暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第三十九話  聞こえてくる声
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
など有るまい。領内の補給基地を適当に使っているのだろうな」
「では、各艦隊バラバラか」
「最低でも三つには分かれているだろう、最悪の場合は五つだな」
ルッツ提督とファーレンハイト提督が話している。厄介な……、反乱軍の領土それ自体が連中の根拠地になっているに等しい。

「ならば補給基地を全て占領、破壊すればよい。そうなれば反乱軍は動けなくなるはずだ」
「机上の空論だ」
ファーレンハイト提督の意見をロイエンタールが冷然と否定した。だからお前は周囲から反感を買うのだ、もう少し言い様が有るだろう。それにしても補給基地を全て破壊か? 確か八十四カ所あると思ったが……。

「全軍を上げて動けば此処が空になる。補給基地を尽く制しようとすれば兵力分散の愚を犯し各個撃破の対象になるだけだ。場合によっては五個艦隊に袋叩きに遭う可能性も有る」
「ではロイエンタール提督は手をこまねいて奴らの蠢動を見過ごすとおっしゃるのか」
ほらな、ファーレンハイト提督が反発している。また一人敵を作った。

「そうは言わぬ、追ったところで奴らは逃げるだろうという点を指摘しているのだ。有利なら戦い不利なら逃げる、ゲリラ戦とはそういうものだろう」
言っている事は正論なのだろうが反ってその事がファーレンハイト提督の反発を強めている。

「だからと言ってこのまま追いかけっこを続けるような余裕は我らには無いぞ」
「だから連中を誘い出す。罠にかけて奴らを誘い出し包囲殲滅する。これしかないだろう。問題はどのような餌で奴らを誘き出すかだ」
「ロイエンタール提督の言う通りですね。彼らを追うのではなく誘い出す事を考えるべきでしょう。さて、どうしたものか……」

黒姫の頭領が穏やかな口調でロイエンタールを支持するとファーレンハイト提督も口を噤んだ。周囲もホッとしたような表情をしている。もしかするとこれ以上二人が険悪になるのを防ぐために敢えて中に入ったか……。ロイエンタールの奴、頭領に迷惑ばかりかけているな。

「反乱軍がこちらの誘いに乗るという保証はない、補給基地を叩くべきです!」
やれやれ、トゥルナイゼンか……。頭領への反発からだな、ロイエンタールもファーレンハイト提督も顔を顰めている。
「八十四カ所、補給基地を叩けば反乱軍は動けません!」
「卿も武勲の立て場が有るな」
言い募るトゥルナイゼンにケンプ提督が皮肉を浴びせた。彼方此方で失笑が漏れた。俺も笑った。

顔を真っ赤にしたトゥルナイゼン中将が“私は”と何かを言いかけたが頭領が止めた。
「ま、止めた方が良いでしょう。非効率的ですし危険も多い。それに補給基地が八十四カ所とは限りません。八十五番目の補給基地が有るかもしれない」
八十五番目? 皆が顔を見合わせた。

「同盟軍はかなり前からゲリラ戦の準備をして
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ