暁 〜小説投稿サイト〜
少女は 見えない糸だけをたよりに
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 12月の日曜日、朝から天気のいい日。私が教室から帰って来ると、お父さんが円山公園まで歩こうと言ってきた。床の間のお花を活けていたお姉ちゃんも誘われていたのだ。

「燿さん じゃぁ いづ重の箱寿司 買ってきてもらってもいいかしら 電話しときますから」と、お母さんがお姉ちゃんに頼んでいた。

 お姉ちゃんは、ベルト付きの黒のひざ上丈のワンピースで、私にも、ハーフジップになったグレーでベルトが後ろがリボンになった、やっぱりミニ丈のワンピースを着なさいなと勧められたのだ。

「お父様 いいわねー こんなに可愛い人 モデルさんみたいよ ふたりも連れて歩けるなんて」と、珍しく、お母さんに嫌味ぽく言われて送り出された。

 暖かくて、ポカポカする陽気で、公園の中にも多くの人が散策していて、お父さんが

「歩いたからか、腹減ったなー あそこで、そばでも喰おうか」と、公園の中の茶店に向かって行った。

 お父さんは、ざる蕎麦とビールを頼んでいたんだけど、私は、みたらし団子を、お姉ちゃんはわらび餅を頼んだ。私達は食べ終わっていて

「お父様 私、お母様から頼まれたお寿司いただいてきます。ここで、ゆっくり休んでいてね」と、お姉ちゃんが言い出したので

「お姉ちゃん 私も、八坂さんの中にある神社 お詣りしたいの 付いていって良い?」

「いいけどさー もしかして 美御前社? 香波 それ以上、美人になってどうすんの」

「うーん お姉ちゃんに追いつきたい」

「うーん もう 追い越してるよ そのピチピチの若い笑顔 じゃあ 行くよ」と、手を繋いできてくれた。

「私 これ以上 美肌も必要じゃぁないから」と、お姉ちゃんは境内でバイバイしてお寿司屋さんに向かっていって、私は、独りでそのお社のほうへ。

 そして、お詣りをして、湧き水を頬にベタベタとしている時、3人連れの男の人が

「ねぇ 君 可愛いね 写真撮っていい?」と、強引に写真を撮られて、その後、一緒にと・・無理やり並ばされて・・私、怖くて、身体中が縮んでしまって、(バク 助けて・・)と思っていて、声も出せなかった。ずーと下を向いて黙ったままでいたんだけど、「どこから来たの? 一人?」とか「幾つ」「名前は」とか聞かれたとき、「バクー 助けて―」とようやく声が出た。「チェッ なんだ こいつ わけわかんないの」とか言い捨てて過ぎ去ってくれた。

 私は、その後、お社の横に隠れるようにして、怖くて震えてしまって動けなかった。その間「どうかしたんですか 大丈夫ですか?」と声も掛けてくれた人が居たが、私は、うなづくだけで、声も出なかったので、その人もどうしょうもなかったのだろう、そのまま行き去ってしまっていた。

 どれぐらい時間が過ぎたろうか。電話が鳴った。お姉ちゃんだった。
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