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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第六話
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自主練内容も変わり、個人の能力と並行してコンビネーションの種類を増やそうとしていた。

 その光景に朝我は怒りを通りこして呆れていた。

「二人共、取り敢えず今日はその辺にして終わらせろ!」

 声を上げて二人の動きを止める。

 息が上がり、汗で全身が濡れている二人に朝我はため息混じりに歩み寄った。

「ティアナ、何度も言わせてもらうけど、自主練にしてはやりすぎだ。
身体を壊したら意味がないだろ?」

「これでも抑えてるほうよ。
それに、近々なのはさんと模擬戦になるって話しだし、勝つためにはこうするしかないのよ」

 引き下がれないと言わんばかりに、ティアナは朝我を睨みつけた。

 その後ろでスバルは朝我に申し訳なさそうな表情で見つめていた。

 恐らくスバルは、アグスタで失敗したティアナのためを思って一緒にいるのだろう。

 とはいえ。

「ティアナ、相棒であるスバルやデバイス達にまで無茶をさせるのはやめろよ。
そんなこと、ティアナらしくない」

「っ!?」

 ティアナの瞳が、更に力強く朝我を睨みつけた。

 図星を突かれたことに対してか、朝我の発言は踏み込みすぎたのか。

 どちらにせよ朝我の言葉は、ティアナの怒りを増す要因となってしまった。

「知ったようなこと言わないでよ!
アンタの勝手なイメージをアタシに押し付けないでよ!
アタシには証明しないといけないことがあるの!
絶対に……だから、邪魔しないで」

「ティアナ……」

「ティア……」

 朝我は、そしてスバルも、言葉が出なかった。

 彼女の抱えているものは理解している。

 だが、だからと言って何を言えばいいのか、二人には分からなかった。

 間違っている、ああしろ、こうしろ。

 そう言ってやめさせたって、今のティアナはやめないだろう。

 暴走しているわけではないけれど、周りが見えていないのだ。

 目標があって、失敗があって、それでもなおやらないといけないと突き動かされる。

 その気持ちは、朝我は痛いほど理解できた。

 でも、それを口にすることはできない。

 ――――結局、ティアナを説得できない最大の理由は、そこだった。

 朝我自身が正々堂々とぶつからないから、ティアナも応えてくれない。

「……危険な真似だけは、しないでくれ」

 だから朝我は、結局最後には引き下がるしかなくなるのだ。

 一言だけ残す、それが限界だった――――。


*****


「くそッ!」

 ティアナ達から離れた所で、朝我は右手で隊舎の壁を殴る。

 痛みから右手は熱を帯び、少しずつ血が流れだした。

 どうやら思った以上に力を込めて
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