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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第7話 六花が贈るメッセージ(中編)
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。もしかしたら早まった鼓動がネージュに伝わってしまっているかもしれないが、どうしようもなかった。何がどうしてこうなったのかは分からないが、きっとすぐに、身体を離してくれるだろう―――。と、思っていたのに。一向にその気配は訪れない。
「……どう……したの?」
やはり底なしに明るい彼でも不安になるのだろうか。そう思い始めると、まるで抱き着いてくるような体勢のネージュを無理やり引き剥がすのは忍びなく思えてくる。だがそれは、視界にウィンドウが出現する音と共に一気に霧散した。
「ネージュ、離れて!」
≪ハラスメント防止コードによる強制転移の発動≫――――という文面に、冷水を浴びせられたような感覚が走る。目をまん丸くさせるネージュを、慌てて両手で押し返した。
「へ?」
「ご、ごめんなさい、ちょっと確認させて……!」
きょとんとした表情を浮かべる青年を視界の端に捉えながら、すぐさま文章に目を走らせる。どうやら、はじまりの街にある≪牢獄エリア≫なるものへネージュを強制的にテレポートさせるかを、システム側は問うているらしい。私は迷わずノーを選択し、パッと消えた確認窓に胸をなでおろした。
「こんなものがあったのね……、知らなかったわ」
「な、何? 何があったの?」
「ハラスメント防止がどうとか……、ちょっと近づきすぎて、システムに勘違いされてしまったのね」
「え!? ……あ、もしかして、一瞬手が弾かれたような気がしたのは……」
「おそらく警告ね。……というか、あなた突然どうしたのよ。驚いたじゃない」
「あー……、あはは、うん」
「……うん?」
私の横に座り直した金髪は頭を掻きながら明後日の方向を見やる。何かあったのだろうかと私も同じ所へ視線を向けるが、鳥が自由気ままに遊んでいるだけだった。訝しみながら視線を戻せば、こちらを見詰めていた青色の瞳とかち合う。蒼の奥にある何かを認め、私は困惑しながら首をかしげた。
「ネージュ?」
「……ごめんね。キカちゃんがちょっと鈍いもんだから、つい意地悪したくなっちゃって」
「はあ? それってどういう……」
意味が上手く呑み込めず問い返すが、ネージュはいつも通りニコリと笑うだけだった。いまいち釈然としないが、説明する意思が無いようなら仕方がない。いい加減、話を進めなければ。
「まあいいわ。このまま、この後のことを相談しましょう」
「そ、そうだね」
「……私と会った時、あなた、こちらへ向かって来ていたでしょう。何か理由があって行動していたのよね?」
「いや、何となくだけど?」
「……は?」
断定的な問いかけに返された答えは、あまりにあっさりとしていて。思わずぎょっとして、彼の顔をまじまじと見つめる。
「ぼ、僕、変なこと言ったかな?」
「……そうね、あなたって人はそういう人だもの
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