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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
勇者の心と秋の空
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きっぱりと否定した。
「確かに父はネクロゴンドの河口付近で消息をたち、今も行方不明です。しかし私は、今も何処かで生きていると信じています」
「そう……じゃったな……。すまん、ユウリよ。無礼なことを言ったな」
「いえ、私も出すぎた発言をしてしまいました。申し訳ございません」
 先ほどまで旅の扉酔いで半死状態だった姿を思い出すと、あまりのギャップに笑いがこみ上げてくる。だが場所が場所なので、私たちは必死でそれを堪えた。
 室内にきまずい空気が流れ始めたのを感じたのか、王様はこほん、と咳払いをした。
「まあ、良い。それより、長旅の疲れも癒せぬうちに言うのは酷なのじゃが、そなたたちに頼みがある。実はな、最近この国に盗賊が出没するようになっての。城の者にも警戒するように言ったのじゃが、2,3日前にカンダタという者が、この城の宝でもある『金の冠』を奪ってしまい、はるか西にある『シャンパーニの塔』に逃げ込んだのじゃ。もしそなたが真の勇者なら、その盗賊から『金の冠』を取り返してはくれぬか?」
「『金の冠』、ですか」
「もちろん、取り戻してくれたら礼をするぞ。何しろそなたたちは世界を救う旅の最中であるからな。そなたの腕はアリアハン王から聞いておる。なんでもすでにレベル30を超えているとか。本来ならそなたたちに頼むべきではないのだが、他に適する人物がおらぬのでな。頼む、図々しいとは思うが、どうか世界を救う前に我がロマリアを救って欲しいのじゃ!」
「…………わかりました。ロマリア王の頼みならば断る理由がございません。謹んでそのご依頼お引き受けいたします」
「そうか!! そなたなら頼もしい答えを出してくれると思っておったぞ!! では、頼んだぞ!! 勇者ユウリよ!!」
 ユウリの答えに、ロマリア王は満面の笑みを浮かべた。
 だが、ユウリは王の頼みを受けてから城を出るまで、ずっと無表情のままだった。



「ユウリ、何かあったの?」
 私がふと彼に訪ねたのは、城を出てしばらくして、家々の壁がほんのりオレンジ色に染まり始めたころ。
 宿屋へ戻る途中、突然シーラは「堅っ苦しいとこに行ってたから息抜きしてくる!」とかいって、地下にあるという『モンスター格闘場』という賭博施設へと走り去ってしまい、ナギはナギで新しい武器を見に行くといって商店街の人混みに紛れて行ってしまった。なんて自由な人達なんだ。
 そして残された私とユウリは、このあと特に寄り道することもなく、あと数百mで宿に到着するというところまで来ていた。
 たずねられたユウリは憮然とした表情でこちらの呼び掛けに気づく。
「さっきからおかしいなと思ってたんだけど……」
「俺がおかしいだと?」
 ものすごい形相でユウリが怒鳴った。言葉の解釈にズレを感じた私はあわてて訂正する。
「い、いやおかし
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