「銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)」の感想

水上玲良
水上玲良
 
悪い点
うーん、やっぱりこちらでも亡命編と同じく、結果重視のものの考え方でいくんですね。
「最悪の民主政治でも最良の専制政治に勝る」という考え方を、最悪の事態が引き起こされたらそんなこと言ってられない、という感じに結果を重く見て、政治体制に拘らずに最善を目指すべき、という考え方をしていましたが、やはり自分は納得いきませんでした。
自分は、他人のいいなりになって最良の状態になるより、例え間違えるとしても自分自身の選択で間違えたい。それで報いを受けたとしても、それは自分自身の責任だから、と思うのです。
政治家を責めて自分達の責任を認めなかったとしても、認めない事も含めてその人自身の責任であり、認めないこと自体が間違っているのですから、間違っていることを理由にその体制自体を否定できるとは思えません。
「最悪の民主政治は最良の専制政治に勝る」という言葉の本質は「自分の運命は自分で決めるべき」ということだと思っているので、チートすぎるヴァレンシュタインが何もかもを決めてしまい、さらには自分自身で運命の選択をする民主政治をも、結果が伴わないから、と切って捨てているのは少し残念なように思いました。
(政治に参加しない事、堕落していくことすらも、それら全て本人の選択だと思います)
民主主義の本質は結果ではなく過程なのだから、結果を理由に否定するのは説得力を欠くと思いました。
「現状の民衆は民主主義を扱うには幼すぎる」という理由ならまだ納得だったのですが。ただその場合、いずれ成長する可能性も多少は考慮して欲しいと思うので、民主主義をまるっきり捨てて考えのうちに入れないというのは早計ではないかと思いました
 
コメント
この状況だと原作のヤンのように、こちらのヤンも雌伏ののちに何年後かの再起を考えてはいそうなので、そっちの方の対策も考えないとですね。
もっとも原作のヤンは、レンネンカンプのせいでかなり早急に動かないといけないせいもあって派手な再起になりましたが、本来ならもうちょっと穏便な方法を考えていたのではないでしょうか。
ぶっちゃっけ、帝国と同盟では国情が違いすぎて、いずれ帝国は同盟を持て余して手を離すだろう(フェザーン遷都してもなお距離も遠すぎる。半分の人口で帝国に伍して戦ったほど教育水準などの民力のポテンシャルが高い。経済的に帝国が食い荒らされる可能性もある)そうしたらその隙をついてどこか一辺境でも自治領にできれば、くらいの考えだったように思います。
まあこちらのヤンに関しては、ゴールデンバウム王朝の歴史資料を餌に、帝都につれてくるとかすればなんとかなるかも?