第2節「新しい生活」
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ペンライトを振り回し、黄色い声を上げる弓美。
二色のペンライトで埋め尽くされた観客席へと向けて、姉さん達は手を振っていた。
「あれ?紅介?」
「うっ……ううっ……」
「紅介、泣いてる……のか……?」
一方、肩を震わせ涙する紅介。
恭一郎と飛鳥が、驚いて肩を叩く。
「どうしたんだ!?いつもなら『やっぱあの二人最高だぜ!いや、最高なのは奏さんなんだけどよ!!この二人も最高なんだよ!!』ってはしゃいでる所じゃないのか!?」
「兄さん、多分理由はそれだよ」
「え?……ああ、奏さんか」
「こ゛こ゛に゛奏さ゛ん゛も゛い゛て゛く゛れ゛た゛ら゛な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「仕方ないだろ……奏さんも大変なんだから」
姉さんの相棒で、元ガングニールのシンフォギア装者だった天羽奏さん。
二年前、ノイズとの戦いで命を落とした彼女だったが……フロンティア事変の中、とある異端技術によって復活を遂げた。
現在はS.O.N.G.の職員として住み込みで働いていて、日夜に渡るトレーニングと、それから蘇生に関する検査の日々を送っている。
最近、世間では死亡扱いとなっている彼女を社会復帰させるために「実はライブで死亡したというのは誤報であり、実際は意識不明の重体で最近まで眠り続けていた」というカバーストーリーと共に、退院が報じられた。
当然ながら、俺や響たち関係者以外には真相を伏せている状態だが、本部で寝泊まりしている事は紅介達にも知られている。
なので、推しドルの奏さんがまだアーティストとして復帰出来ない現状は、紅介にとって辛いのだ。
「奏さ゛ぁ゛ん゛……早く元気になってく゛れ゛よ゛ぉ゛……」
「あー、もしもし奏さん?ライブ見てた?」
「へあッ!?」
腰を抜かして俺の方を凝視する紅介。
「おっ、おおおおおおい翔ッ!お前……その電話の相手って……」
「そうだぞ?」
通話をスピーカーに切り替える。
するとスマホの向こうから、よく知ったハスキーな声が聞こえてきた。
『いや〜、見ないうちに翼の歌も上手くなったねぇ』
「奏さんだぁぁぁぁぁ!!」
「紅介、うるさい」
推しドルとの直通電話に大興奮の紅介。
だが、流星に叩かれてちょっと冷静になったのか、正座して静かに耳を傾ける。
『まあ、あたし以外の女と歌ってるのは思わず妬いちゃったけど、それ以上に誇らしいよ』
「この後、姉さんに電話とかするんですか?」
『まあね。翼が誰より一番待ってるのは、多分、あたしからの言葉だろうしさ』
「姉さん、絶対喜びますよ。奏さんが居ないの、少しは寂しがってるはずですから」
『そうだと嬉しいね。それじゃ、あたしは次の翼の出番までゆっくり観たいから、この辺で』
そう言って奏さ
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