第一幕その七
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「もう勘当だ。いいな」
「御前が彼女を勘当しても僕がいる」
これは彼のハッタリだ。しかし蝶々さんはそうは受け取らなかった。彼の心だと受け取ったのだ。これもまた不幸であった。
「わかったら帰れ。いいな」
「ふん、言われなくとも」
「なあ。何かあの人が五月蝿いし」
「そうだよな」
式の参列者達も盆主の言葉に態度を変えていた。それで口々に言いながら次第に消えていくのであった。五郎も逃げてしまっており残っているのは蝶々さんとピンカートン、そして鈴木の三人だけになってしまっていた。蝶々さんはそれを見てあらためて哀しい顔になるのだった。
「誰もいなくなってしまったのね」
「構いはしないさ」
ピンカートンが彼女に応えて言う。項垂れる蝶々さんに対して彼は毅然として顔を上げていた。
「僕がいるから」
「貴方が」
「そう、僕がいる」
顔を上げた蝶々さんにまた告げる。
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