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歌集「冬寂月」
二十二

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 天の原

  ふりさけみれば

   小夜にふる

 星ぞ虚しき

    枯れ野原かな



 広大な空を見上げれば星々が瞬き…何も変わらぬと言う風に夜空を彩る…。

 夜中の風は冷たく…未だ冬なのだと皮膚を刺す…。

 見れば枯れ野には、もう老いてゆくだけの私…一人…。



 薄雲の

  たなびく空の

   月なれば

 光り幽かに

    影もなかりき



 薄い雲が空に棚引き、淡い三日月を覆う…。

 光は弱々しく…大地に影を落とすこともなく…。

 私のこの先の未来も…このようなものかも知れないな…。

 光なく…想う人はいない…。


 ただ…それだけなのだ…。




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