第三章
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「だがこの頭だ」
「はい、牛の」
「その頭ですね」
「この頭で肉は食えぬ」
こう言うのだった。
「生贄にしてもどうもだ」
「はい、バアル神ですね」
「その神の信仰の影響ですね」
「それがありますね」
「生贄を要求するにしても肉はだ」
子供の肉、それはだ。
「関係ないと思うがな」
「そうですね」
「閣下はです」
「今は本来のお姿ですが」
「牛の頭なので」
「これで生贄か」
やはり首を傾げさせつつ言うのだった。
「おかしいとは思わないのか」
「そうですね、誰も」
「話しているのは高位の聖職者達ですが」
「彼等は何もです」
「思わないのでしょうか」
「そうだな、しかも余は自分から生贄を要求したこともだ」
それもというのだ。
「記憶にないが」
「はい、その通りです」
「何故か当時の人間達は様々な神に生贄を捧げました」
「そうしていました」
「そうだった」
こう言うのだった。
「それで余もとなっているが」
「どうもです」
「色々な説が混ざっていてです」
「閣下につきましても」
「矛盾もあります」
牛の頭でありながら生贄を要求して食っていたというのだ。
「生贄を中で焼いてですか」
「それが即ち生贄を食うこと」
「それはわかるとして」
「牛の頭で出来るのか」
「何故草を食わないのか」
「そのことに何も思わなかったのでしょうか」
「訳がわからないことが多い」
実にと言うのだった。
「魔神である余もな」
「むしろです」
「人間達が好き勝手に言ってです」
「それを決めてです」
「閣下がそうだと言っていますね」
「彼等の場合は」
「余に会った者はいないがな」
教会の聖職者達はというのだ。
「それでもだな」
「はい、彼等はです」
「彼等の間で話を決めて」
「そしてですね」
「そのうえで」
「閣下をそうだと公表していますね」
「その通りだ、おかしなことだ」
やはりだった、モロクは首を傾げさせて言った。
「全く以て」
「しかし彼等は真剣です」
「真剣に話をしています」
「旦那様についても他の魔神の方にしても」
「我々にしても」
「それが案外楽しそうでもあるしな」
モロクは見抜いていた、人間達が彼等について話しているそれは決して嫌々のことではないということも。
「見ていて奇妙に思うが」
「それでもですね」
「こちらは止めることは出来ません」
「あくまで彼等の間のことです」
「そういうことだ、では見せてもらおう」
これからもというのだ。
「余がどういった魔神になっていくのかな」
「彼等の間で」
「それを御覧になられますか」
「これからもな」
こう言ってだ、モロクは至って落ち着いて人間達が言う自分の姿を見ていく
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