ビーター
第一章
ギルド設立。
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「ツバキ、俺、ギルドに入るよ。」
唐突にキリトが俺に告げた。
「へぇ。良いじゃん。どんなギルド?」
キリトは少し微笑んで、
「アットホーム、って感じだ。」
と、告げた。
「良かったな。」
「え?」
キリトに疑問符がついている。
「だって、お前さ。俺が居ないと必要最低限の会話しかしないじゃん?どう?対人恐怖症。少しは、らくになったのか?」
「そうだな。少なくとも、前よりは。いつもすまないな、ツバキ。」
「ていっ!」
俺はキリトの眉間に軽くでこぴんを叩き込む。
「痛いな!?」
眉間を押さえて踞るキリトに向かい、軽く説教をする。
「お前は、謝りすぎ!今のはすまないな、じゃなくて、いつもありがとう、とか、色々あるだろ!?」
俺は良く子供っぽいと言われるが、それはでこぴんとかを多用するのと、思ったことをすぐ口に出すからだと思っている。
「はは、そうだな。ありがとう、ツバキ。」
キリトは朧気な笑みを見せる。
やっぱり、こいつは人たらし、なんだろうな。
「あ、俺も、ギルド創るから。」
俺も、唐突に言った。
キリトは対して驚くこともなく、ただ、そうか。と言っただけだった。
「それじゃあ、俺はいくよ。」
「俺も。」
二人でならんで宿屋を出るのもこれが最後となる。
「じゃあな。」
「おう。」
「「また、いつか……」」
「全っ然集まらねぇ……」
ギルド勧誘開始から三時間経過したにも関わらず、入団希望者は一人も居ない。というか、話を聞いてくれない。
「今日はもう諦めるか。」
俺が転移門に足を踏み入れようとした瞬間______
「「あの、ギルドって入れます?」」
入団希望者が現れた。
「ああ。大歓迎だよ!取り敢えず、俺の宿屋まで来てくれる!?」
俺は二人の手を引っ張っていく。
「転移!ファーフニル!」
刹那、青色の光が俺たちを包み、ファーフニルへと翔んだ。
「さ、入っててくれ。お茶淹れてくるから。」
「「は、はぁ……」」
緊張しているのだろうか、二人ともガチガチに固まっている。
俺はそんな二人を席に案内し、一人キッチンへ向かう。
システムウィンドウから装備解除を選択し、普段着に着替える。
キッチンのストックから、紅茶とティーポット、ティーストレーナーを出す。
お湯を沸かしている間に、お茶請けのクッキーを作っていく。
数分で準備は出来、俺は紅茶をソーサーに置いていく。
あ、髪縛るの忘れてた。
すべてをソーサーに置いた俺はさっさと髪を後ろで纏めていく。俗に言うポニーテール、ってやつらしい。
「お待たせ、紅茶で良かったかな? 」
俺が紅茶を持っていくと、二人は恐縮したようにあたふたしている。
「いいからいいから。ほら、二人で食べてね。」
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