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銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)
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銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)の感想一覧
「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)」の感想
tukiyomi
2015年 10月 17日 01時 34分
良い点
実はトリューニヒト派が一番マシな選択肢をもっていた点
コメント
更新お疲れ様です。
イゼルローン要塞完成以来、戦略的劣勢に立たされ続けていた同盟は、ようやく戦略的優位に立とうとした訳ですが、その優位を生かし切るだけの状況にないというのが痛いですね。ヤンの作戦案にしろフォークの作戦案にしろ、これ想定通りに行けば御の字ですけれども、どちらも泥沼の内戦に引きずり込まれるリスクを背負っていますし。特にフォーク案は短期決戦での決着を念頭に入れていますが、真の目的を隠さざるを得ないために、戦略目標が極めてあいまいで、司令部が一貫した行動がとれなくなる危険性が高いですから。
しかし、フォークの発言聞いていると、派閥間の感情的な反発が酷すぎて、もうどうにもならないところまできているような。
シトレがヤンに命じた事は、シトレが軍令の長であるということ考えれば、違法ではないのですが、明らかに宇宙艦隊司令部の面子をこれでもかと潰していますし。
ここら辺は、シトレ派の「理念で結びつく」という点が一番ネックになっているとしかいえないです。彼ら的には「正しい事をしている」なんでしょうけど、それを持って行くための過程において、あまりにも多くの敵を作りすぎていますし。
幾ら戦闘に強かろうが、自分の理念に反した瞬間、所構わず噛みついてばかりの連中なんて、周囲からの支持を徐々に失って最後はジリ貧でドボンというのが相場。特にこの手の組織は斜陽になればなるほど純化路線で過激化しますし。
それにしても、指揮官にとって敢闘精神が高い事は重要ですし、作戦を達成するためには色々な無茶をしたりするのもままあることなんですけれども、シトレ派の場合は、どうも戦場での戦術レベルならばまだ許容されるべきものを、平時から出しちゃっているものだから、そりゃ猛反発も受けるよなあと。
どうもシトレの教育って「戦場で使える指揮官育成」に全振りしちゃっているのか、明らかにいびつになっているんですよねえ。
お蔭でヤンやアッテンボローみたいに、戦術能力は凄く高いのですが、「権威と見たら所構わず噛みつく」なんて、軍人として明らかに問題がある連中量産していますし。軍の教育部門を司る人間が、一歩間違えるとクーデター予備軍になりかねないような士官連中を育て、且つお気に入りにするとか、正気を疑うレベルですわ。
作者からの返信
2015年 10月 31日 20時 25分
感想ありがとうございます。
原作読者が望んでやまない内戦介入。いざその時になってみると、不安要素ばかりが目につきますね。
派閥ができる理由は人事と政策です。どちらも軍の将来に関わるだけに譲れません。シトレ派は純粋な政策集団の良いところと悪いところが顕著な集団として書いています。
戦には強いが獰猛な連中を制御するのも政治家の度量のうちです。史実ではWW2の米軍がシェーンコップやアッテンボローも全裸で逃げ出すような偏屈者の集まりでしたが、政治家は我慢して使いました。創作でも偏屈な軍人を使いこなす人格者政治家は定番キャラでしょう。その点で言うと、銀英伝は二流の民主政治家しか出てこない物語だと思います。しかし、二流の政治家に対する批判は原作でさんざんなされておりますし、田中さんよりうまく書ける人はいないので、あえて私がやる必要はないと思います。だから二流が何を考えているかを本作では書きます。
そこまでシトレを酷評することはないと思いますが……。本作は主人公の性質上、シトレの反目に回る人間ばかり出てきますが、彼らはみんなシトレやヤンに含むところがありますから。そうでない人の意見はまた別でしょうね。
2015年 10月 17日 01時 34分