「銀河英雄伝説~悪夢編」の感想

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【第五十四話 所詮は帽子の羽飾り】
〇貴族の没落
>かつて栄華を誇った貴族は少数派と言って良い。
>誰かが貴族になる事を勧めれば冷笑するに違いない。
人生の価値の根源であった爵位が、単なるアクセサリーであり、権力とは無縁のものになった貴族

〇皇族の没落
>帝国最大の権力者が一番最初に声をかけた。その事はこの二人が帝国でもっとも大事な、敬意を払うべき存在である事を意味する。彼女らにとってこれほど自尊心をくすぐる事は無い筈だ。
>両夫人の宰相閣下を見る目は優しい。
嘗てならば歯牙にもかけなかったであろう平民出身の一軍人に媚びるしかない皇族

〇ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフの没落
>マリーンドルフ家は裏切り者だ。信用は出来ない、そう思っているのだろう。そしてそれは貴族達の殆どがそう思っている事だ。
裏切り者の烙印を押された実家とその原因を作ったのが自分の浅知恵だった事を思い知るヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ

〇フリードリッヒ四世の絶望
>フリードリヒ四世は知っていたかもしれん。エルウィン・ヨーゼフはゴールデンバウムの血を引いていないと。だから皇太孫にしなかった。そしてこのままではブラウンシュバイクとリッテンハイムの後継者争いで内乱が生じ帝国はボロボロになると思った。
浅慮な後継者であり、配偶者に裏切られた息子。残し引き継がせる帝国も滅亡へ突き進んでいる事が判りながらも、それを止める力が自分にない事

〇ゴールデンバウム朝の没落
>陛下は……、ゴールデンバウムの血を引いていないのです
唯一の正当性を担保するはずであった血統が崩れてしまった事

>帽子の羽飾りの色が何色だろうと、汚れていても私は興味が無い。
皇帝位に何の価値も置かない最高権力者

全てに、冷笑を浴びせる最高権力者と為す術もなくそれを見届ける事を強いられる裏切り者貴族令嬢

まだ、なにも知らずに感情の赴くままにふるまう金髪君は、おめでたくて幸せ者です。

この誰も幸福にはなれない、生き残る事ができるのは阿修羅となった者のみである真っ黒な世界観にゾクリとします。