蒼紅:第三十七話 悪夢
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「あなた達には伝えましょう。私が皇神での諜報活動で手に入れた情報を…彼女……ミチルは、生まれた際、とても強力な第七波動を持っていました。その第七波動は、強大すぎる力で、生まれたばかりの彼女の体を蝕んでいきました……だから、アキュラの父、神園博士は娘を守るため、彼女が持つ強大な第七波動・“電子の謡精”の因子を手術で取り除いたのです。摘出の代償として、彼女は“声”を失ってしまったようですがね…そしてどこで聞きつけたのか、電子の謡精の力に目をつけた皇神上層部は、摘出した因子を、極秘裏に移植し、その力を利用しようとしました。その後はあなた方が良く知っている通りです」
「………なるほどな…それでお前はミラーピースを作り出して何をしようと言うんだ?」
「覚えていますか?以前皇神が推し進め、私達が食い止めた歌姫プロジェクトを?電子の謡精の精神感応能力を用い、全ての能力者を洗脳・統治するおぞましき計画……私は、あの計画を皇神に代わり実行しようと思っています」
「テーラ、能力者を支配しようと言うのか…?君の目的は現在の能力を持たない人々の殲滅じゃなかったのか?」
「いや、GV…恐らくテーラの狙いは電子の謡精による能力の強化だろう」
「正解です。私が用いるのはあなた方も良く知っている電子の謡精の本来の力…何度もシアン達の歌による支援を受けてきたあなた方なら分かりますね?謡精の歌は第七波動を高める力を持つことを…彼女の歌と、皇神から手に入れた技術があれば、全ての能力者を、更なる高みへと進化させることが出来る。より強き力を得た能力者達が団結すれば、数で勝る現在の旧人類も太刀打ちは出来ないでしょう」
その言葉でGVとソウはパンテーラの狙いを察する。
電子の謡精の力で全ての能力者を強化して、その力で現在の無能力者を葬ろうと言うのだろう。
「…止めるんだテーラ!君の気持ちを理解出来ないわけじゃないけど…現在の能力を持たない人々だって心ない人ばかりじゃない!モニカさんやオウカのような人だって……」
「…ええ、勿論です。私もあなた方と過ごして、無能力者の人々全てが能力者に対して排他的ではないことくらいは理解しています」
「なら…!」
「これはかつてシアンにも言った言葉ですが…あなたはごく一部の無能力者のために今、この瞬間にも心ない無能力者に迫害され、食べる物も眠る場所もなく苦しんでいる同胞に迫害を受け入れろと言いたいのですか?」
「それは…」
冷たいパンテーラの言葉と表情にGVは沈黙する。
「私は忘れません…何もしていないのに親から捨てられ、能力者であるだけで道を歩けば石を投げられ、心ない暴言を言われて…挙げ句の果てには優しさを装って毒入りの食べ物を…!GV…あなたにも分かるでしょう?身寄りのない子
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