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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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ジェム、それにサファイアとジャックはジェムが昨日泊まったホテル、そのスイートルームという部屋に移動した。フロンティアのオーナーがチャンピオンであるサファイアのために用意した部屋らしい。煌びやかに輝くシャンデリアに、ジェムの家族全員で寝れそうなベッドが二つ。テーブルには高級そうなお茶菓子がたくさん置かれていた。

「すごい……昨日ダイバ君と泊まった部屋よりももっと綺麗。天井の明かりもシャンデラみたいになってる……」
「確かに似てるね。っていうかシャンデラがそういう明かりの形を真似したのが始まりなんだけど」
「そうなの?」
「ゴーストポケモンみたいな本来決まった姿を持たないポケモンは文明の発達や人間の思想の変化とともに姿を変えた子もいるんだよ。ミミッキュとかわかりやすいかな?」

 地面まで沈んでしまいそうなほど柔らかなベッドの上に座ってシャンデリアの造形に見とれるジェムに、ジャックが3000年生きているが故の知識を披露する。ジェムが感心していると、ドアの外でホテルのボーイさんと話していたサファイアが中に戻ってくる。

「ジェムのポケモンは今日一日ゆっくり休ませて、明日には元気になっているそうだ。ジェム、昨日はあの子と一緒の部屋で寝ていたのか?」

 サファイアの深い蒼の瞳がじっとジェムを見つめる。真剣な声に、思わずジェムが背筋を伸ばす。

「う、うん。私とダイバ君を倒したら賞金が出るって話になってからダイバ君とは一緒に行動することになって……それで、寝る場所も一緒の方がいいって、ダイバ君が」
「おっ、父親らしくもう年頃の娘がどこの馬の骨ともしれん男と一つ屋根の下で寝るとはけしからんとかそういうやつかな?」
「ひ、一つ屋根の下って……」

 サファイアをからかうようなジャックの言葉。思わずジェムが顔を赤らめるが、サファイアは取り乱すことも、ジェムを怒ることもしなかった。

「そんなことはない。むしろジェムはまだ一人では危ないところもあるからな。さっき手合わせした彼と一緒なら安全だ」
「にしし……言われちゃったよジェム?」
「ううん、本当にそうだったから、いいの。ダイバ君やジャックさんに助けられてなかった私……どうなってたかわからないから」

 ダイバのせいで危ない目にあったり痛い思いをしたところもあるが、それ以上に彼がいなければシンボルを獲得するどころか、打ちのめされたまま立ち直る余裕すらなかっただろう。そして、アマノやアルカの操り人形にされていたはずだ。

「そうか。じゃあまずは聞かせてくれないか? ここに来てからのジェムが何をして、どんなことを感じたか」
「うん……あのねお父様。夜になったらお母様に今日あったことを連絡するって約束したから、お母様に電話しながらでもいい?」

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