第二章
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「ですからモロクはです」
「生贄を好む」
「恐ろしい魔神ですか」
「その様です」
枢機卿は確かな声で言った。
「モロクは」
「力が強く生贄を好む」
「かなり高位の魔神ですか」
「そしてです」
枢機卿はさらに話した。
「モロクへの生贄ですが」
「はい、どの様にされたのでしょうか」
「どうして殺されたのでしょうか」
「モロクの巨大な銅の像があったとのことですが」
枢機卿は彼が学んだことを話した。
「その像の中は空洞になっていまして」
「その中にですか」
「生贄を入れた」
「そうなのですか」
「そうです、生贄は全て子供だったとのことですが」
生贄のことも話した。
「その子供を焼き殺したとのことです」
「銅の像の中で」
「そうしたのですか」
「生贄の子供達を」
「そうです、そしてです」
そのうえでというのだ。
「四万もの生贄の命が奪われ」
「恐ろしい話ですね」
「四万もの子供がですか」
「焼き殺されたのですか」
「モロクの像の中で」
「その泣き叫ぶ声を音楽で消したとか」
焼き殺される生贄の子供達がだ、死ぬその中で叫んでいたというのだ。
「恐ろしいことに」
「ううむ、恐ろしい魔神ですね」
「それがモロクですか」
「最悪の魔神ですね」
「まさに」
「私もそう思います、モロクはです」
枢機卿はこうも言った。
「生贄を好む恐ろしい神です、そしてその姿は」
「牛の頭にですね」
「屈強な男の身体」
「それがモロクの姿ですね」
「そうです、そしてここで確認を取りますが」
今度の言葉はというと。
「生贄を中で焼く、それは即ち」
「生贄を食う」
「生贄の子供をですね」
「そうしていましたね」
「それで間違いないと思います、では」
ここまで話してだった、枢機卿は大司教達に言った。
「モロクはそうした魔神ですね」
「それで決まりですね」
「教会としてはそう発表しましょう」
「では次の魔神の話をしましょう」
「インキュバスについて」
今度はこの悪魔のことを話していくのだった、彼等はそれぞれの学説を出して悪魔を決めていっていた。だが。
魔界においてだ、その牛頭人身の魔神がだ、自身の巨大な青銅の宮殿の中で自身の配下である悪魔達に首を傾げさせつつ言っていた。君主の座に座り人間の貴族の服を着ている。
「近頃人間界では余のことを話しているな」
「はい、閣下はです」
「力が強く生贄を好むと」
「その様に」
「そうだな、確かに余は強いが」
その力がとだ、モロク自身もそのことは認めた。
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