暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第一章 邂逅のブロンズソード
第2話 姫騎士ダイアン
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王国軍が秘密裏に養成していた暗殺部隊じゃ――」

 動揺を隠しきれず、帝国兵達が声を荒げた瞬間。

「ふいっち!」

 事故は、起きた。

「――は?」

 不遜に口元を緩めながら、優雅に空中で回転していた男は――華麗に着地するものと思いきや、頭から地面に突き刺さってしまったのだ。
 石畳さえ貫通する勢いで、彼の上半身は無惨に埋没し――空気に触れている下半身だけが、ヒクヒクと痙攣していた。

 一応生きてはいるようだが、抜け出して来る気配はない。過程はどうあれ今の状況を鑑みるなら、結果的には帝国兵達の勝利と言えるだろう。
 だが、彼らはあまりの事態に空いた口が塞がらず、一つの疑問に思考回路の全てを支配されてしまっていた。

 結局こいつは何だったのか、と。

「そこのあなた達! 何をしているのですか!」

 その時。
 涼風のように艶やかな声が、街道に響き渡る。

「げっ!?」
「まずい、あのお転婆姫か!」

 それを耳にした帝国兵達は我に返ると、焦りを滲ませた表情で互いの顔を見合わせる。既に地面に突き刺さった男のことなど、眼中にはない。

「仕方ねぇ、ずらかるか!」
「……クソッ、敗戦国の癖に偉そうにしやがって。いつか絶対、ヒィヒィ啼かせてやるからな……!」

 帝国兵達は短いやり取りの中で撤退することを選択し、足早にその場から逃走していく。その判断に滞りがないことから、この事態には慣れていることが伺えた。

 あっさりと少女を手放した彼らは、全く間に姿を消してしまう。
 彼女が顔を上げる頃には足音すらなくなっており、現場には石畳に突き立てられた男の下半身のみが残されていた。

「くっ……! あの帝国兵達、どこへ……!」
「……!?」

 すると、少女の眼前に――帝国兵達が退く原因となった声の主が駆け付けてきた。

「あ、あ、あの……!」
「……遅くなってしまい、申し訳ありません。――お怪我はありませんか?」

 透き通るような白い肌。太陽の輝きを浴び、眩い煌めきを放つ栗色のショートボブ。蒼く済んだ瞳に、芸術の如く整い尽くされた目鼻立ち。
 加えて十五、六歳前後の体格でありながら、その身体のラインは完成形に近しい女性らしさを備えている。新緑の色を湛えた軽鎧とミニスカートの上からでも、そのなだらかなラインが伺えた。
 さらに彼女の左腕には、一角獣の紋章で彩られた盾が装備されており、その腰には同様に一角獣の角を象った剣が提げられている。

 そんな彼女の凛々しい戦乙女の姿に、少女はすっかり目を奪われていた。慈しむような微笑みを浮かべて手を差し伸べるその姿に、少女は年上でありながら完膚なきまでに魅了されてしまっている。

「そ、そんな……! 私なんかには、もったい
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