三十一話 家族(ファミリー)
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ピヨピヨと小鳥が鳴く。白い光が目に飛び込んできた。
「……」
何も言わず、体を起こした。
こんなに長い時間寝たのは久しぶりだろう。8時間くらいだろうか。軍での睡眠時間はだいたい4時間くらいだったので、他の人との8時間とは全く違っていた。
やることがなかったので昨日は早く寝たのだ。
あちらの部屋はから話し声が聞こえてきたので、完全に布団を畳んで行った。
「あ、おきたんか。よく寝れた?」
「…まぁまぁ」
広翔はやる気のなさそうにそう言った。
彼女達は制服を着ていたのだ。
「…学校行くの?」
「まあね、広翔は留守番頼むわ」
「…そう、わかった。」
広翔はまたそう返事をした。
「じゃ、そろそろ行くわ」
彼女はそう言って靴を履いた。完全に学生になっていた。
広翔は彼女の姿にぎこちなさを感じたが、ぎこちがないのは自分だと分かっていた。
子供は学校に行くはず、
だが広翔は小学2年少ししか行っていなかったのだ。
「行ってきます」
「いってらっしゃい。」
そう声をかけて行ってしまった。
するとまた
「じゃ、お留守番頼みます。」
そう言ったのは理奈だった。
「え、あれ?理奈も?」
「小学校です」
やはりぎこちがなかった。
「そっか、じゃ、行ってらっしゃい」
広翔はまたそう声をかけた。
「行ってきます。」
…
(なにをしようか…)
なにもすることがない。
軍の中で、することがないときは部屋の端っこで手いじりくらいしかしていなかった。
だから、特に暇をつぶす方法が見当たらない。
智也の消息をつかみたいところだが、軍に見つかるので外に出ることは加奈に禁止されてる。
2・3日、軍の注意が解けるまでは外には出ないほうがいいらしい。
(…二度寝するしかないか。)
それしかなかった。
こういう時に何かできない自分にぎこちなさを感じていた。
…
やっぱ寝れない。
なので気もなくリモコンを取ってテレビをつけた。
ー子供番組。
基本的にこの時間帯は子供番組かニュースくらいしかやっていない。
この番組をみて、また自分に穴が開いていることに気づいた。
ー字が読めない
小学2年で学校をやめた広翔はもはや勉強というものは頭になかったのだ。
今の自分には問題ばかりある。
日本軍から抜け出し・侵入者扱い・智也との合流・字が読めない・暇・というかまずここにいる理由が存在しない。
もうここにきた理由は解消されたからだ。
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