個だ。
攻撃力も弱ければ耐久力も弱いだろうし新造艦や老朽艦も多いから艦隊としての練度も低いはずだ。それを考えれば一概に不利とは言えない。他の艦隊との連携を分断できれば兵力そのものはこちらの一個艦隊の六割程度だ。短時間に戦闘不能に追い込めるだろう。
「艦隊の並びはあれで問題ないですか?」
俺が問い掛けると皆が頷いた。問題なしか、これで陣形は左からミュラー、俺、ルッツ、ワーレンの順に決まった。多分俺の正面にはヤンが来るはずだ。両脇からミュラーとルッツが俺を支える形になる。少なくとも向こうはそう思うだろうな。
大広間に人が入って来た。閑散としているからすぐ分かる、リンザー大尉だ。顔が強張っているな、どうやら哨戒部隊が同盟軍を見つけたか……。緊張で身が引き締まるのが分かった。俺はこの日を待っていたのかな、それとも恐れていたのか……。メルカッツ、ルッツ、ワーレン、ミュラー、皆緊張している。ヤン・ウェンリーと戦う時が来たようだ。
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